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一兆年の夜 第九十七話 恐るべき発明(八)

 午前二時四十一分十八秒。
 場所は裏島西側断崖。三名が真古天神武蒸気船と銀河連合が乗る小舟との打ち合いを眺める中でコケッ区はある事に気付く。
「何ですか、その軍事理論はー!」
「軍事には詳しくない私ではあるが、流石に其処までは飛躍し過ぎじゃないですか?」
「いや間違いなく銀河連合は既に其処までの戦術を取る事が可能じゃって。細菌戦術が取れるという事は即ち、奴等は食事戦術で全生命をものの数の月の後に死なせる事だって可能だっち!」
「食糧に銀河連合を混じらせて各家庭に回せば……ねえ」
「だからって細菌戦術から如何して食料戦術が繋がるのかわからないー!」
「だからお前は何時まで経ってもわしの理解者に成れないんだっチ!」
「ふざけるなアー!」キリモンは怒り出し、コケッ区を締め付ける。「如何して何時も何時も自分の頭の段階で物を言うんですかー!」
「うぐぐっか」
「キリモン君……余り力を入れ過ぎるなよ!」
「大丈夫だよー。俺も全生命の一員ですのでコケッ区先生を死なせたりは……しませんー!」返答した後、キリモンは話を進める。「良いですか、先生ー。全生命体は誰だって知らなくて良い事を知るように出来ていないのですー。誰だって今しか見えずに過ちをしてしまうのですー。誰だって……賢くだって成れないのですよー!」
「キリモン、お前はっち」
「だからさあ、先生ー。もうこれ以上他者に過度な期待を抱くのは止めて下さいー!」涙を流して伝えるキリモン。「俺達は先生が思っている程に希望を抱えられる訳でもなければ自らを見つめる事が出来るほどに出来た者じゃないのですー!」
 其の涙は首の一部に落下し、更には締め付けられるコケッ区の嘴に滴る。嘴に僅かながらもキリモンの涙の熱を感じ取ったコケッ区は次のような一言を口にする。
「ウググ、そろそろ離してくれないかっか?」
「あ、申し訳ありませんー」
 解放されたコケッ区は少し咳き込みつつも締め付けられて何処が歪みがないかも確認。歪みが見られない事を確認すると喋り始める。
「成程、まだまだわしは全生命に希望を背負わせる時期ではないと知るべきだったっち。寧ろわしは誰かに希望を押し付けた事を誤って抱かせるべきだと思い込んでしまったって!」
「博士……まさかとは思いますが--」
「まだわしの話が先じゃっち。わしはキリモンに締め付けられて泪の熱を浴びて初めて自らの行った罪に気付いたっか!
 わしは電撃望遠弾第一号で同胞全てを死なせる所だったっか。寧ろ、わしは全生命体の希望を吐き違えていたんだっか!
 本当は自分こそ成りたかったっき。だが、心の甘さがわし自身に言い訳をさせてしまったっけ。わしは……自らの希望を信じる事も出来ずに他者に希望を押し付けてしまったって!
 わしは……わしは--」
「わかったよー。十分にわかったよ、先生ー!」
 二名は抱擁--其れが最後の抱擁に成るとは片方は気付かない!
「泣かせるねえ。此れが信頼という名の希望か。私にだって出来るかな?」一方のバレイズはある事を考える。「いや、止めておこう。まだ其の時ではないからな」
 抱擁を終えた二名。内一名は次のように言った。
「ではキリモン、それにバレイズ……お前達は先に戻ってくれっち!」
「な、何を言うんだー!」
「わしは最後の仕事に取り掛からないといけないっち!」
「何の仕事だよー!」
「其れは--」

 午前十時二分七秒。
 場所は隠れ拠点隔離室。戻って来て早々に蹴られ、踏みつけられるある生命。
「ウググぐ……まだ、まだ眠る時ではないっチ!」
 其の仕打ちは三の時も掛けて行われた。流石のコケッ区も其処まで来ると後数の分しか生きられないと気付き始める。
「ウググ……出て行ったなっか。ハアハア……折れた肋が肺に二本も刺さって、ゲホゲホっか!」出血量及び肺に溜まる血液の量を含めても既に生きられる時間は限られると気付くコケッ区。「せめて……最後にあの子と一緒に、あの子と一緒にって!」
 這いずりながらもコケッ区はコケッ区式電撃望遠弾の起爆口まで近付く。全ては人生最後の大仕事をする為に。
「やっと……着いたっち。わしは、そろそろ、はあはあっか」コケッ区はずっと濃ゆい股間周りの毛に隠してあった火点け棒を取り出す。「まさか、此れが……人生最後に、この子に火を点ける為に……使う、とはっか!」
 コケッ区は燐の部分に擦って点火させると自身と同様の靄みたいに燃える火点け棒の火元を電撃望遠弾の点火口に放り投げる--其処で二度とコケッ区は体を動かす事もなくなった!
「ハアハア……さあ、最後の--」
 やがて電撃望遠弾は弾丸内に溜め込んであった質量を熱に変えて今……隠れ拠点ごと裏島に足を付ける全ての者達を電撃の光で包み--

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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