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一兆年の夜 第九十七話 恐るべき発明(六)

 午後十一時十八分二十七秒。
 場所は隠れ拠点隔離室。
 コケッ区は電撃望遠弾を見つめる。彼は心の中で何を思うのか? 其れは独り言でしか明かされない。
「なあ、お前は何の為に生まれるっち? 銀河連合を倒す為に生まれたのだとしたら果たして戦い以外で何か活路を見出せるのかって? 如何して戦うのか、生命はっち。何故わしらは此処まで苦しみ続けるのだっか。戦いの為にわしらは自らの生活水準を神に近付けようとするっけ。如何してだと思うか、如何してわしらは生活水準を高め続けるのだっか。いかんな、話が脱線したっち」
 だが、いざ思った事を口にすると誰もが思考と口調の相違に苦しめられる。コケッ区も又、其の内の一名である事を自覚する。
「少し話を逸らすかっか。わしみたいな頭だけが空回りする生命は他者とお喋りする時についつい息遣いが荒く成るっき。慣れた者との会話は比較的落ち着くのだがな。いや、怒りに我を忘れる場合は更に落ち着いた事を口にするって。何故なら相手を気遣う必要もなくなるっけ。だがな、其れはいけない事だっち。真実を恐れる証拠だって。真実を恐れる生命が如何して何かを生み出せるかっか。そうだなあ、そうだろうっと!」
 其れから話を戻してゆく。
「だったらお前が生み出される理由はわし自身の隠された一面をみんなに知って貰いたいからだろって。そうだろう、なあコケッ区式電撃望遠弾第一号って!」
 コケッ区の独り事は此処で終わりではない。だが、銀河連合が其れを許さない。
「また来たかっち。良いか、既にコケッ区式電撃望遠弾は完成したって。其れを今からお前達自身の足で使うべきだって。わしは其れを確認してからお前達に製法を教えるっち。約束は守れよ、お前達にも約束を守るだけの筋を通す意地があるのならって!」
 だが、虎型と蝙蝠型は相も変わらずにその返答に怒り狂う。後一歩でコケッ区は痙攣を起こす前段階に突入する所だった。コケッ区は自らが生きている事を感謝。感謝しつつも己を痛め付けて気分が晴れたと体で表現する二体の銀河連合の背中を睨み付ける!
「はあははあ……あの製法はわし自身の心の中に留めるっち。絶対に漏らしてはならんっち。仮にこの島の世界観補正が奴等に向く事があろうともわしは絶対に製法を漏らしたりは……しないぞっち!」
 其の執念が老い先短いコケッ区を動かす。彼に再び立ち上がる勇気を与えて行く。決して素早い立て直しではない。一の分、いや一の時掛ける程に気長な立て直しを要する。其れは同時にある者達との再会を呼び起こした。
 突然、扉は開かれる。入って来るのはキリン族の青年と人族の青年。
「先生ー!」
「お前はキリモンかっか!」
「随分と痛め付けられたな、禾野コケッ区博士」
「あいつらめ、加減という物を知らんのかー!」
「何故ここへ来たっち?」
「助ける事に理由が居るのかよ、先生ー!」
「そうゆう事だ。あんたの監視役は相当に過保護な性格をしているぞ!」
「全く普段からわしの話を理解しないお前がって」
「理解出来ないのは十分わかるー。だからって俺があんたとの繋がりをそんな理由で肯定しないって勝手に決め付けるなー!」
「ふう、これも又全生命が持つ思いやりの可能性なのかっか。全く困った話だなって。劣友言いながらも結局は縁を切らない奴等との関係性みたいな物じゃなって」
「ならば俺達は--」
 わしはここを出たりはしないぞっこ--決意は揺らがないコケッ区だった。
「何故なんだよー。そんなに傷付いて迄如何して電撃望遠弾の為に奴等を利用しようと企むんだー!」
「利用するからこそ全生命には必要なのだよ、此の電撃望遠弾はっち!」
 此れは深刻だな、聞かせてくれよ……コケッ区博士--バレイズはコケッ区に尋ね始める。
「バレイズ・ボルティーニじゃなって。話は聞いておるっち。お前が何を目的にわしの所に来たのかは自ずと見え隠れするって」
「私の事よりも先に……いや、先ずは私が何の為に裏島に足を運んで迄博士の所に尋ねに来たのかを告白するのが筋だな」
 其れからバレイズはゆっくりと真意を告白してゆく……

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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