FC2ブログ

一兆年の夜 第九十七話 恐るべき発明(四)

 五月四十一日午前五時七分三十一秒。
 場所は裏島。中央の突起した場所にある銀河連合の隠れ拠点。
 其の拠点にある全長成人体型六十六を超す巨大な何かを外に出せる巨大な扉のような何かがある部屋で禾野コケッ区は目覚める。
「ハアハアっち。何も飲まず食べずの生活は……堪えるなあって」
 銀河連合の出した食料は一般生命には食べられない。実際に噛んでみるもコケッ区からしたら凝土を口に含む程に受け付けないモノだった。
「そもそも同胞と思われる筋肉をわしに出して来る銀河連合の神経がわからないっち。筋肉を食べる習慣が奴等にはあるというのかっち!」
 コケッ区は飢えに苦しみつつも互いの食文化の違いを痛感。其れだけでなく、彼等とは分かり合えない事を改めて知った。
「独り言だけが呟かれるっち。まあ昔からわしは独り言が好きだった生命じゃっち」
 そうしていると独り言さえもさせまいかのように蝙蝠型がまたコケッ区の頭上を飛んで来てはある部分から水と氷ばかり食べたら起こり得る何かを吐き出してコケッ区に浴びさせる!
「オノレえ……こっちは其れ浴び続けたせいで肌の燃えるような何かを起こしてるってのに今度は下痢かっそ!」
 其れが終わると蝙蝠型は部屋を後にした。
「だが……炎症を起こしてでも堪忍した御蔭で奴等が足薄な間隔ってのを知ったぞって!」
 独り言ではあるが、コケッ区は敢えて大声で其れを発する--彼等の耳に届かせる事で警戒感を強めさせる為……或は緊張感を高め過ぎて思わずある部分だけが隙を生じさせる事も狙い!
 其の時期が訪れた。其れは蝙蝠型に何かを浴びせられて三の時より後……コケッ区が其の時間帯に扉の鍵を調べる。すると鍵は開いていた。そしてコケッ区は外の様子を確認する為に出る事に。

 午前十時五十四分五十六秒。
 場所は裏島西側の断崖。波は西側に集中砲火を浴びせる。
 其れは外伝雄略海の不可思議な波の動きがそうさせるのか? コケッ区はそう考えつつも其処から顔を覗かせる。
「あ、あれは……あのキリモンめ、お前までやって来たらわしの計画に支障をきたすつもりかっち!」
 コケッ区の計画ではキリモンは乗船しないと思われた。そう思ったのは何故なのか?
 実はキリモンはコケッ区と出会う度に何かろくでもない事ばかり口にする。何を言おうともコケッ区にとって耳障りな事ばかり。コケッ区が何か言う度に何度も質問し直したりするなど、此の二名のやり取りは正に頭でっかちの典型例と一般的な生命との隔たりを感じざる負えない。其の為、コケッ区はキリモンは助けを呼ぶだけで船に乗船するまいと踏まえていた。
「恐らく此の誤算が招いたのは……あの地図だなって。何しろ、真古天神武軍内でもただもの島とおかもと島自体知る生命は殆ど居ないと思われるからなっち。だが、もっと詳しく跡を残そうにも却って銀河連合に察知されかねないっち。つまり誤算は起こるべくして起こったという訳か……まさかの粒子論が此処に来て立証されるなんてなって」
 コケッ区は後の相対性理論だけでなく、量子論すらも既に踏み込んでいた。コケッ区式望遠弾は相対性理論だけじゃなく、量子力学と後に呼ばれる理論をも用いて考案された代物だった。
 さて、コケッ区がそう推測したキリモンが乗船した理由。此れは大きく違う。実はキリモンはコケッ区の事を慕っていた。何事も上から目線で知ったかぶりが多少混じるコケッ区の話し方に辟易しつつもキリモンは命令を超えて彼を慕っていた。其の為に、キリモンはコケッ区が連行されたと聞いて居ても立っても居られない状態だった。事実、キリモンは上陸を願い出た程でもある。だが、其の上陸命令はキリモンと同じく指揮艦船に乗り込むバレイズが反対の立場を取った事により、叶わない。叶わないと知りつつもキリモンは何と独断で脱出艇を使って密かに裏島へと乗り込んでゆく。此れもコケッ区の計画のずれを招くとは誰も思わない。
「兎に角だっつ。既に奴等もわしが居ない事を知ってか、鳥類型を使ってまで探し回ってらあった。さっさと戻らないとな……と其の前にっと!」
 コケッ区は空腹で如何しようもない状態だった。なので西側にある薬草と思われる草を千切っては口に含みつつも残りは毛の中に隠してから戻って行く。尚、コケッ区は薬草だけじゃなく、食べられる茸の種類も既に把握済みだった。

 午後三時五十七分四十七秒。
 場所は隠れ拠点隔離室。
 其処で一の時と二十八の分もの銀河連合に依る攻撃を耐え抜いたコケッ区。口から吐血しつつも何とか採取してきた薬草だけは守り通した。其れから虎型と蝙蝠型が部屋を後にすると独り言を始める。
「折れた骨が肺に突き刺さって……ブフウ、ハアハアって!」コケッ区は右手羽先で痛みが激しい個所を触診する。「ウグ……アッグ……全く奴等は閉じ込めた相手を大事にするという精神はないのかっか!」
 あれば今頃は全生命体の銀河連合は手羽先を取り合う……叶う筈がないからこそ今も戦い続ける事をコケッ区は痛感しつつも隠してあった薬草を全て口に含ませる--半端に残すと勘の良い銀河連合は其れを見付けて取り出しては更なる仕打ちをコケッ区に与える可能性が高い!
「どちらにせよ、奴等の目的は……ブフウ、っち。奴等はコケッ区式電撃望遠弾の使用だけじゃなく、製法まで入手して其れ迄わしを活かす事だろうっち。自力で見付けるか、其れともわしを散々攻撃して吐かせるかっか? だが、な……ウググぐっく」
 コケッ区は既に製法を記した紙を燃やした後だった。残ったのは全て適当に記された創作話用の製法図だけ。銀河連合はコケッ区が住み着く隠れ処で運んだのは望遠弾だけじゃない。コケッ区の製法図も同時に運んでいた。
「あれらから如何やって電撃望遠弾に届く物かっし!」

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2カウンター
リアルタイムカウンター
現在の閲覧者数:
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
Powered By FC2ブログ

今すぐブログを作ろう!

Powered By FC2ブログ

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR