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一兆年の夜 第九十七話 恐るべき発明(七)

 五月四十二日午前零時三十七分二十三秒。
 バレイズは自らの目的について告白する。実はバレイズは真古天神武兵器開発班の一員であり、やや遠い将来に訪れるであろう真古天神武全土を襲う大規模な流れ星を防ぐ為にコケッ区式電撃望遠弾と其れを開発したコケッ区の救出を密かに任された。だが、肝心のバレイズは民間者であって身体能力は高くない。なのに何故彼が派遣されたのか? 理由は次のキリモンの思考から明かされる。
(先生が只では転がらない生命だと知ってるからこそバレイズを派遣したのだなー。全く頭脳労働者には頭脳労働者以外に説得出来る生命は居ないと単純計算するようだけど……其れで心が入れ替わるような生命ではない事を真古天神武の上層部は知らないのかー!)
 キリモンの思う通り、バレイズが告白してもコケッ区は首を横に振る事を辞さない。
「はあ、あんたは希望なんだぞ」
「わしを希望とするなら全生命体は可能性を絶たれたも同然じゃって」
「其処まで極まった話をしているんじゃないぞ、博士!」
「極まろうが極まるまいが理屈にも成らん応酬でわしを打ち崩せると思うな、若造っち!」
「いやいや、希望ではなく……こうしよう。博士は希望を目覚めさせる起爆剤。私達にも希望がある様に博士だって希望を目覚めさせてこんなにも立派な望遠弾をお作り為さった。さぞ、睡眠が足らないと思って苦しんだでしょう?」
「今度は起爆剤かっち。バルケミンの頃からお前達のお喋り好きには困っていた所だぞっか!」
「だが、バレイズがどんな企みをしようとも先生が此処から離れる以外に道はないのです-!」
「いけないいけないっち。わしが離れれば奴等はいよいよ電撃望遠弾を使用するっか。其の威力はスクリュースタンダードアイランド何て目じゃないぞっか!」
スクリュースタンダードアイランド……もしや動く島か」
「範囲は半径成人体型たったの十だっか。だが、破壊力は思わずわしらが溶解する所であった位に尋常じゃない熱量って。わしの背に見えるコケッ区式電撃望遠弾第一号はスクリュースタンダードアイランドを沈めた第零号の十倍の半径を誇るっち。破壊力ともなれば島が無事であるかさえも怪しいっつ!」
「十倍だって……一体どんな方法で望遠弾を其処まで危険な領域まで高める事が出来たんだよー!」
「其れは永遠にわしの頭の中に眠るっち!」
「あれだけで島を沈める威力……幾らなんでも質量保存の観点からして無理だ、無理があり過ぎるぞ!」
「其れは従来の物理学に囚われているのだよ、バレイズ・ボルティーニの坊主っち」
「従来の? 従来って言えども……まさか、博士は質量を熱に変えられると本気で信じているのか!」バレイズはやや声を張り上げて立ち上がる。「そんな事が可能だとしたら此の島どころか一歩踏み誤れば水の惑星だって沈める事が出来るぞ!」
「流石に其処までの事はしないっち。爆発力と言えども其処までは無理じゃなっち。だが、あれに気付いたお陰でわしは此れだけの大きさまで縮小する事に成功したって。後は此れが起動するか如何かじゃなって」
「さっきから意味不明に話を進めているけど、俺には何の事やらさっぱりわからんぞー!」
「キリモン君は相変わらずだね。よくそんな脳が足らん状態で博士と長い付き合いが出来たなあ」
「お前と一緒にするなー。俺は元々、前線出身の軍者だぞ。たまたま医療部門に詳しかったから先生の所に派遣されたんだー!」
「まあキリモンが直情的で助かったっち。お陰でわしの研究成果が真古天神武にまで流れる事はなかったなって。そうゆうのは其れに詳しい生命でないと理解が出来んからなっか」
「ハア……えっとー」
 キリモンは何かを忘れていた。其れを考え始める。
「俺は何故命懸けでここまでやって来たー? 話を聞く為にー? バレイズの真実を聞く為にー?
 いやいや、違うだろうー。俺は俺がここに来た本当の理由はつまりなあー!)
 キリモンは長い首でコケッ区の襟首を掴んだ……「な、何をするっけ!」其れから彼を自らの背中に乗せた!
「話している時間がもったいないー。今直ぐに此処を出ましょうー!」
「え、如何ゆう……ああ、そうか!」バレイズは何かを思い出す。「いけないな、私達は時間を掛け過ぎた。侵入者に気付いて奴等が包囲しに来るかも知れんな!」
「急ごう、先生にバレイズー!」
 待て、わしは残るぞオオウっち--と訴えるも誰よりも恩師が大事なキリモンは聞かず!
 其れから三名は隠れ拠点を脱出してゆく……

 午前二時二分三十七秒。
 場所は西側断崖。三名が其処で目にしたのは三隻に向かって小舟のような何かを出して進んでゆく銀河連合の姿。
(まずいぞー。あいつらは俺達を黙って逃がさないって気付くべきだったー!)
「拙いな、此れは」
「数は少ないなっち。なら大丈夫--」
「大丈夫じゃないー。さっきみたいに極小の生命で襲い掛かったら如何するんだ、先生ー!」
「何、極小っか?」
「ああ、キリモン君は其れで死に掛けたんだ」
「まさか銀河連合は--」
「ああ、血液だって武器として運用出来るのだよ」
 其れを聞いてコケッ区は気付いた。其れは次のように表現される……

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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