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一兆年の夜 第九十八話 蒼穹の紅蓮 過去に思いを馳せて(一)

 ICイマジナリーセンチュリー二百三十四年四月十八日午前十一時二分十一秒。

 場所は真古天神武首都ボルティーニ中央地区中央官邸。其の二階にある会議室。
 其の会議が終わり、其処へ齢十三にして九の月と十五日目に成る神武人族の少年が入って来る!
「やっと会議終わっただな、親父!」
「コラ、蒼穹!」齢四十三にして九の月と三十日目に成る神武人族の老年は抱き付かれる蒼穹に向かって注意する。「又、稽古を抜けたな!」
「良いじゃないか、俺は天同家を引っ張るだけの能力があるんだしな」
「あれほど言っただろうが、蒼穹。どれだけ才が豊富でもお前よりも高みに上り詰める生命や銀河連合は世の中探せば星の数ほど出て来る」
「だが、今は出ないだろ……良いじゃねえか、其の時が来るまで俺は自由にしててさあ」
「私でもか?」
 いや、親父と比べるのは流石に比較対象として何かおかしいぞ--と其処で蒼穹は抱きしめるのを止めて恥かしい表情を隠す為に背を向けた。
「まあまあ良いじゃないですんか」と其処へ弱冠齢三十三にして一の月と六日目で現最高官に就任したキュプロ栗鼠族の中年ラゼンルノ・メデリエーコフがやって来る。「若い内は何事も増長するんも良し、突き進み過ぎるんも良し……そうして膝を付くん時が来たら己を改め始めるん」
「そうゆうあんたは最近、伯母さんの跡を継ぐ形で最高官に成ったラゼンルノだったな?」
「何度も言いますんが、昨の日も会いましたよ。其れに烈命れつめいはとっくの昔に最高官を辞めて政から身を引いておりますんよ」
「気にするナア、ラゼンルノ」其処へ弱冠齢二十八にして五の月と五日目で現軍務大臣に就任したテレス熊族の青年真鍋ベア小十郎。「細かい事を一々気にしないのが蒼穹様という物ジャア!」
「いや、俺だって細かい事は気に成るけどな」
「まあまあ、ご謙遜為さるナァ。何時も通り、増長した態度でお望み下サアィ」
「だが、増長は時として己を怠けさせる」
「ですんが、蒼天様。若い内はあるん程度は力に踊らされるん事も大事です。でないと力とは何たるんかの恐ろしさを身に染みて感じるん事を体験出来ませんよ」
 人生経験に山あり谷あり……を経験させろと言うのか、はあ--真古天神武第二代王である蒼天はラゼンルノの人生論を何時も溜息を洩らした。
 四名が会話を楽しむ中で其処へ……「居た、兄さん……って捕まってしまった!」蒼天の双子の弟紅蓮が中へ入ろうとするも後を追って来た齢三十五にして七の月と八日目に成る二名の養育係を務めるルケラオス鰐族の老年アリガルダル・スクリュームが大きな口を開けて器用に紅蓮の上着の襟を掴んだ!
「逃がすっがん、紅蓮様!」
「又お前か、紅蓮。言っておくが、お前はまだまだアリガルダルの稽古を付けて貰えよ!」
「そんなのいけないよ。僕は--」
 というか見付けましたよ、蒼穹様っざ--アリガルダルは尻尾を使って蒼穹の体に巻き付けようと試みる。
「おっと躱した--」
「甘い、私を忘れるな!」
 あ、親父め……うわああ--蒼天は蒼穹の上着の襟を右手で掴むとまるで蹴鞠を放り投げるようにアリガルダルの元に送った。
「助かりましたっがん、蒼天様っざ」
「だが、増長を促しても安易な甘やかしはしません。何か言い残すん事はありますんか、蒼穹様?」
「俺は……絶対に此の国を変える!」
「兄さん」
「だが、具体的な事は其の歳では考えられないだろ?」
「言ってくれたな、親父。俺は此の歳でも多少は考えが及ぶんだよ!」
「後一言聞いてやる、言ってみろ!」
「天同躯央くおうが提示した課題の全てを俺達が生きている内に全部果たしてやるからな!」
「……わかった。では運べ!」
 はっざ--アリガルダルは壁移動も駆使して二名を運んでゆく!
「まだ話はああ--」
「言ってくれたナア。蒼穹様は若干、歳頃とは思えない考えを持っていますからナア」
「だが、蒼穹様も一皮剥けば年頃の子供ですん。ですんよね、蒼天様?」
「そうだな。あいつは少々、何もかもが出来過ぎる性格をしている。其れ故に注意してくれる生命が少なく、更にはあいつに注意出来るだけの能力ある生命も少ない。故にあいつは何時も独り身に成りがちだと私は思うからな……ゴホゴホ!」
 蒼天は左膝を付き、右掌で口から吐き出す何かの飛散を防ぐ!
「だ、大丈夫ですんか!」
「ギ、ギガンダッドを呼びまスウカ?」
「いや、良い。如何せ私の命は長らえた所で猶予はない。其れ以前に此の事は……少しでも蒼穹や紅蓮に知らせる訳にはゆかない」
「で、ですがあ……蒼天様」
「ああ、生きている間に銀河連合に喰われた地域全土の奪還か……其れだけは果たしてやる!」
「だったら猶更の事、療養した方が--」
「ラゼンルノよ、弱った所を国民全てに見せる訳にはゆくまい……例え蒼穹や紅蓮であろうとも!」
 蒼天についてはお分かりのように此の後二十の年以上も生き続けた。其の理由はラゼンルノが弱った蒼天に代わって自ら前線の指揮官達を鼓舞した為だと歴史に記されてある。其れを見て蒼天は無茶を辞めて以降はラゼンルノに任せて自らは跡継ぎである蒼穹と紅蓮の養育と王の位を世襲させる為の準備を始めて行く。そう、己の無茶を少しでも緩和する為に。
 さて、蒼天の病について蒼穹は存知得たのか? 其れはアリガルダルが運ぶ中で才に優れた彼は何となく察していた。
(親父の奴はああして気丈に振舞ってるようだけど……俺にはとっくの昔に見通されてるぞ。親父が其れでも無理をするのは……ったく俺は子供だぜ。子供のように知らん方が良いよ。其の代わり、親父が死ぬ寸前で気付いてやるさ!)

『--結局、兄さんが気付く前に父は病の事を公表。此れに依り、一時は国民全体が意気
消沈したと兄さんは言ってたな。幾ら当時は十三歳の私でも父さんが無理をしていた
なんて僕には勘付ける筈もないし、まだまだやれると思っていた私にはあれこれを的確に
読むのは無茶の極という物だ。
 おっと余り良い表現じゃないな。そろそろ次の話に移ろう。何だかこれ以上引き延ばすと
良い数値に成らないような亡き兄から説教を受ける気がする。
 次の話は--』

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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