FC2ブログ

一兆年の夜 第九十五話 十五少年少女漂流日誌(八)

 四月九十八日午前二時十一分三秒。
 場所はチュンレイ島正式名称秘伝雄略島。
 十五名とアリゲランダは戦線を広くする事の誤りを知る。故に中央地区を中心に必要最低限の範囲で侵入する相手の動きを制限する。十五名は地の利を生かして動きが遅く成った相手を集中砲火。多対一を避けて一退三或は一対二までで持ち込む。そうして銀河連合を次々と倒してゆく。最初こそ自分達の命は此処までかと思われた十五名もいざ戦うと成ると今までの経験が実戦で活かせる事を知る。特に無理を押して頭脳担当として立候補したチュンレイの巧みな作戦は彼の知識が既に知恵とほぼ同一の段階まで高めた。其れからウシ村の厳しくて尚且つ制止の届く指揮もマシリ斗の無理を押してでも強行する姿勢、止めはやはりサヨ道の幅広い取り入れに依り、遂に島に踏み込んだ銀河連合は残り一体と成った。
 だが、其の一体はアリゲランダさん一名だけでは難しい程に螺旋を描く動きも地力も数段上だった。更には銀河連合にしか出来ない戦法も大人であり、屈強なヤマビコノ一族の出であるアリゲランダさんを苦戦させた。そう、戦いは北端に至った。アリゲランダさんは距離を取りながら其の鰐型を仕留めようと画策する。気が付けば既に尻尾の先は荒れ狂う波が集う海。アリゲランダさんはどのように困難を超えるのか? いや--
(僕は……今こそあのお兄さんの言われた通りにやるんですウウウ!)
 訛りを超えてサヨ道は背後より糸を垂らして鰐型に突進。其れに気付かない鰐型ではない。何とサヨ道を喰らおうと巨大な口を開いた。此の侭ではサヨ道は鰐型に食われてしまう。そんな時、マシリ斗とウシ村が駆け付けて上下を抑え付ける!
「無茶をするなあああーあ、サヨ道いいーい!」
「たった一名だけで希望に成れるなら今までの生活が万事安全に行けたのは何だったのか……お前は知っていっだろうう!」
「ウシ村、其れにマシリ斗!」
 だが、ウシ村は万全でも鶏量の軽いマシリ斗の方は徐々に下がってゆく。幾ら翼をはためかせて嘴で抑え付けても其れだって限度がある!
「今だ、サヨ道。垂らしちゅ糸で上下の歯に巧く括り付けちゅのだああ!」
 其処でもやはり知恵を出したのは……チュンレイだった。気合でも抗えないなら知識が物を言わせる。十五名が今まで生きて来れたのは経験、根性、そして知識と其れを組み合わせる飽和力に在った--サヨ道は相手の意見を良いように働かせる能力が高い……故にサヨ道は飛んで自らの軽量で尚且つ粘っこい糸で上下の歯を上手く繋ぎ合わせてから全体の均衡を乱す……すると鰐型故に螺旋を描く様に背面から倒れた!
「此処からは大人が責任を以てっぜん!」最後はアリゲランダが鰐型の尻尾をしっかり噛み付くと……「ちおおおりゅああっせええい!」自らの尻尾を地面に突き刺しながら逆螺旋に回転しながら海に向かって投げ込んだ。「二度と全生命体の前に姿を現すなあああっぞる!」
 其の鰐型は高さ成人体型十から一気に落下して其の高度からの影響で全身の骨を砕きながら海の中に沈み……永遠に浮かない存在と成った!
「はあはあっぜ、助かったっがん」
「ウウウ、僕達は……あんなに怖い存在と戦ったのです!」
「急に震え出しーた、ぞ、お!」
「急に……痛みが走ちゅ、出した!」
「此れで……船員達の仇を、討ったウ!」
「お兄ちゃああああん!」
「サヨ道君!」
「全く無茶於する蜘蛛だ!」
「マっシリ斗さああん!」
「無事で何ヨリデス!」
「チュンレイの兄貴いいいいちゅ!」
「チュンレイも無茶をすっるもんじゃないっての!」
「まったく、まったくこまるねずみです」
「でも良ったぶ。こうして生きてるっだしぶ」
「ウウウウウウウウシ村も他のみんなも助かって何よりだあああい!」
「いのちあってのものだねデェス!」
「全く騒がしい……此れが子供という名の可能性っざん」
 こうして一つの戦いに終わりが訪れた。此の後の事について詳しく記す必要性があるとしたら次の通りだろう。

 四月九十九日午前十時七分十八秒。
 場所は秘伝雄略島西港。其処には銀河連合が乗船していた蒸気船が蒸気を吹かしながら今か今かと発進を待つ。
 アリゲランダの依ると蒸気船の速度なら奇妙な特性を持つ秘伝雄略島の渦も突破出来るとの事。だが、昨の日に確認した所に依ると付近の北雄略に着くには如何せん菅原炭が足りない。幸いな事に銀河連合は二隻も蒸気船で此の島に乗り込んだ。結果としてもう一隻の菅原炭を使えば北雄略に就くまでの燃費に成るとアリゲランダは計算した後だった。
 其の詰込み作業と此の島へのお別れの為に十五名は昨の日の夜に出発せずに今という日に選んだ。理由は其処まで深い意味ではないが、次の通りである。
「嬉しい事も悲しい事も此れで最後だ……俺達は二度と此の島には戻らんーぞ!」
「色っ々ありましたさ、色っ々とね。でっもいざ離れるとわかると……何で涙が出るんだあああ!」
「俺だって辛イヨ。だって此の日が来るまでずっと故郷よりも苦しくて大変な日々を送っていたのに……なのに如何して涙が出ルンダヨオオオウ!」
「きっと故郷にはない自ら作り出ちゅ工夫の毎の日……其れが僕達に苦労と共に喜びを与えたのだと思ちゅ」
「兄貴の言う通りだよ、兄貴の……うううちゅ!」
「なんでだろう……なんでだろう、はなれたくないとおもうのはなんでだろう?」
「其処は別にわかっる必要はない。だって……ウウウ、俺にだって明確な答えが見付からっないんだあああ!」
「日々楽しかっもんぶ。すっかり馴染っでしまったぶ」
「馴染むのは良くないう。だって……馴染んでしまったら涙を流す理由が見つかってしまうだってえう!」
「ウううううシ村……お前という奴は、ウウウウウウウウ!」
「それがこのしまでのおもいでなのダアイ!」
「俺達端此乃島於離れて……そして元乃日常似戻る」
「でも日常では得られない事は受け継がれるのです……ねえ、サヨ道君?」
「そうだよ、答えて見て下さい……お兄ちゃん!」
「受け継がれるモノ……何でしょう?」
「別に間違っても良いっぜん、サヨ道君がん?」
「そうだな……其れは僕達も頑張れば希望に成れるって事です!」
 こうして十五名のチュンナ島こと秘伝雄略島での共同生活は終わり、蒸気を蒸かす船は日常という名の元の世界に向かって真っ直ぐ走る。
(本当です。確かにある一定の割合で方位磁石が狂い出す。そうか……此れがたった一名だけでは突破出来ない壁でした。でも今は突破出来る……僕達なら、どんな壁だって乗り越えて見せます!)
 其れは秘伝雄略島の起こす過保護な渦を乗り越え、日常に向かって突き進むのだった……

 ICイマジナリーセンチュリー二百三十二年四月百日午前零時零分零秒。

 第九十五話 十五少年少女漂流日誌 完

 第九十六話 スクリュースタンダードアイランド に続く……

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2カウンター
リアルタイムカウンター
現在の閲覧者数:
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
Powered By FC2ブログ

今すぐブログを作ろう!

Powered By FC2ブログ

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR