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一兆年の夜 第九十九話 蒼穹の紅蓮 現在を憂いても尚、(一)

 ICイマジナリーセンチュリー二百三十六年四月八十三日午前十一時五十九分四十二秒。

 場所は真古天神武首都ボルティーニ府中央地区中央官邸。其の三階にある最高官室。
 其処に座るのは齢三十四にして十の月と三日目に成るヘラクレイトス豚族の中年にしてかつて新天神武で最高官を務めた事がある生命の子孫にあたる小島ブロ助。彼は任期満了で最高官を辞任したラゼンルノの跡を継いで最高官に就任した。決して只の引継ぎではない。ラゼンルノ率いる鶴翼党を打ち破って就任した剛力党の党首。そんな彼の元に……「よお、ブロ助……仕事は捗っているか?」齢二十一にして十一の月と十九日目に成る蒼穹は紅蓮と共にやって来た。
「全く騒がしい方でぶね、蒼穹様は」
「そりゃあそうだろう……って相変わらず整理整頓も出来ないのか」机のみならず、椅子の周りに迄平積みされている紙を見て蒼穹は呟く。「そうゆうのは引き出しに纏めてしまえって言ってるだろうが!」
「兄さん……引き出しも既に限界が来ていますよ」最高官が座る席の右隣にある本棚の右下から一番上の引き出しを開けた紅蓮は次のような理由を述べた。「もう栞の大特価祭りで眩暈がしますよ!」
「全く次から次へと……ええい、こう成ったら紅蓮!」
「あーあ、紅奈に何言われるかわからないな」
「だからこそ俺はこれを想定してキュー造に『今日は帰宅出来そうにない』と伝えておいたんだ!」
「全く兄さんはやる前から其処までするなんて」
「全く何時も何時も迷惑を掛けまぶなあ、二名には」
 お前一名だけで政は進んでいる訳じゃない……困った時はお互い様だ--と蒼穹はそれを言ったきり仕事以外の話をしなくなった。
 蒼穹は以降、紅蓮やブロ助が少しでも日常話に入ろうとすると直ぐに軌道を戻して仕事に集中させる。例えばこんな会話もそうである。
「そうそぶ、例えば料理が一の時で済まずに二の時も三の時も掛ける場合があるじゃないでぶか」
「ああ、そうだな。其の時は雄が手伝うかもな……だからって雄が雌の料理に一々何癖就ける理由に成らない。依って俺達は帰りを待つ雌の為にも仕事を進めるぞ!」
 他にはこんな会話もそうである。
「そう言えば白浪さんは第二子妊娠から二の時が経ちますね」
「今度は雄の子だ……俺はそう思う。其の為にもたった一名だけで我が子を育てる母に重荷が増えないように少しでも付き添い者を与えたい所だな。ま、公がやれる事と言ったら新規事業に適度な支援をするだけだな」
 というように無理矢理仕事の話に戻してしまう事。例え会話の応酬が続く場合でもそうである。
「そうそぶ、又しても作家キリモンが発売延期を決定しましぶ!」
「又か……折角、『禾野コケッ区の真実』を出版した作者なのに何て事だよ」
「まあな。又キリン族の長い首を痛めたな。元々文筆に向かない体型なのに無理して……ところで水は飲まないか?」
「急に何を言い出すのですか、兄さん?」
「まだ水を欲しいと思いまぶが?」
「六虎府の工業都市で又しても深刻な水の足らずが発生した。此れで計百二十七件目だ!」
「え……本当ぶ!」
「折角、父さんがやってくれた事が」
「水を汲んで少しでも熱中症対策と思った政策も実施後には別の問題を発生させる……チイ、神々は如何してそう簡単にいかないように世界を作ってしまったんだ!」
「あのう、神様が世界を作ったといぶ--」
 細かい指摘をするな、ブロ助え--と立ち上がって上から下に向けるように唾を飛ばして怒鳴る蒼穹だった!
(こう成れば水事業とやらもやって良いかもな……でも水事業は安全で綺麗な水が一定量確保出来ないと商いに成らない。新規事業一つ起ち上げるだけで国力は発達するとは言うが、何時も発掘して直ぐに利益が一定の数値に収まる。国民は流行りの物には何時までも熱中しない。かと言って安定財源は其の分だけ利益が生まれないなあ。さて、如何した物か?
 ン……此れは!)
 水事業の是非を悩んでいるとある一枚の資料が目に飛び込む。其れは蒼穹が摂政からある政党の幹事長として選挙に立候補してしまう程の衝撃を与える!

『--兄さんは突然、筆頭最高官の職を辞した。ブロ助は訳を尋ねても全然理解出来ない
程。私だって如何して兄さんが新生党起ち上げなんて考えるのか全然理解出来なかった。
でも今なら私にだってわかる。兄さんが見た資料とは「鎌鼬流で独自の呼吸法を編み
出そう」という物。鎌鼬流はそれを国支援の事業にしようとしていた。結局、採算が
見合わずに判子は押されなかった。けれども兄さんからすれば独自の呼吸法とは即ち
望んでいた王の資格を得る方法のように見えたのかも知れない。
 段落を変えて少し説明すると兄さんは筆頭最高官を辞したのは所謂鎌鼬流に弟子入り
する為。但し、政から離れる訳にはゆかない。其処で新政党である「鎌鼬党」を起ち
上げて修業しつつも少しでも政に拘わろうと決めた。普通なら二つも抱えていたら出来る
物も出来ないのが一般的だろう。だが兄さんはその状態でもやってのけた。但し、
被選挙権を有する年齢じゃなかったので敢えて幹事長として始動するしかないのが
泣き所ではあるけどね。
 其れじゃあ其の話も行きましょう。先ずは--』

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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