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一兆年の夜 第百話 蒼穹の紅蓮 希望は未来だけじゃない(仕)

 ICイマジナリーセンチュリー二百四十三年八月百二十四日午後十一時二十三分十二秒。

 場所は真古天神武首都ボルティーニ府中央地区中央官邸三階第三最高官室。
 其処で齢五十にして五の月に成ったばかりの天同紅蓮が既に口髭と顎髭、そして顔中に皺を寄せながら政務を執り行う。
(何か出来るように成った時期が遅過ぎた。やはり齢五十までという法案は正しかった。私は今の年までで任期を終える。既に引き継ぎ作業を朱波に引き継がせようと思ったが……彼女は子育ての為に副最高官及び副党首を断りの念を押された。やはり子を持つ親でも雄ならまだしも雌は乳を飲ませる使命も含めて政務は難し過ぎるようだな。だから代わりに最高官に任命されるのは--)
 やはり其処に居ましたカカ--齢三十にして三日目に成るかつて最高官を務めたエウク猪族の猪田イノ唐山からやまの第四子に当たる猪村家を自称する猪村イノ唐須万からすまが第一最高官室に通じる扉を開けて入って来る。
「如何やら与えられた仕事は全て済ませたようだな、次期最高官のイノ唐須磨君」
「普通にイノ唐須磨と読んで下さイイ、紅蓮様アア」
「まあ良いじゃないの。君が最高官に名乗り上げなければ今頃は私は誰にするかで大いに悩んでやりたい事も果たせなく成る所だったしな」
「そうでしたネネ。ですガガ、まさか全員起立という前代未聞の光景を僅かな任期中に果たすなんて思いませんでしたヨヨ」
「嗚呼、私も大いに驚いた。まさか躯央が提示した一つである地下施設建設計画が……みんな立ち上がるなんて思いもしなかった!」
「其れが実現出来たのが南雄略を救援するという蒼穹様の行った事が此の時代に成って功を奏した訳ですネネ!」
 兄さんは当たり前の事をしただけだ……なのに彼等は大袈裟に返し過ぎだ--と南雄略で生き残った老者共が残りの命を懸けて訴えた事が北の方にまで浸透し、まさか予算度外視で実現困難と言われた計画の一つである首都を中心に地下施設の建造を進めるという計画を実現可能段階まで進めるとは……思いもしなかった事である。
(地下施設建設計画だけではない。私は短い任期の中で実現した大きな事と言えばやはり法王制度だろう。隠居後の王が大王ならば王不在の時に王の代わりに象徴の役割を受け継ぐ法王……私は其処で紅が若しもの時が有ったら法王として次期王が襲名出来る年齢に成るまで象徴としての役割を果たす使命を帯びる。最初の法王か……最早大王は何の為にあるのかわからんな。だが、其れで良いのかも知れない。抑々私は隠居生活を満足に行ってこなかった。父さんやお祖父さんみたいに七の地に留まる事もなく自由に熟し過ぎた。特に遠征部隊を司令官と共に指揮するなんて大王の務めを越えていたからな。だからこその法王制度かも知れない)
 如何しましタタ、紅蓮様アア--顔色を窺うイノ唐須磨。
「あ……済まん、少し今迄の事を振り返っていただけだ」
「今迄って……まだ任期中ですヨヨ、紅蓮様アア。まだまだやるべき事はたくさんありますよ!」
「だろう……が、大陸藤原前線基地化や全建物の要塞化は幾ら何でも無理があり過ぎる!」
 多分ンン、どの政権が担おうとも其れだけは無理でしょウウ--と残り二つの提示だけは実現困難と意見を一つにする二名。
 そんな時、第二最高官室に通じる扉に五回もの叩く音が響く--齢二十三にして十の月と十六日目に成る白髪がやって来た事を示す合図だった。
「入れ、白髪」
「礼を失します、叔父様」
「如何した……お前にやらせる仕事は思い付かないぞ」
「報告です……紅に相手が見つかりました」
「何……あの紅が相手を見付けたのか!」
「お会いに成られますか?」
「良いだろう、ではイノ唐須磨よ」
「わかりましタタ。政務を……って其の前に寝ましょウウ、二名共オオ!」
 そう言えばもう深い夜だったな--と第二執務室に通じる扉越しより窓を覆う二重に覆った窓掛けを見て呟く紅蓮。
(あの紅に相手が見付かったか。そう言えば紅も蓮もちゃんと紹介していなかったな。ずっと兄さんの為の物語しか見て来なかったせいだな)
 そう思って紅蓮は白髪と共に神武聖堂へと戻って行く。

『--恐らく其処で待ち受けるのは私の人生の中で最後の銀河連合との戦い。其処に
悲劇があるか如何かを心配する読者に教えよう。確かに悲劇はある。だが、私の物語で
紹介する程の悲劇かと問われればそうではない。軽く流されるだけの悲劇。紹介されない
生命の死程悲劇という物はないと私は思う。其れだけに悲劇と言うのは一瞬で死ぬ悲劇
と劇的な場面で訪れる悲劇、誰の目にも飛び込まない程の小さく紹介された大きな悲劇、
誰にも知られる事がない悲劇等々、分類したら何処に切があるのか私にもわからない。
だが、どれも大きさは等しいと私は考える。其処に面白みを求められても其れこそ我々が
銀河連合と同じく命を軽々しく扱う存在と化してしまう。其れだけは絶対に避けなければ
成らない。
 ではそろそろ紹介しよう。私の人生の中に於ける最後の銀河連合との戦いを。
其れは--』

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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