FC2ブログ

一兆年の夜 第九十四話 衛星世界旅行(緊)

 午前十一時二十八分三十三秒。
 場所は不明。望遠弾試作六号機は銀河連合が駆る謎の望遠弾のような何かと鉢合わせる。
「照ー準……オイー、此れで正しいーか?」
「小型の奴があっれば微調整が出来っるんだけどなあ……ここには大型二つしっかない。其れに……ええい、引力の向っきを算出しってどれ位だああ!」と満足しえない事を漏らしつつもチーンパは緊急時に発揮する自らの能力を信じる。「俺は……几帳面なんっだぞ、わかってるんだよなあ!」
「何か飛んできました!」
「窓の外に避難しっろおお!」
 チーンパの号令通りに避難を行った二名。すると外窓に被弾した何かは破裂して残すのは悍ましい内臓の痙攣のみだった--三名は此れを見て銀河連合が用いる数々の武器は自分達の一部であるという確信に至った!
「何と恐っろしいか……じゃなくてつ、つ、次は如何すっれば良い?」
「キッ次と代わっれ、二凝。お前じゃあ緊急事態への対処がやっはり甘い!」
「言ってくれたーなあ、ああ代わーってやるさ!」そう言って二凝はチーンパを跳ね除けて望遠砲に立つ。「其の代ーわりに元技術軍者ーの意地を見せてーやるぞオオウ!」
「ええっい、自棄を起こっしたな……という訳で俺達で微調整を始めっるぞ!」
「でも! こ! 此れで正しい--」
「最初の内から完璧を求めっるんじゃないって……何度言えば理解するっんだ、キッ次イイ!」
「わ! わかりましたああ!」
 キッ次はチーンパに告げてチーンパは其れから自らの計算に合わせて二凝に指定の方向に合わせさせた。
「……正確じゃなーいかあーあ!」二凝は引き金を引いた……「ほうら……速度ーは減速せずーに」其れは確かに向こう側の窓に直撃した。「正確にー銀河連合の頭部へと完璧にやってくーれたじゃなーいか!」
「だっが……向こうと条件は同っじだったか」そう、銀河連合の乗り込む何かもそう簡単に破れる窓のような何かではなかった。「拙いっなあ、あいつらが次にやっるのは……体当たっりだな!」
「何を言ってますか! この空間内で自由に動き回れる訳が--」
「そーうか……逆噴射だーな!」二凝は気付いた。「奴等はー逆噴射ーを使ってあれを此方にぶつける算段ーだな!」
「で! でも逆噴射って……そんな事で軌道を変えられる訳ないでしょう!」
「いや……可能なっんだよ。確かに宇宙空間内では無重力が支配しってはいる。けれども必ずしも全ってではない」
「全てではないって--」
「んん、何かー豪くあいつらの乗るーあれは少し離れてー行かなーいか?」
「どれどっれ……そんな気がすっるなあ」
「いや! 離れて行くのは銀河連合の模倣弾のような何かだけじゃありません!」
「直ぐに天井に設置さっれた望遠鏡を覗いってみる!」
 チーンパは猿族独特の木登りの技術を生かして無重力の中でも其れを披露。そうして到着すると勢いを削ぎつつも設置された望遠鏡を覗く。すると三名の思った通りに僅かに望遠弾試作六号機は望遠砲を発射した反対側に後退してゆく。
「やーはり其の反ー応は--」
「ああ、試作六号は予定の道を逸らっし始っめたぞ」
「ええ! そんな! さっきまでは予定通りに進んでいた筈なのに!」
「其れは向こうも同じ所だっろう。だが、こっちの方が少し深刻っだ。明らかに角度のずれが大っき過ぎる。いや深刻ではっなく危険だな。一度や二度のずれで危険段階ではっなく、コンマ一度や二度のずっれでの危険段階だ!」
「原因は何ですか!」
「其れがわかれば苦労しなっいんだよ。何故さっきまで予定通りの道を進んっでいた試作六号機が急にずっれ始めた? 俺とアン太が議論して導き出っした答えにほんの僅かだけ見逃したというのか?」
「……反動ーだ!」
「え!」
「いきなり何を言い出すっんだ?」
「外から奴等が繰ーり出す弾丸のような何かをぶつけらーれただけでもそれは立派な軌道変更に繋がるーからな」
「……まさか望遠砲を発射した時にほんの少しだっけ機体は揺れったというのか!」
「そ! そんな!」
 反動……此れ程までに強力な代物だったなんて。三名は改めて宇宙の恐ろしさを味わった。少しの衝撃でも機体の向きは大きく変わる漆黒の世界。無重力とはここまで苦しませてくれるのか? 母なる大地の加護から離れた者達は其処で社会の現実を味わうように彼等もまた、社会という名の宇宙の厳しさを味あわされるとは……しかも其れは宇宙空間という誰からの助けもない状況下で!
(うわあああ! 何という事だよ! 初めての宇宙空間内の戦闘は諸刃と同様だったなんて! 幾ら何でもこんなのってありなのかよ!)
「嘆いても始まらないだろう、キッ次」
「そうだーぞ。若しもーこれを知っていたのなら……相変わらずー私達は銀河連合ーに踊らされーやすい訳か!」
「奴等を褒めって如何する。褒めたって奴等が優しっくしてくれるなら此れ程有り難い事はっない!」
「そうですよ! 僕達の目的は衛星に辿り着く事であって銀河連合を倒す事じゃありません!」
「そうゆう訳で……調整を始めっるぞ!」
 三名はずれを修正させる為に再び望遠砲を発射する事を決意する。其の前に望遠砲は全部で四つ。それらは発射前から固定装着されたまま。其の為、第一加速に依る重荷で照準のずれが発生する。実際に其れを想定してチーンパは正確にずれまで計算に入れて見事に窓へと命中させる程の調整をして見せた。其れでもずれはずれである。このずれが例え最初だけ上手くゆこうとも次も上手くゆくとは限らない。其れが宇宙という漆黒の世界の常識である。其処で三名は一つずつ撃つ間隔を余り開けずに発射する事にした。此れで上手くやれば第二加速時に衛星の引力に巧く乗っかる時までに間に合うとチーンパと二凝は確信する。あくまで机の上で理で詰められた物であって実際は何時も大きく違う。其れを踏まえた上で三名は実行に移す。
 実際に放たれた望遠砲は五回……理論上はどれだけで済んだのかは敢えて記さない。結果、何とか予定の軌道に戻す事に成功。
(其れでも所長や二凝さん曰くほんの僅かしか戻せなかった! って! 全くコンマどれくらいの世界の話だよ! 彼等は良くもまあ其処まで追求出来るよなあ! 僕には此れ以上削り取るなんて出来ないよ!)
 キッ次は才能では埋められない経験値の壁に深く苦悩してゆく。一方のチーンパはキッ次とは異なり、此れ以上細かくするには弾丸の使い過ぎだと踏まえて諦めるしかない己を責める。二凝の場合はもう少し設置を提言していればこんな目に遭わずに済んだと嘆くのだった!
 彼等は決して誤ってなどいない。ただ、彼等は初めて踏み出す宇宙という荒波の前では余りにも学ぶべき事が多過ぎた……其れだけである。
 そうして試作六号機は惑星と衛星の引力がちょうど平行に成る地点へと到達しようとしていた……

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2カウンター
リアルタイムカウンター
現在の閲覧者数:
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
Powered By FC2ブログ

今すぐブログを作ろう!

Powered By FC2ブログ

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR