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一兆年の夜 第九十七話 恐るべき発明(二)

 五月三十九日午前五時四十三分四十四秒。
 場所は不明。其処は薄暗く、更には一般生命の鼻には少々強烈な臭いが立ち込める。
 幸いな事に此の臭いのお陰で齢四十一にして八の月と八日目に成るゴルギ鶏族の老年にして名の知れた学者及び研究者である禾野コケッ区は目覚める。
「うぐっげ、わしは……此処は何処だっけ!」
 コケッ区が必死にもがくも両手羽先を抑え付けるように縄のような何かが縛って動けない。おまけに両先端も羽根と羽根の隙間を縫うように縛るせいで力さえ上手く入らない。頭脳労働者にして自らの肉体を理解するコケッ区はもがくのを諦める。
 助けてくれえええええっかあああ--と同時に誰かが来るのを期待して喉に力を籠めて叫ぶ!
 すると現れるは二体の影。奴等は蝙蝠型と虎型。奴等がコケッ区の声に反応したのは一重に何かを果たす為である。其れは何か? すると奴等は距離成人体型一を下回る所で立ち止まり、飛ぶのを止めて着地して何かを取り出す。
「お前達の目的はわしだけじゃないっげ。やはりあそこはお前達が隠れ処として使った居たっけ!」
 だが、何処まで行こうとも銀河連合に会話は存在しない。理解はしても共感はしない。何故なら銀河連合に一般生命が当たり前に持つ思いやりの心はない--寧ろ縛られたコケッ区に向かって虎型の前右足が顔面に炸裂……何も抵抗出来ない生命に傷を入れる事に罪を感じないとは此の事か!
「うぐぐっち、鼻血が止まらんって」拭う為の手羽先を封じられたコケッ区は首を下に向けて必死で拭おうとする。「お前達が水の惑星に来なければ全生命体は発展こそしなくとも安心して人生を謳歌出来たのっき」
 だが、銀河連合に何を言っても意味は為さない。今度は蝙蝠型がコケッ区の真上を飛んで何と--見るからに恐ろしい行為をした……尿を掛けられたり痰を飛ばされたりする方がどれだけ清潔なのか!
「ウググ……要件は其の紙に記されたコケッ区式電撃望遠弾の早期完成だなっけ。そんな物はお前達に頼まなくとも……イデッテ、今度は折れた歯を目に当てる気で投げたなっき!」
 銀河連合がコケッ区を痛め付ける理由はない。其処には怒りを発散する目的や趣味と呼ばれる物などない。単純に気分がそうさせたのか? 何れにせよ、此れだけはわかる。一般生命の行動が銀河連合にはわからないように銀河連合の仕草を一般生命がわかる筈もない。わかっていればベアール・真鍋を始めとした生命は戦いの道に踏み出す事もないのだから。
 其れから虎型と蝙蝠型は散々コケッ区を穢して二の時の後に、腹を空かして頭が回らないコケッ区を突然縄を外す。が同時に其の縄で何と左手羽先を縛ると引っ張って広く更に臭いが強烈な部屋まで引っ張った。其れからコケッ区を放して彼の背中を蹴り入れた!
「イデデッキ、わかっている物の実際にやられた本者は此れ程起こりたいと思う事はないっく!」
 だが、コケッ区以外は会話しない。故にコケッ区は独り言を呟くような思いを受ける。
「だが……コケッ区式電撃望遠弾を作る為の施設に案内してくれて有り難いっけ。わしは試したいのだっか。一般生命は果たして一般生命を死なせる事が可能なのかっけ」
 だが、コケッ区は自信満々の表情でこう語る。
「わしは今の真古天神武の状況では此れから来るであろう銀河連合の大群に立ち向かえないっけ。立ち向かうにはわし自身が銀河連合と同じような脅威に成らないといけないっち!」
 其れがコケッ区の目的。彼は其の為にコケッ区式電撃望遠弾を開発した。全てはコケッ区式電撃望遠弾を銀河連合に使わせて現状、真古天神武の行う安全保障が如何に生温いかを全生命体に知らしめる為。
「何ック? そうかっけ、お前達はわしの望遠弾の中身が知りたいのだなっけ。教えてやっても良いが、先ずは目先のコケッ区式電撃望遠弾の性能がどれだけあるのかを知ってからでも遅くないっち」
 一般生命は真実を話す生命。其れは遠すぎる現代で生きる我々では理解出来ない事でもある。其れを知る為にコケッ区は敢えて概要を放す事を先延ばしする言い回しを使う。だが、二体の銀河連合は突然コケッ区に蹴りかかる。彼等は理解していた--内心は話す気は毛頭ない事を!
「だからッチ、死んだら中身、を、教え、教え、ないからなって!」蹴られ、引っ掛けられてもコケッ区は意地を張る。「お前達に協力するのは一重に全生命に危機感を思い出す為だけじゃないって。何時か……ハアハア、何時か銀河連合が手羽先を取れるか如何かも再検証したいっち!」
 手羽先を取り合うという考えを銀河連合は持たない。けれども、コケッ区に死なれる事を何よりも恐れる。故に二体の銀河連合は部屋を後にしてゆく。
「ウググ……腹が減ったっち。あいつらには食事を与えさせるという当たり前の事さえも理解出来ないのかっち!」
 今更ではあるが、銀河連合の食べる代物と一般生命の食べる代物は異なる。其れ以前に一般生命に筋肉を食すという習慣は過去から未来に掛けても一切存在しない。故に虎型が放り投げた筋繊維を目にしてコケッ区は壁際に体を向けて嘔吐したとか!
「相手を知る事が……ウエエ、此れ程までに吐き気を催すかあっか!」
 コケッ区はそう言いつつも次のような考えも浮かべる。
「お前には辛い思いをさせてしまったなって。だが最後まで付き合って貰うぞって。お前だって全生命体の希望の為に一肌脱がないといけないのだからなっち!」
 コケッ区電撃望遠弾に若しも命が吹き込まれるとしたら……何を思うのか?

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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