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一兆年の夜 第百話 蒼穹の紅蓮 希望は未来だけじゃない(二)

 四月八十一日午前九時二分十一秒。
 場所は雄略大陸南側有徳地方新銀錯銘大刀ぎんさくめいたち集落。
 其処は蒼穹の祖父躯伝くでんが最高官に就任した際に真っ先に恩返しとして復興援助及び今後の逸れ銀河連合対策として年間五百万マンドロンを投入して支援して来た集落。やがて集落に金が余ると当時の酋長が其れを他の集落の復興資金として投入。徐々に自立出来るだけの戦力迄復興が進むと当時の最高官だった烈希れっきに依って終了する事に成った。ところが此の打ち切りが様々な問題を産んだ。其れが余りにも支援を前提とした南雄略の進め方をした為に支援なしでは何一つまま成らない程に迄落ちぶれた。其れが蒼穹に依る夢宇宙との交信に依って再び危機が迫る程までに至った。そう、烈希は判断を違えた。支援金への依存を少しずつ減らさずに支援を終了した為に南雄略は其の依存から抜け出せずに現在のような状態を招いた。
 さて、そんな新集落に僅か一の日も経たずして到着した蒼穹達遠征部隊計四十八名。遠征部隊の代表は蒼穹は勿論の事、齢二十六にして八の月と九日目に成る神武人族の青年にして自ら中同近正ちゅうどう ちかまさを名乗る地同正近ちどう まさちかの第一子と齢三十八にして十一の月と二十八日目に成る神武人族の老年にして正近の弟に当たる斗波となみ、そして齢三十四にして一日目に成る斗波の妻である武内人族のリリーラの妹に当たるルーララ。ルーララの伯母は蒼穹と紅蓮の母であるララバイ。他には齢四十六にして六日目に成る遠征部隊の中で最年長に当たるゲネス猪族の近藤イノ四十三郎よそさぶろう、齢二十八にして六の月と五日目に成る応神鎌鼬族にして南雄略を救った立役者の一名の遠い従兄弟に当たるサルタビロウ八代、最後に齢三十にして三十日目に成る雄略サーバル族にして南雄略を救った立役者の一名の名を受け継ぐ熟女サーバラ四世。
 では彼等を招待するのは齢五十一にして二日目に成る雄略百足族のムカルヒ二十三代……実は集落の平均年齢は三十九。既に十代から二十代の若い者達は逸れ銀河連合との戦いで命を落としているか或は現状に憂いて島を出て行き、最早支援金以外に考えが浮かばない程に迄、南雄略は高齢化が進んでいた。
「何という現状だ……わしらがもっと早く支援を駆使しないように少しずつ削って行けば、貴方方を此処まで苦しめる事もなかったのに!」
「何イイ、此れもわしら老いイイい耄れが招いた事じゃ」
「けれども俺達だって言い分がある。あんたらの責任という訳にもゆくまい。だから俺達は祖父さんが折角命懸けで救って見せた此の南雄略を再び救わないといけない」
「でもわしらアアら責任でもあるのじゃ。わしらが恩に縋ったせいで今や島は沈みそうなアアな予感が起こるという時にこうして触手を拱いてエエていったんじゃ」
「埒が明かんな……ま、此れも責任の擦り付け合いの一つの形だろうな」と学術的な事を述べた後にこう切り出す。「成程、島の現状は其処まで深刻だったのか……ならば俺達が南雄略最後の花火を上げてやるさ!」
「花火とオオとは?」
 ま、其れはお楽しみという奴だ--因みに望遠弾技術の発展に依り、祭りの中には空高く火の薬品を飛ばして模様を飾る花火が誕生し、観光客を楽しませる模様。
 さて、会談は順調に進む。其れで判明した事は逸れ銀河連合の中に岩と同化した種類や炎と同化した種類、更には水に同化した種類を用意するなど既にあらゆる戦略及び戦術が可能な段階まで逸れ銀河連合は強靭化していた。おまけに彼等は南雄略の南側を制圧済みであった--然も酋長であるムカムヒの次に地位のある齢四十八にして十八日目に成る雄略蛇族のヘビータ三十六世に依ると既に六割或は七割も制圧した後で既に軍団は迫っているとの事。
 後は遠征部隊を除いた南雄略全ての生命を合わせても戦力は僅か百一名、一方の逸れ銀河連合側は何と一万に上るかどうかという程。其れには覚悟して崖を上って来た遠征部隊の一同に戦慄が走る。最初は蒼穹が思った事を此処に表そう。
(十倍差どころか百倍差……どんなに頭が間抜けな銀河連合の指揮官でも勝てないなんて有り得ない戦略上安全圏の数の差じゃないか。逆に言えば俺達が仮に優れていようともそんなの天同生子せいこが一名でも居なければ理が成立しない。其れ位に数は戦いに於いて重要だからな)
 と蒼穹は数の差を冷静に断言する。では蒼穹以外は如何思うのかを見てみよう。
「各個撃破を狙う……にも環境的な条件が余りにも奴等に有利に働き過ぎる!」
「諦めちゃいけません、お兄さん。環境的有利でも気合を入れれば大丈夫です」
「そりゃあ無茶な難題だ、ルーララ。わしらは御覧の通り若くない。何時までも気合を入れたくらいで理がない状況を一変させるほど可能性と言うのは乏しい」
「其の通りですっち。其れに仮にも気合で何とか出来る若い衆を同じ数だけ入れ替えたとしても食い下がるだけですっち」
「種族を依り強靭にして更に技を冴えさせた所でも……同じだろウウ!」
「あーああそうだバアル。たー確かにあたい達は今や一名一名が確かに向こうよりも必至だろうバアル。しーしかし、あたい達は其れでも勝てない……バアル!」
「蒼穹様。さっきから何を黙ってエエておられるのですか?」
「いや……俺に考えがある。此れならきっと逸れ共に……一泡吹かせられるぜ!」
 蒼穹が考え付いた事……其れは一体!

 午後十時二十四分十一秒。
 場所は南雄略海。南雄略へと向かう船が計二十三隻も連なる。
 其の先頭で他の二十二隻を牽引するのがとある仙者を乗せた巨大蒸気船。船首の近くで立つのは髭を剃って気分を紛らわす紅蓮。彼は十一時に成るまでずっと髭の剃りの腰がないかを確かめつつも次のような独り言を呟く。
「如何か無事で居て下さい、兄さん……如何かお願いだ。まだ私は兄さんから学びたい事が山程あるのです!」
 紅蓮も又、夢宇宙との交信を終えたばかり。其処に齎される明日に紅蓮は己の意思で船に乗り込む事に!

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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