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一兆年の夜 第九十七話 恐るべき発明(一)

 ICイマジナリーセンチュリー二百三十三年五月三十八日午前二時四十一分。

 場所は不明。其処はある発明家が一部の生命以外に知らせていない場所。
 秘伝雄略島同様にたった一名では島に入る事が出来ても脱出が困難という特殊な渦が特徴的な無名の島。其処に二の週より前からとある生命が全ての機材、食糧、衣服等を一部の生命と共に運ばせていた。精々彼を含めて十名程しか此の島の存在は知られていない。いや、知らせない為に其の生命は此処に移り住んだ。残りの余生を一般生命と共に過ごす事を好まないのか、彼は其処で一部の者達が送る食糧で繋ぎ止めつつもある者の為に黙々と研究を続ける。
 そんな彼を心配する生命が一名。
(今度こそ先生にはこの恐ろしい島から出て行ってもらわねばならないー。大体、キリン族の俺にこんな狭い建物は……じゃなくて作物も実らない上にかつて銀河連合が住み着いたと思われる程の衛生環境の良く無さは余りにもお体に触るー!)
 齢二十四にして八の月と十六日目に成るギヌスキリン族のキリモン・ギリーズ。彼は国が派遣する公式看護員。実は現役軍者であり、医療技術を買われて真古天神武にとある発明家の面倒を看るよう依頼を受けていた。首が長く、殆どの建物では首の痛みに悩まされるキリン族の彼が派遣されるのは一重に彼しかある発明家の面倒が見れないと判断された為。事実、件の生命は余りにも頭の回転が速い上に忖度の心を知らない。故に長く付き合える生命は少なく、色々満足しえない感情を持ちつつも話を聞く事が出来るキリモンが選ばれた。
(全く一般生命離れと言えども限度があるー。何で一々こんな天井の低い所に入っていかないといけないんだー。俺は先生の相手役を今直ぐにでも止めたいー。あの先生は何時も何時もあれだ此れだと五月蠅いー。俺は受け皿じゃないってのー。いや、絶対に辞めてやるー。今回で絶対に辞めてやるー。もう我慢出来ないからなー!
 まあ辞表は先生が開発を進めるとんでもないあるモノを止めてからでも遅くはないー!)
 そう考えるから何時までも辞める事が出来ないキリモン。そんな性格を見抜いてか、国は彼を看護員としてある生命の元に派遣する。それだけに彼は条件を求める生命なのである。
 其れから彼はようやくその生命が居ると思われる巨大な研究室に入る事に成功……したが!
「あれー? セ、先生があああー!」
 既に蛻の殻だった。本来籠っている筈のある生命の姿が何処にもない。隠れるなんて先ず有り得ない。何故なら此処にはある生命が開発していたとんでもないモノが吊るされて然るべきなのに。其れを置いて隠れるなんて万が一に何かあっても責任は取れない。そう考えてキリモンは何かあった事を察知。
「先生がー。禾野コケッ区先生がー!」キリモンは其の例のコケッ区は只では姿を消さないと踏んで足掛かりを探す。「……あったー!」
 足掛かりはコケッ区が開発中の何かを外に出す為の右扉と地面の間に挟まっていた。其れは何かの地図。だが、何も描かれていない。一体全体足掛かりとして務まるのか?
(ひょっとしたら先生はー。何か黒鉛を、あ、あったああー!)
 キリモンはコケッ区が材料だけじゃなく、万が一に墨汁が尽きた際に使用していた黒鉛で作られた道具を発見。其れを磨り潰して紙の上に潰した其れを吹き付ける--すると何かの模様が描かれる。
「此れは……行き先を示しているのですね、先生ー!」
 こうしてキリモンはコケッ区の居所を突き止めるのだった!

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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