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一兆年の夜 第十五話 物々交換から貨幣へ

 私の名前は糸井サク花。齢二十九にして三の月と十四日目のエウク蜘蛛族の雌。職業は自らの糸で子供服を作り、それを物々交換する形で売る。先祖代々そうして
食べる物と交換。正直言うと私は物々交換は面倒。でも他に方法がないからわから
ない。
 それはそうと今私がどこ? ラテス島の南ラテス村に暮らす。その村で三番目に
小さな民家。私の代で糸井家は貧しい。
 だから私は働く。日が暮れた今、鳥系の子供服を五着作り終えた。ここで一日の
足作業は終わる。疲れた。
 物音? 誰?
「サク花ちゃんい! 俺だよい! 正岡シ文い!」
 そうね。確か齢二十七にして五の月と一日目になる帰化したばかりのラテス
蜻蛉族の青年。
「何の用?」
「サク花ちゃんの作った子供服と俺のラテスプリ一個い。
 どうい? 交換するい?」
「断る。私の空腹は満たせない」
「厳しいよい。俺だってこれだけ稼ぐのは疲れたい!
 頼むから交換しようい!」
「それでも断る。対価に見合わない。神様だってそう仰る」
「出たい! サク花ちゃんの口癖い、神様に頼るい!
 わかってるってい! 神々だってそう仰るのはい!
 けど、対価の基準が何なのかわからないい!」
 言われてみれば納得。私は常日頃から対価の基準に困る。やはり物々交換は
そろそろやめないと面倒。面倒ごとの解消法が見つからない以上どうしよう?
「ラテスプリ二個じゃないと子供服一着と交換出来ないのにい、子供服一着でないと
家の修理が出来ないのはきついい!」
 シ文は子供がいるから子供服が欲しいのではない。自分の家の雨濡れを防ぐ為
に子供服が欲しい。
「それでもラテスプリ一個では対価に見合わない。私の労働時間を計算すればそう
なる。
 だから--」
 また物音? 今度は豚族の踏む音。誰か--
「た、た、た、大変ぶ! 銀河連合がやってきぶぞ!」
 ぎ、ぎ、銀河連合! あ、あ、あの方達が来る! ど、ど、どうする!
「物々交換してる場合かい! ブラグロい! サク花ちゃんい!
 今すぐ逃げるぞい! 出ないと国家神武の二の舞になってしまうい!」
 国家神武! 銀河連合はわざわざ空から私達生命体の希望を砕いた!
 もう四十の年より前。私達は銀河連合に抗っても意味ない。銀河連合は誰も倒せ
ない。遺された希望は私達が逃げるしかない!
「き、気を付けぶ! 奴等は礼を欠くやり方をすぶ!
 慎重に逃げないと食われぶぞ!」
「でもシ文は大丈夫? 羽の音が大きい」
「ごめんよい! これは蜻蛉族の宿命だい。
 だけどなるべく小さくしてみるい」
 私達三名は音を出来るだけ小さくしながら家を出た。その時、私は銀河連合を見た!
「あ、あああ!」
 大きな声! 私のせい!
「あ、あれは獅子型い!」
「俺が見ぶのは燕型だ! あ、あれも上陸しぶのか!」
 ち、近付く! わ、私の八本足じゃ無理! きゅ!
「島一番の美雌を死なせるかい! 俺がサク花ちゃんの羽になるい!」
「それよりもブラグロをどうする? 彼の足でも--」
「心配すぶな、サク花さん! 俺はクロレット家の雄ぶ!
 だから逃げ方は心得よぶ!」
 そうね。手遅れだったわ。
 けど、不思議な事に私達は獅子型から無事逃げる事が出来た!
 そうしている内に南ラテス村を南門から脱出。南門付近の森に入ってゆく!

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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