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一兆年の夜 第九十九話 蒼穹の紅蓮 現在を憂いても尚、(七)

 ICイマジナリーセンチュリー二百四十一年一月六十九日午前零時零分零秒。

 場所は不明。其処は真古天神武建国以降は代々の王が襲名する時に執り行う場所。
 勿論、前の王が次の王に位を譲る際に執り行われる。勿論、王が次期王に位を譲る前に亡くなった場合は代わりに摂政が位を譲る。勿論、摂政は案内される迄その場所が何処にあるか知らない。何故ならそうゆう取り決めであるが故に。
(此れが祖父さんや親父、其れに紅蓮が行って来た襲名か。一体何処にあるのかを前の日まで知らない訳だ)
「兄さん……以上で宜しいですか?」
「ああ……望んで俺は王に襲名する。真古天神武第四代王……蒼の者として!」
 尚、今話より真古天神武に於いて王と成った者達が与えられる王名について紹介しよう。王名は其の名の通りである。然も唯、名前を与えられる訳ではない。襲名の前の日より前に襲名に相応しい様々な事柄を前の王から説明を受ける。王が任期中に死亡する場合があるなら摂政が代わりに事柄を説明する。其の説明は一の週に一回、或は二回以上説明を受ける事だってある。何故なら王に成る者は決して一般生命よりも神々に近しい存在に成るしかない。其れ位に繊細且つ何事も忘れ難いのである。故に紅蓮は物覚えが非常に宜しく無かった為か、一の週に最大で四回も説明を受ける程にまで。お陰で今日までに紅蓮は継がせる事の全てを蒼穹に言い伝える事が出来た。
(全く、躯の者天つ者紅の者と来て、蒼の者か……だったら紅の場合は何と命名すれば良いのやら?)
 尚、次期王の王名は王に成った者が考えなければ成らない。其れも又、仕来りの一つである。そうして受け継がれてゆく。
「漸く兄さんは王に成ったね」
「此れまでに多くの近しい者が旅立ってしまった。出来るなら白浪、青葉に俺が王に成った時の振る舞いを見せてやりたかった」
「其れは仕来り通りに秘密裏に行われる。私だって王に成る前は如何してそんなに隠す必要があるか不思議だったからな」
「俺だって思ったさ……でも今ならわかるな。様々な事は余りにも一般生命に知り得るには荷が重過ぎる。一兆年の神々との対話だなんて……精神的にも参ってしまうぜ!」
「だよね……でも初代仙者である天同豪の頃から私達仙者は一兆年の神々と対話を果たしてきた」
「もう其の名前は今代限りで辞めないか、紅?」
「何、どんな名称?」
 お前という奴は……そう、『一兆年の神々』って何だよ其れ--蒼穹は其の呼び名に何か満足しえないものを感じる。
(神々……って意外と安っぽい物だぜ。特に記憶の世界の中で生き続けた神々なんて今ではもう数える位しか存在しない。俺は思うんだ。一兆年の神々って名称は少し異なるような気がする。其れはきっと巨大望遠弾が発射され、初めて水の惑星の外に出た三名が暮らしたあの町で遊説した影響かも知れない。俺にとっては此処での遊説が後にあいつを……悔やんでも仕方がないな。
 其れに……胸の痛みが、又起こっているなア)
 蒼穹は父蒼天と同じく吐血する病を患っていた。其れは仙者に成った時の代償なのか、或は遺伝なのか? 何れにせよ、体を無理させて行動する蒼穹に残された時間は少ない。
「……兄さん、若しかして--」
 言うな……だが、俺は親父と異なって此の命を磨り減らす生き方をするからな--既に蒼穹の生き方は定まっていた!
「兄さん……わかった。私は紅が跡を継げる年齢に至るまで兄さんを支える」
「良し、そうと決まれば此れより一兆年の神々の新しい呼び名をお前にだけ伝える!」
「幾ら秘密の場所だからって何でもし過ぎだろうに」
「あのなあ……此処だけだぞ。外に出れば後は忙しい日々に逆戻りだ。だから残り時間を籠めて伝える」そう言い、蒼穹は紅蓮の右耳に口を寄せてこう伝えた。「夢宇宙……今回よりそう呼ぶ!」
「……宇宙、と?」
「ああ、神々よりも更に違う次元がある。俺は其れが宇宙だと思っている。宇宙の前では神々は呆気ない。宇宙の前では星々は呆気ない。宇宙の前では俺達全生命は呆気ない……故に夢宇宙だ!」
 兄さんらしくて良いじゃないか--そうして此れからは一兆年の神々は夢宇宙と名付けられた!

『--そうして兄さんが王に成るまでの物語は幕を閉じ、次回からは兄さんが王に就任して
初めて行われた様々な事柄や兄さんの死と私に訪れる様々な悲劇の数々。やがて紅に
王の位を譲り、今日に至るまでの物語を紹介しよう。
 約束しよう。次は早めに終わる事を!』

 ICイマジナリーセンチュリー二百四十一年一月六十九日午前零時二分五十九秒。

 第九十九話 蒼穹の紅蓮 現在を憂いても尚、 完

 第百話    蒼穹の紅蓮 希望は未来だけじゃない に続く……

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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