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一兆年の夜 第九十八話 蒼穹の紅蓮 過去に思いを馳せて(四)

 ICイマジナリーセンチュリー二百三十五年一月二十八日午後十時七分四十三秒。

 場所は真古天神武首都ボルティーニ中央地区神武聖堂。其の中に立ち入る事が出来るのは天同家、地同家、そして認められた関係者のみ。
 其処に関係者の一名である齢二十一にして十の月と八日目に成るアデス九官族の青年で連絡係の臨兵キューむねは聖堂表門に居る二名の衛兵に挨拶するなり、中へと入ってゆく。
 其れから彼は齢四十六にして十の月と十八日目に成る蒼天が眠る蒼天の間へと其の侭直行。ところが彼は声を掛ける事も三回音を鳴らして報せる事もせずにいきなり戸を開けた。
「……キュー棟か。何故お前程の生命が私の所へ入るのに習慣化した行いをしなかった?」
「ジ、ジジツハハ、ハ、ハハ--」
 蒼天が神武包丁を抜いて振り向くと既にキュー棟は白目を剥いたまま全身を剥き出した状態に成った--即ち、二度と戻れない事を意味した!
「銀河連合め……一般生命の肉体に宿り、事が済み次第は自ら乗っ取って!」
 九官型銀河連合は更に全身を炎で包む--キュー棟に取り憑いたのは液状型ではなく、炎型其のモノだったとは!
「うぐ、完全に出入り口を塞がれた」蒼天曰く己の間はキュー棟が入った所からしか外へ出る手段がない構造に成っていた。「設計上、私は敢えて此処を己の間にした……して良かったな、結果的に」
 そう言いつつも蒼天はまだ死ぬ時ではないという考えが過っていた。だが、そうは思っても出入り口付近が炎九官型の放つ火で徐々に塞がれる現状を如何する事も出来ない。仮に駆け付けても--
「蒼天様……ッテ」齢二十四にして二日目に成るタゴラスカンガルー族の青年ミラン・レヴェーロが駆け付けるも其の銀河連合の前に己の拳が届かない事を認識してしまう。「銀河連合メ……カト言ッテ一ツシカナイ出入り口を奴の攻撃を躱して入るのも難しい……か!」
 ミランだけじゃなく、他の生命も駆け付ける。だが、ミラン同様に炎型を前にして炎が燃え移る事を警戒する。そう、簡単な方法なのに誰も其れを考えようとしない。そんな時--
「間に合った……まだ其処まで火が走ってないのなら!」齢十六にして九の月と二十九日目に成る蒼穹が紅蓮、其れに齢三十八にして七の月と二十二日目に成るアリガルダルや婚約者である齢十七にして一日目に成る白浪、紅蓮の婚約者である齢十四にして二の月と二十日目に成る紅奈と共に水一杯の桶を両手又は尻尾に包んで運んで来た。「そおおれ、今だあああ!」
「父さんは……やらせないぞおお!」
 一斉に水を掛けられた炎九官型は咄嗟の動きが出来ずに一斉に浴びて炎の勢いと共に生命活動を急速に弱め、やがては鎮火するように潰える。
「ハア……何とか助けられた」
「でも……キュー棟が死んだよ」
「仕方ないさ……俺がこっそり出ようとした時に--」
「何だって……だから蒼穹様はわしらを呼んで水桶に水一杯運ぶような的確な指示を送れたのかっがん!」
「良いじゃないか、アリガルダル。今はキュー棟の冥福を祈るのみだ」
「はい、今は……クソウ、まだ若いというのにっがん!」
「何デキュー棟ガ俺ヨリ若イノニ先に行くんだよって!」
「其れが命という物ですわ」
「銀河連合は何で私達を寿命や病で死なせたりしないのでしょうか……こんな私達の信頼を皿に貶めるような事をしてさあ」
「止めとけ、白浪。銀河連合に何を言っても通じない。今は……クソウ、何で命は呆気なく散らさなくちゃいけないんだあ!」
 蒼穹がそう思ったのは此の時が初めてでもない。勿論、挫折を味わった経済都市第二西地区での出来事でもない。其れは紅蓮も知らない初めての雌友達を作ったあの日の事であった。
「兄さん」
「紅蓮……其れについては明日、話すぞ」
「蒼穹さん」
「蒼穹も何か抱えておりますわね」

『--其の話についてはあくまで私の脚色も多少混ざる事を此処にご容赦を。幾ら学習
能力が高くない私でも此の話だけは鮮明に思い出せる。そうだなあ、確か--』

 ICイマジナリーセンチュリー二百三十四年一月二十一日午前六時四分十一秒。

 場所はマンドロス山標高成人体型二百十二南側。
 齢十二にして九の月と二十二日目に成る蒼穹は密かにマンドロス山を登山する。理由は次の通りである。
(幾ら頑張っても親父の実力は稽古だけで身に付けた物じゃない。あれは銀河連合との戦いで身に付けた物だと俺は確信している!)
 蒼穹は鍛錬や日々の稽古では己を高めるのに限界があると既に気付いていた。此の歳でも蒼穹は強さには潜り抜ける過酷な場数を踏む事が大事であると子供心に確信していた。
(紅蓮も連れて行こうと思ったが……あいつは土壇場で熱を出しやがった。依ってあいつは居残りだ!)
 尚、弟想いの蒼穹は熱を出した身の紅蓮を連れてゆく事を好まなかった。
 そんな蒼穹の背後に何かを感じ取った。蒼穹が振り向くと其処には--
「わ、わわわ」齢十三に成ったばかりストテレス族の少女が尻餅をつく。「驚かさないで下さいよ」
「誰だ、お前?」
「はい、私はマルーシャ・ヘラルドと申します」
「出身は?」
「其れは残念ながら控えさせて戴きます」
「そうか……だよな」そう言って蒼穹も自己紹介する。「俺は蒼穹……苗字も出身もお前と同じく控えるぞ」
「成程ですね。蒼穹……ってどんな字ですか?」
「ああ、教えて……って伏せろ!」
「え--」
 だが、少女の首は蒼穹の叫びも空しく……朝日を浴びるように宙を浮いた!
「な、な、何だよ」蒼穹は挨拶しただけの関係とはいえ、目の前でほぼ同じ年の少女が呆気なく散ってゆく光景に内心衝撃を受けた。「一般生命の命は……そんな軽い物なのか?」
 だが、斬撃を放った人型銀河連合に命の価値を有難く思う気持ちは一片もない。悲しむ間も与えずに蒼穹に襲い掛かる人型。蒼穹は手にしていた雄略包丁を抜こうとするも--
「お、おも……ってうわああ!」だが、雄略包丁を鞘から取り外すにはまだ十二の肉体では軽く取り出せる程の腕力を有さない。「こ、此れが……包丁だったんだな!」
 其れでも持ち前の発想を以って相手の雄略包丁のような何かを止めるべく防御して相手の力を利用しながら抜くと一の年より前での心構えを生かして--
(何時もの練習だ。此れは……練習なんだ!)
 そう言い聞かせながら相手が振るい終える瞬間を狙って……首の右側面にある血管を狙うように鳩尾から左肋に掛けて斜め一本戦の切り傷を与えた。
「一回……だが、如何したああ!」相手が痛みで怯んだ所を胸元目掛けて包丁を突き出して深々と刺した。「此れで……倒れて、くれえええ!」
 蒼穹の願いは叶い、人型銀河連合は仰向けに倒れ込んで蒼穹が馬乗りした時既に事切れた後だった。
「や、、や、やったよ……なあ、えっと名前は」蒼穹は思ったように体が動かないと感じつつも頭だけは少女の首の方を向ける。「思い出した……マルーシャ、友達に成れる、と、思ったのにイイ!」
 蒼穹は号泣--半の時程、血が溢れ出す人型の死体の上で泣き続けた。
 其の後、蒼穹は人型の死体を入念に塩を掛けてから山に埋葬。少女の遺体は切り離された首も含めてやや高く誰も立ち入りそうにない場所に埋め、其処に彼女の名前が彫られた石板を指して一の分もの間黙祷した。
(思い出した……ヘラルドはあの名門か。何れお前の事を彼等に話す気に成れば……いや、止めておこう!)

『--そう、そんな感じだった。兄さんにとって初めてと成る友達。だが、彼女は挨拶して
直ぐに銀河連合に依って。本当なのかそうでないのかは此の話をした後に私と後に妻と
成る紅奈、そして後に妻と成る白浪さんと共に例のマンドロス山に密かに登山する事で
明白と成る。其れは--』

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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