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一兆年の夜 第九十八話 蒼穹の紅蓮 過去に思いを馳せて(六)

 四月四十六日午後一時二分七秒。
 場所は真古天神武首都ボルティーニ中央地区総合病院。
 当時の総理大臣を務める天同烈命が推進し、彼女が二期目に入った頃に完成したあらゆる対応が可能な病院。彼女が推進した主な理由はたった一つ。其れが医療保険制度を何よりも充実な物とする為に烈命は敢えて総合病院建設を進めた。総合的に対策をとる事で保険制度の充実を図る為に。
 話を本筋に戻す。総合病院は全部で二階建て。三階建てにしなかったのは緊急搬送された患者が借りに手術を終えても三階まで運んでゆくのは余りにも危険極まりがないと烈命が判断して労働大臣と話し合いの末に決定した。其の為、齢四十七にして十一の月と二日目に成る蒼天は搬送されて緊急手術の末に二階最奥にある重要車専用病室に入院。其処で彼が意識を取り戻すと其処に待つのは齢十七にして十の月と十二日目に成る蒼穹と紅蓮だった。
「お前達か、済まないな」
「良かった……無事で!」
「無理するな。親父はもう十分働いた。後はラゼンルノに任せろよ!」
「だが……ウググ、父上のような偉業をまだ--」
「まだ言いますんか、そろそろ私に頼って下さい!」齢三十七にして二の月と六日目に成る二期目を務める現最高官のラゼンルノ・メデリエーコフが蒼天の右手を両前足で強く握る。「大王に成って下さい、蒼天様!」
「つまり……もう私は役目を終えた、という訳か?」
「そうですん。此れからは私達にお任せ下さい!」
「だが、私が王の座を退くという事は--」
「……覚悟は決めたよ、お父さん!」
 紅蓮はラゼンルノに続くように両手で握る。
「紅蓮……お前が三代目王に襲名するのか」
「ああ、僕は前の二代に比べて大した王に成れない……わかるよ、だから--」
 親父……俺と紅蓮は一蓮托生だぜ--蒼穹は紅蓮の補佐役である摂政に就任する旨を紅蓮に引き続くように両手で握る事で意思表示する!
「蒼穹……か。だが、摂政はあくまで幼い王を支える為の官職だ。幾らお前が天同の生命として就任出来る立場でもまだ十七だ。成者式を越えて二の年足らずが一丁前に言う物ではない!」
「俺を誰だと思っている、親父」
「まだ熟す事も知らん子供だ……異なる論があるか?」
「……言っただろう、俺と紅蓮は一蓮托生!」紅蓮とラゼンルノが険しい表情を見せるほど強く握りしめながら蒼穹は次のように宣言。「後は俺達が親父迄気付いて来た道に俺達全生命体が進めるように先導する!
「言ったな……ところで」
「何だ、親父?」
 痛い--其の言葉を聞いて三名は直ぐに握った右手を放した。
「後は任せた……其れ迄見届けてやるさ、命続く限りな!」
「ああ、僕達は上手くやってみせるよ!」
「其れ迄に隠居生活をしておけよ!」
 こうして二名の物語は幕を開けた……

 四月七十六日午後八時七分二十四秒。
 場所は真古天神武首都ボルティーニ中央地区神武聖堂。
 意外に早い襲名披露発表を終えた紅蓮。迎えに来たのは蒼穹だけじゃない。齢十八にして一の月と十五日目に成る東夜白浪と齢十五にして四の月と三日目に成る西明紅奈も迎えに来る。
「紅奈に白浪さん迄」
「まあ正式な襲名迄は暫く掛かるそうだ。其れ迄は自由にしても--」
「いや、自由はいけない。僕達は大言壮語したんだ。大きな言葉を吐いたからには責任を持たないといけない!」
はい、肩の力を抜いて下さいまし」
 わわ……ううう、立てないよ--襲名発表で意気込んでも所詮は紅蓮だった。
「あらあら、紅蓮さんはまだまだ道のりは険しいです……ねえ、蒼穹さん?」
「だからこそ俺が居る。俺が全てを代えてやる……待ってろよ、銀河連合!」蒼穹は外に体を出してから月に向けてこう宣言した。「予言の日が来る頃には真古天神武は全生命体が希望と成れる国に変わってるぜ!」
 蒼穹は其の他にもこう考えていた。
(と大きく出ても現実はそう簡単ではない。でもな)
「なあに?」
「確か……楽しく見る事は意志に依る物だったな、白浪!」
「そうそう、気分は如何しても悲しい事を見やすい今だからこそ必要なのですわ」
「わかった……有難う」
 意外と他者の意見も取り入れて来ましたのね--白浪は蒼穹の横顔を見て微笑む。
(此れから待ち受ける物がどれだけ悲しい事でも……俺は、そして俺達は)
 蒼穹は白浪の反対側に居る紅蓮を見つめる。
「ああ、わかってるさ。僕達が真古天神武を引っ張るよ!」

『--そうして私達の物語は始まり、過去の物語は終わった。次から愈々本編に入る。
本編に入る迄に横道にそれ続けた事を此処に詫びる。大変遅れた事を此処に詫びる。
だが、次回より私達の物語は始まる。今回は其の序章をお送りした。
 約束しよう、次回より私達の物語が始まる、と!』

 ICイマジナリーセンチュリー二百三十五年四月七十六日午後八時十五分零秒。

 第九十八話 蒼穹の紅蓮 過去に思いを馳せて 完

 第九十九話 蒼穹の紅蓮 現在を憂いても尚、 に続く……

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Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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