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一兆年の夜 第十五話 物々交換から貨幣へ(二)

「それにしてもこの森は暗い」
 私は呟いた。もうすっかり月が出ているというのにこの森が暗いというのは変?
「あれい? サク花ちゃんはお外に出たこと無いからわからなかったのい?
 だってい、この森は元々広葉樹溢れる神々の森と呼ばれて有名だったよい!」
 そんな話聞いた事無い! 適当な事言って私を誘うなんてやめて!
「適当な事とお思いかぶ、サク花さん? それについぶはちょうど木に登っておぶ
生意気小僧に聞いぶみなせぶ!」
 生意気小僧? ああ、齢十六にして五の月と二十八日目になるラテス栗鼠族の
マルコラーニフ・ベンジャロボロス君。ちょうど目の前にある木に登って外の様子を
確かめてる。
「マルコ君! 聞こえていたら返事!」
 マルコ君は私に気付いて木からゆっくりと降りる。そんな螺旋状に両眼を回しなが
ら私を見つめて何?
「サク花のお姉ちゃん! 無事で良かった!
 てっきり銀河連合に食べられたかと思ったよ!」
「心配してくれてありがとう。それよりもマルコ君も早く逃げないと--」
「な、何で逃げるんだ? 僕は銀河連合と戦って打ち倒すんだ!
 逃げるんなんて神様への礼に反しないか!」
 確かに礼に反する。でも--
「倒せぶと思ぶのか? 四十の年より前に奴等は国家神武を食らぶ為にわざわざ
空から大量に押し寄せぶという話は知らなぶのか?」
「知ってるんよ! でもそれはどうせ誇張してるんだろ?
 そんな噂で僕が銀河連合と戦うん事を避けようんったってそうはいかないよ!」
「実際のところい、君が奴らと戦って生き残れる根拠はあるのかい?」
 シ文の言葉を聞いたマルコ君はちょっと顔を引き摺った!
 この場合は根拠じゃなく自信がない。この子の場合。
 それでも意地を見せようとするのか--
「そ、それでも僕は銀河連合と戦うんぞ!
 僕は言葉なんて信じないからな!」
「じゃ、じゃあこれでも食っぶ落ち着けよ!」
「ラテスプリは好きじゃない! テレスプリの方が好きだ!」
 でもこの場にテレスプリはない。どうし……そうだ!
「ない、何してるのい? 今から子供服を作ったって間に--」
「黙って! 私は急いでる!」
 私は蜘蛛族の雌。糸は蜘蛛族の誇り! 形は雑になるけどこれで完成!
「こい、これってテレスプリみたいい」
「サク花のお姉ちゃん? これ食べられないよ!」
「いい! これを大事に持ってるとあなたの大好物であるテレスプリを食べる欲求を
抑えられる? いえ抑える事出来る!」
 本当ではない。私の糸で作った模造品。私は罪深い雌! 神様に申し訳ない!
 だから私はお嫁に行けない! 私の代で--
「ありがとう、お姉ちゃん! ってそんな事言ってるんば--」
 足下が爆発! ぎ、銀河連合に食べ--られなくてよかった! シ文が私を持ち
上げてくれたから土竜型に食われなかった!
「ぶ、無事ぶマルコ君!」
「ええ、何とかね! お姉ちゃんのテレスプリは!」
「そんな事言ってる場合? 土竜型だけじゃなく獅子型が来てる!」
 今にも齢二十八にして二日目になる帰化してラテス豚族になったブラグロと
マルコ君二名を大きな口で食らおうとしてる!
「マルコ君! 君は土竜型を引きつけぶ!
 俺は獅子型を引きつけてやぶ! この豚足で!」
「わかったよブラグロのお兄ちゃん! 栗鼠族の雄の力を銀河連合に見せつけてや
るん!」
「つい、燕型まで追ってきたい!
 かなり揺れるけど我慢しててねい、サク花ちゃん!」
 銀河連合は私達を追い詰めてる! このままじゃ私達の中にも死者が出る!
 全員無事でこの森から抜けられる? わわ! 揺れる! シ文の言うとおり揺れ
る!
「し、シ文! 私も手伝う!」
「喋ったら良くないい! どどうやって手伝うい?」
「糸を出す!」
 とは言っても出せる余力は少ない。日が暮れるまでに子供服五着作った。
 更にマルコ君の贈り物としてテレスプリの形をした物を作った。残りは熊族の親指
の大きさしかない。
 それでいい!
「そい、それはサク花ちゃんの糸が硬いから燕型の首に巻き付けて死なせる
のい?」
「正確には倒す! 私は戦いは好きじゃない。
 でも皆を守る為なら戦う!」
 そんな事を言ってる内に銀河連合燕型は旋回性の高さを駆使してシ文との距離を
縮めていく!
 いくらシ文が蜻蛉族の雄で森の中での飛行は一枚上手であるにしても旋回速度
は燕型が速い! このままでは私達は食われる!
「だから私は糸を出す!」
 聞こえるように大きな声で叫んだ! シ文が五番目に大きな木を半周している間
に私はその木に糸をくっつけた! 糸は私の足の先端より細く、そして剛い!
 でも燕型は糸を避けた! 今度は--
「俺は疲れてきたよい! このままじゃい、俺達もろともい、食われ--」
「いいえ! 今葉っぱを通り過ぎた? だったらもう葉っぱにも糸をくっつけた!」
 残りは少ない! 絡まればいいけど、燕型は避ける! も、もう保たない!
 このま--えっ!
「燕型が進行方向の反対側に押し出されるかのように飛んでい……いやい、飛ばさ
れたい!」
 燕型は二番目に大きな木に激突! 幹はひび状に傷を受けたけど、それ以上に
燕型の肉体は原形を留めないほど深刻な状態! 死んだ? いいえ、死んだ!
「ハアい、ハアい、休みたいけどい、ブラグロとマルコが無事か確認しないとい!」
 私とシ文は二名をすぐさま見つけた。森の南側に広がる浜辺!
 二名とも傷はあるけど、一生治らないものじゃない。良かった!

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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