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一兆年の夜 第九十四話 衛星世界旅行(解)

 三月三十四日午前九時二分七秒。
 場所は不明。確実なのは水の惑星の外であり、尚且つお月様に向かって試作六号が進んでいるという事。
 三名は初めて体験する引力から解放された際の肉体に掛かるもの……即ち後に無重力と呼ばれる物を体感。其れは一度力を掛けるとあらゆる方向から力を加え続けないと止まらない諸刃に引けを取らない物だった。三名は其れに苦労しながらも何とか発射前から事前準備を訴え続けた二凝の提案で作られた取っ手で上手く付き合う。
 続いてはやはり惑星の温かみがなくなった事に依って生じる極度の寒さ……多少お日様による温かみを感じる事はあれどもあくまで其れはお日様の光を熱に変えられた場合のみ。試作六号内では光を熱に変える術は何処にも持たない。其の為、三名は急いで蝋燭と一干支入りの燐棒箱を取り出して燐棒箱から燐棒を取り出すと燐棒箱にある火つけ版に美味く点火すると蝋燭の先に吊るした糸に火を灯す。其の蝋燭をキッ次が開発した試作型温暖機八基に次々と火を灯してゆく。其れは既に東西南北北東北西南西南東に設置済み。其の一般的な方角は緊急時に於いて力を発揮するチーンパの発想。単純に何処が熱を通しやすいかではなく、基本に立ち返ってから徐々に修正を掛けて行くという狙い。
 そして第一加速と共に発動した酸素供給機……此れをやや薄目に調整して真空の宇宙を乗り切る。此方も二凝が懸念した惑星の加護を抜けると待ち受ける無呼吸の世界。二凝の批判を受けてキッ次が開発した目盛りを回すだけで供給量を調整出来る酸素供給機。主に点火した後に七段階への調整が可能。零段階目が完全成る酸素無放出状態。主に酸素供給機が零に成った状態は此方にも成る。此れに目盛りを合わせる頃は水の惑星に帰還した際に成るだろう。続いては一段階目、此方が発射時に合わせていた微弱の酸素を放出する段階。二凝の批判の中にあった酸素酔い問題を想定してキッ次が開発し、チーンパが最終調整時に仕込んだ物。本当は第二段階目である少量放出が第一段階目として発射時に発動する筈だったが、チーンパは細かい事が気に成る生命であった為に敢えて少量放出の第二段階よりも更に少ない放出を可能とする第一段階を仕込んだ。結果、三名は目覚めた際に少しだけ眩暈と少々の興奮に悩まされた。此の時間帯に成るまで少々の酸素酔いに苦しめられた。続いては第三段階。此方は宇宙空間内では基軸とされる通常放出段階。ある程度呼吸が薄く成り始めた頃にここへ目盛りを合わせる事で快眠を可能とする。そして作業する際に重要なやや多量放出の第四段階。此方は諸々の作業をする際に快適でお喋りも円滑に行える段階である。此方も最終調整時に第五段階では火災の原因に成るのではないかと踏んだチーンパに依って設けられた物。そして従来は作業用の段階だった第五段階の多量放出段階。此方については後程……最後に何故設けたのかわからない完全放出の第六段階。第六段階に成ると最早暖を取る事さえ危険であるとチーンパと二凝が訴える位に酸素放出量が激しい上に予定よりも早く酸素が尽きる恐れも高い。尚、酸素供給機が機能しなくなる事も有り得ると批判した二凝ではあったが乗り込む際に自作で用意した酸素放出道具を持参。彼は批判だけする生命ではない。時には自らも用意を怠らない。
 次に厠。一般生命は誰しも尿便からは逃れられない。其の為、厠は必要不可欠。しかも只の厠ではない。二凝が開発した厠。従来なら批判を受けたキッ次が開発した厠が採用される筈だった。ところが二凝が其れを見て激怒。何に激しい怒りを露わにしたのか? 其れは厠を溜め込むだけであって処理する事をキッ次は考えなかった事。其の為、二凝自ら設計と開発を行った。因に最終調整はチーンパと細かい所に目が運ぶサク造、怪力自慢のウシマルが行った。何よりも寸法の調整はほんの僅かでも許されない以上は仕方のない話だ。結果として彼等の出した尿や便は試作六号機の外に放出された。放出された尿や便は包まれた状態と成る。此れは僅かな事でも命取りに成ると批判した二凝に厭々ながら応じたチーンパが吹きとり紙百枚五本積みで機内に運び込んだ。悲しいかな、発射時の衝撃で原型はほぼ留まらないせいもあってあちこちに折り目が出来てしまう分には二凝でさえも其処まで言うのを渋る程。二凝が批判するには其の侭で流すと放出口に宇宙空間の恐るべき冷気に依って凍った尿と引力の加護がないせいで形が留まらない便に依って通気口が詰まって機内を揺るがす一大事と成る為。其の為、水の惑星に引き続き厠の神様への気遣いを心掛ける必要に迫られる。尚、内側から掃除する事は出来ても外へ出られない三名は外から掃除する事が叶わない。此れは仕方ないとして二凝は批判しない。何よりもまだ水の惑星の生命は外に出ても圧倒される冷気から身を防ぐ手段をまだ持たないのだから。
 まだまだ説明は終わらない。続いて食事について。三名は敢えて一日一食に留める。何故なら何時全ての食べ物が食べる事さえ出来ないのかわからない。まだ体験した事のない宇宙という世界では上手く食べられる保証はない。此れは二凝の批判だけではない。チーンパでもキッ次でもない。実はウシマルからの提案だった。ウシマルは食事を何よりも楽しみにするだけでなく、あらゆる調理も楽しむ正に家事も出来る雄である。そんな彼はチーンパに頼み込んで宇宙食を開発。序に自らの宇宙食が空間内で上手く食べられない事も想定して十五名分の水容器と何と吸い上げる事で水を胃の中に運べる吸い流し棒を開発。最も完成したのは発射当日であって一つしか用意されていない。其れから宇宙空間内での食事は主に散らばらない事が重要。ウシマルは散らばる事を何よりも恐れていた。其の為、チーンパに持参する際は常に固定出来るようお願いしたそうだ。だが、間に合わない事もあって結局は食事用は全て箱に詰めて外れないように固定させるに留める。食事の際には取り出して必要な分だけ出すと後は蓋を閉めて同様に固定させる方法を取る。此の様に食事一つをとっても大変である。
 まだ説明の足りない箇所があるが、一旦筆休めとしよう。

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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