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一兆年の夜 第九十八話 蒼穹の紅蓮 過去に思いを馳せて(序)

『--とまあまだまだ書き起こしてからなので中々思い出せない。最初は何から紹介
しよう。うーんそうだ、私と兄さんが生まれてから五の年が経過したあの冬だ。あの冬は
雪が降っていて中々心が躍ったな。
 確か曜日は金で--』

 ICイマジナリーセンチュリー二百三十二年四月十一日午前十時二分三秒。

 場所は真古天神武首都ボルティーニ中央地区神武聖堂。躯伝の間の外側の襖を開けて直ぐにて齢五にして九の月と八日目に成る神武人族の少年が二名、雪遊びをする。今日は本来は勉学と稽古の金の曜日であるにも拘らず。
「こっちだー、紅蓮ぐれん!」
「まってよ、兄さん!」
 頭脳から身体能力迄誰よりも素晴らしい物を持っていた少年が蒼天の第一子である蒼穹そうきゅう。此の物語の主人公。一方の蒼穹を追いかけるのは蒼天の第二子である紅蓮。物語を思い出し、綴ってゆく役割を担う。
 二名は特徴的な物として何でも卒なく熟して指導者としての素質を持つ蒼穹と一方で此れと言って突出した部分がない物の仙者の呼吸を備えた上に時折、青き眼を宿すのが弟の紅蓮。次期王に選ばれるのは此の時点で紅蓮である。蒼穹は自分よりも秀でた部分が少ない紅蓮に何時も苛立ちを見せる。
「全くお前をきたえているんだぜ。少しは良いところを見せて見ろよ!」
「むりだよ、兄さん。ぼくは兄さんみたいにすぐれてなんかいないよ」
「せんじゃのこきゅうほうとしんせんじゃのもつあおいめしかとりえがないよ」
「全くお前にはいつも……ってごめん。そうゆうおれもすこしははんせいしないとな。そうゆうわけで紅蓮。雪だるまを作ろうぜ」
「だるまかあ。だれがだるまって名まえをつくったしたんだろう?」
「そこは『発明』って言うんだぜ、紅蓮。ま、そうゆうむずかしいことは親父のしごとだからおれたちはおもむくままに……オラア!」
「ああ、やったな。ぼくだってゆきくらいつくれるんだぞ!」
「そこはゆきのたまだ。お前は全くできないだらけだな……それ!」
「つめたっ……ぼくだってえ」
 二名は一の時もの間、雪遊びを楽しみました。何が秀でるやら優れるやらを関係なしに子供らしく遊んではやがては疲れ果てて部屋の中に転がって温かい毛布に包まりました。尚、其の毛布は雄略羊族が他者の為に毛を剃って売り出した物。其処にタゴラス山羊族という本来は暖房な毛を持つ羊族及び山羊族は大体砂漠地帯で暮らすのも辛い筈なのに其れでいて住み付き更には山間部で暮らすという希少な種族が自ら狩った羊毛を複合させる事で完成した毛布に二名は包まる。温まらなくて如何成るというか。
「あたたかい……二度と出たくないとおもえるほどにあたたまる」
「でもふくごうのようもうだからだんろのちかくにおけないんだよね?」
「あたりまえだ。もえやすい物は火事の元だ」
「だよね。ぎんがれんごうのつぎにかじはつきものだ」
 銀河連合かあ、どうしてあいつらが今もおれたちを苦しめるんだ--銀河連合への怒りを募らせる蒼穹。
「にいさん、あんまりおこっちゃだめだよ」
「だって……おれたちの心というやつができあがる前に母さん死んだんだぞ。げんいんは銀河連合にあるんだぞ!」
「それでもぼくたちはかあさんのしがなんなのかはっきりみてないんだよ」
「そりゃあだれだってぜろの年のことなんてわからないって!」
 だよね--子供心に紅蓮は生まれて間もない頃の記憶がはっきりしない事に悔しさを滲ませる。
「うん、決めたぞ!」
「なにを、にいさん?」
 おれは……いやおれたちの手でかならずこのくにをさらにはってんさせるからな--蒼穹は寝転がったまま紅蓮に見せるように天井に向かって右手を突き出し……拳を握り締める!
「そうだね……ぼくたちはともに力をあわせればできなくはないんだよね!」
「まあその前におまえがもう少しできなくちゃな!」
 むちゃ言わないでよ、にいさん--紅蓮は両手で蒼穹の右腕を掴んで揺らす。
「コラ、重たい!」
「さんざんぼくになにか言ったつみだ。おもくてとうぜんだ!」
「このお、紅蓮のくせしてえ!」
 二名は兎に角、互いに問題を抱えつつも成長してゆく。
(そうだ、そうなんだな。おれたちはいつもいっしょだ。ずっとずっといっしょなんだ……そう思ったアマテラス文字もまともに頭の中で表せない子供の頃だな……と多分後になって思うだろう。ってこのとしでそんなむずかしいこと考えてないで遊ぶことだけ考えないとな、おれも)
 蒼穹は此の時、既に一般的な五歳の少年には考えられない思考をしていた。やがて二名が十三の年に成る時……更に蒼穹は年齢に見合わない思考をしてゆく。

『--とまあ子供時代の回想を綴った。兄さんの考える事は当時の私には予測も出来ない
事ばかりだったな。其れは私自身が兄さんに届かないからなのか其れとも一般的な考えで
通りやすかったのか?
 兎に角、兄さんは何でも出来た。自慢出来る兄だった。そろそろだな。そろそろ本筋に
入らないとな。先ずは過去に思いを馳せる訳を紹介した。子供時代は思い出したくない事
もあれば能々考察すると思い出して良かった事もたくさんあった。兄さんの始まりは
やはり一緒に毛布に包まった時に右手で拳を握り締めながら宣言した事だろうな。
 じゃあ私の始まりは何か? いや、私は此の日記を記し始めるまで始まってすら
なかった。だからこそ此れはまだ序章に過ぎない。まだまだ思い出すまで時間を要する。
 申し訳ないが、次から本筋に入らせて戴く。では本筋だが、そうだなあ--』

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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