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一兆年の夜 第十五話 物々交換から貨幣へ(五)

 これは、どこかラテス椎茸に似ている。でも、キノコ類は慎重に選ばないと良く
ない。
 奥の方を見てみるとこれはマンドロス山葉に似てる? 食べる? お腹の虫が
五月蠅いし、私は生きなければいけないから食べよう。
「その葉っぱは食べちゃいけないい!」
 この声? 幻聴! きっとそう。
「だから食べちゃお腹を壊すよい!」
 二度目? 五月蠅い幻聴!
「こうなったら引き上げてでも口に運ばせないい!」
 三度目? 今度は身体が浮いた? えっ! まさか--
「俺だよい、俺い! ラテス蜻蛉族の正岡シ文だよい!」
「い、生きてた! シ文が生きてた! でもどうして生きてる?」
「それが俺自身も不思議でしょうがないんだよい! もう少しで食われるところを
つららが獅子型の頭部に刺さるなんて奇跡があるかい?」
「ない。恐らくそれは獅子型がつららを落とした代償。あれもまた代価を払った!」
「銀河連合とはいえい、死を嬉しく思うのは罪な事い。
 自分で落としたモノで自分が死ぬなんてこれほど悲しい事はないと俺は思うがい」
 悲しい。そう、私もそう思う。
 だけど、シ文が生きている事が嬉しくても他の三名は--
「あい、言い忘れたけどい、ブラグロとマルコい、それにえっとあの鰐族の名前は
なんて言うんだい?」
「生きてる! ブラグロとマルコ君、そしてゲデルミキさん! ど、どこにいる?」
 私は辺り一帯を探し回ったけど、お腹の虫は限界まで大きくなっていて探す気力
が出なかった。
「この小島には三名はいないい。もっと向こうの小島に飛んでゆくい!
 北西西の方角に全速力で飛ぶので振り落とさないよう注意するい!」
 相変わらずシ文の出す羽の音は五月蠅い。けど、もうそれを気に掛ける力は今の
私にはない。

 太陽は今、頂上にある。私達は今、応神諸島の北西応神小島にいる。その中央
にある小屋。
 私は丸三日分の食事を口に運ぶ。兎族の全速力に匹敵する勢い!
「オイオイ、そんなに速く食べたら俺みたいにぶくぶく太ぶぞ!」
「いい! 糸を出すまで食べないとあなた達にお礼が出来ない!」
「お礼? むしろ僕らの方からお礼を渡したい!
 折角サク花お姉ちゃんが作ったテレスプリを無駄にして! 土竜型を倒すのに
使ってしまった事を後悔してるん最中だし!」
「大丈夫! 食べ終わって一服した後、急いで私が作ってあげる!
 後悔しなくて良い!」
「俺でも勝てないぜん! 俺ら鰐族の特製である回転以上の勢いで食べられると
折角俺が命がけで馬蛙型を倒すのに使った回転と豚野郎を助けた回転も負ける
っぞ! あの嬢ちゃんの食べる勢いの前じゃど!」
「いつ俺が貴様に助けられぶ! 地上にあがれどはほとんど俺の力だぶ!」
「そう言っとけい! ただこれだけは思ってるんだろい?
 俺達はいつかサク花ちゃんに代価を払うってことを!」
 代価を払う? 物々交換で払うの?
 ようやく食べ終えた私は物々交換をするべきかどうか迷う!
「お姉ちゃん! 僕はお姉ちゃんの糸があればそれ以外のお礼は入らない!
 お姉ちゃんの糸は僕の命の恩者だよ! それさえあれば誰かに渡した時、誰かも
またそれを使って誰かを救えるんと僕は思うん!
 だから僕はお姉ちゃんの糸でいいよ!」
 私の中で何かが閃いた! 私は見つけた! 物々交換に変わる何か!
 それは交換してもまた別の物と交換する時に換えが効く物。物と物の価値を繋ぐ
物。そう、それを私は見つけた!
 時が移ろいで往く内に本来の目的から迷うかもしれない!
 そうゆう思いが私にはある。だけど、それでも私はそんな物を創ってゆく!
 私は代々作ってゆく! 後の世でこう呼ばれた物。
 貨幣を私達は創ってゆく……

 ICイマジナリーセンチュリー五十二年七月七十八日午後零時二十分十五秒。

 第十五話 物々交換から貨幣へ 完

 第十六話 語り継がれる物語 に続く……

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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