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一兆年の夜 第九十六話 スクリュースタンダードアイランド(結)

『--さて、御覧の通りサヨ道君、キッ次君、そしてカエルヒコ君其々の主張を紹介
した。ではここからはわしが全て話そう。其のスクリュースタンダードアイランドの真実
を。
 先ずはわしは一般生命を好まない。何故ならわしのような優れた生命を誰も認め
なかった。次にわしが如何してお前たち一般生命向けにこのような著作を綴る事に成った
のか? 最後に著作を綴ったわしが此の後何をするのか? 此の三段階でスクリュー
スタンダードアイランド
がわしを此のような行動に移させたのかを証明させる。ま、
うっかりさんの禾野一族の生まれであるわしなのだから説明出来ない部分が出てしまう
事をここに謝る。
 さて、最初はわしが一般生命を信じない理由。冒頭では紹介し切れないからスクリュー
スタンダードアイランド
で働く下の者達を例に挙げてお前達がどれだけ建設せずに過ごす
のかを証明しよう。奴等は先ず、何も考えようとしない。体は確かに覚えているのは
認める。緊急時の対処も素晴らしいのも認める。だが、其れだけだ。わしは其れだけの
奴等に何一つ建設的な意味を見出す事をしない。いや、出来ない。何故なら奴等は現状
に足を満たしてもっと踏み込もうとする意思がない。仮にあろうとも出来るのは誰でも
言える事だけ。誰でも言える事には確かに民主主義に於ける現実的な見方も取り
入れよう。だが、民主主義にも看過出来ない問題点を既にわしは持っている。
 一旦、話の腰を折ってしまう事を此処に謝罪する。其れを踏まえた上でわし自身が溜め
込んでいる民主主義の思いをここに吐露しよう。結論から言うとわしは民主主義を心から
信じたい。其れは希望とは何時も絶対たる力を持った生命が放つ物ではない。希望とは
何時も何の力も取り柄もない一般生命の中に連綿と受け継がれてゆく物。其れは真っ青
に成る程悠久な時を過ごすかも知れないし、わしはそう思えて仕方ないのかも知れない。
其れ位に一般生命は自分達の可能性を信じて委ねようとしない。委ねないからこそわしは
其の時間を待つべくもなくある決断をすることに成るが、其れはまた別の話にする。
そうだ、わしくらいのほんの少し尖っただけの一般生命でも出来た事を他の一般生命が
出来ない道理が存在するか。わしもほんの少し尖らなくて何の力も知恵もない一般生命
だと証明出来れば此れ程までに苦悩する事もない。そうだ、才能は希望ではない。希望
とは才能を超えた先を放つ事が出来る一般生命にしかない。
 では話を戻す。民主主義の思いからすれば民主主義も少し利口な生命ばかりなら
此れ程有り難い政治体制は他にない。だが、一般生命の誰もが少し利口である事さえも
難しい事は良くわかる筈だ。わしだって今だに朝寝坊の癖は変わらない。何度起き方に
工夫を入れても結局は夢を見る方が辛く苦しい一の日の始まりを我慢するよりも心地良い
と感じて寝坊をしてしまう。誰だって思う筈だ、夢の方が心地良いと。わしだって
出来るなら現実は御免被りたい。こんなスクリュースタンダードアイランドのように指示
する生命と働くしかない生命で区切られつつも今の日を乗り切る為に、明くる日への蓄え
をする為に生きるのはな。わしは働く事は好きだ。働くのは命を感じる素晴らしい事だと
自覚出来る。だが、其れを無理して他者に勧めるのは首を傾げる。一般生命の誰もが働く
為に働くのではない。己の為、家族の為……と様々な理由を付けて働く。此処では
上下全員がスクリュースタンダードアイランドの為に働かされているように思える。
此れは正しい労働と言えるのか? 正しい労いを基にした働きと言えるのか? 其れでは
労働と呼べず、只働き。只働きに労いは一つもない。彼等はそんな終わらない只働きを
止める為にわしら四名を連行した。わしらのようにスクリュースタンダードアイランドで
必死に蠢く銀河連合に縛られない生命しか救える道がないと信じて。そしてわしらの
ような者達を連行して来た理由はもう一つあった。其れがわしとキッ次君が技術者、
サヨ道君が生還生活の体験者、そしてカエルヒコ君がわしらの纏め役。此の四名しか道は
ないと考えて下の生命達は独りでに決断した。既に上の者達は自らの能力に呑み込まれて
何も生み出せないと知っていた為に。上が如何しようもないならしたが何とかしなくては
いけない。此れは古来より続く真正大衆の真理。確かに一般生命が大衆に成っては何
も生み出せない事は良く理解する。故にわしは大衆との付き合いを止めて一部のお節介
以外の一般生命とは縁を切っておる。其れ位に一般生命を好きに成れない。
 段落を変えて話を戻すぞ。下の者達に唯一褒められる点はわしみたいな奴等を頼る事。
自らの能力の限界を見極める僅かな賢明さを残す事。此れだけしか望みがないのも
下の者達が如何に建設的ではないかを物語る。
 建設的で思い出したが、上の者達は余りにも建設に進み過ぎて幾つもの論は全て
空っぽ。実践もせずに下の者達に説いては上手くいかない場合は下の者達に無理な
可能性の引き出しを要求する。結果、上下の間に埋めるには余りに長過ぎる何かが
出来上がった。議論ばかりして現場に足を運ばないからこう成るのだ。議論にかまけた
結果が頭でっかちか。わしが言えた義理ではないが、上の者達は其の傾向が強い。結果
として奴等は肉体労働の術の殆どを捨ててしまった。肉体労働を忘れた生命に何が生み
出せると言うのだ。建設が先走って建設出来ないでは上の者を自称する資格はないな。
 そんな風にわしら四名は一の月もの間、スクリュースタンダードアイランドで過ごした。
そしてわしらはある方法で最後の日に終わりを齎す。其れはな--』

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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