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一兆年の夜 第九十四話 衛星世界旅行(序)

 ICイマジナリーセンチュリー二百三十一年三月三十三日午後八時三分四秒。

 場所は真古天神武テオディダクトス大陸サッカス地方西サッカス町東地区望遠弾倶楽部一階発射室。発射室の天井は雨の日も雪の日も常に天井は開いたまま。
 今日は快晴模様。若しも快晴以外の日ならば如何成るか? 晴れは少しの雲がある為に打ち上げには多少の議論が予想される。曇りと雨、雪は論外。次の日か或は後一の週打ち上げが遅れる事と成る。其れ位に天候は打ち上げに左右される。そして今日のお月様が見える時間帯に望遠弾試作六号は打ち上げが始まる。
(僕達は待ちに待った衛星世界への到達! 全生命が夢見た衛星世界への旅行! 僕達三名は代表として初めて水の惑星の外へ出るんだ!)
 齢二十三にして二の月に成ったばかりのサッカス雉族の青年合間キッ次は気を重くする。其れを見た齢三十四にして九の月と二十九日目に成るサッカス猿族の中年チーンパ・ビーケルは次のように言う。
「キッ次よ、そろそろ点火が始まっる。其の衝撃に備っえろ!」
 私には言わーないのーか、チーンパ--齢三十一にして十の月と三日目に成るサッカス犬族の大二凝は反応する。
「お前に言って如何すっる。散々、望遠弾は衛星に届っかないって言ってった癖に!」
「事実だろーう。今もそーう考えている。だがなー」二凝が如何して乗り込むのかを語る。「死ぬ前に私の説が本当でーある事を証明したいのだよ……其のー後は君達と共ーに果たそうじゃないか!」
「素直じゃっないな、二凝も」
「君程ではなーいがーね」
(どっちも頑なだな! まあ全員が全員納得してしまったら誰も起こってくれる者が居なくて困るのだから此れで良いよな!)
 三名の会話が終わる瞬間に弾丸内で三名の想像を超えた衝撃と衝撃音が轟く--まるで尻に強烈な浣腸が施されて余りの痛みに望遠弾自身が悲鳴を上げて飛び上がるかのように!
 事実……望遠弾試作六号は飛び上がった。其れから驚異の勢いで速度を上げて行き、水の惑星の余りの過保護を振り切るかのように発射。其れは最初こそ成人体型時飛び百にも満たずに保護帯を四重にも巻かなくとも耐え切れる物。ところが百にも満たない速度はやがて千にも満たないが陪乗し、更には万の領域に突入。万にも成ると余りの衝撃で意識が飛んでしまう程--実際、三名は其の領域に入ると意識は黒く塗り潰される!
 意識が暗闇の中で望遠弾は青き夜の空を突き抜けて行く。やがては水の惑星最後の過保護である炎の膜が試作六号に真正面から襲い掛かるが、其処は既に対策済み。数回の実験と二凝の批判である水の惑星から出られぬ理由の一つに流れ星が惑星の中に入ると炎の膜を纏って突入するという事実……其れに気付かない望遠弾倶楽部ではない。
 其れから炎の膜は剥がされる時、試作六号は引力の鎖から解放され……空気抵抗がなくて理論上亜光速まで上昇し続ける宇宙へと至る。其れは誰からも愛という名の温かみもなく、保護という名の引力もない愛も夢もない世界。やがて三名の意識は宇宙空間という名の現実社会の厳しさが叱咤の如く叩き起こしに掛かるのであった!
「ううう、ここっは……ウオ、うおっうおうおうお」
「こ、こ、此れはー、此れーは……体が、息が、其れに何だ此ーの軽やかーさは!」
「さ、寒い……は! 早くこの保護帯を外して! さ! 寒くて! し! 死ぬウウ!」
 は、外っすの大変ンっンん--引力のない世界では力も分散しやすい模様。
 其れでも三名は此れをある程度想定した事もあって、頭から血が流れる中で……更には全身の痛みがまだ引かない中で保護帯を外してから急いで暖を取った--後少し遅ければ凍え死んでいたのか……其れは誰にもわからない。
「フウウ……其れにしても軽過っぎる!」
「私の理論では此の軽やかーさは均衡点の時点ーで発生する物だとばかり思ーっていたが……如何やーら私は二つの意味で君達ーに勝ちを譲らなーいといけない!」
「いや! 僕達は引力に関してははっきりした答えは出していませんでしたよ!」
「如何やら俺達の言った通っりだっただろ?」
「ああもう良ーい。賭けーは君達の勝ちだ。だからー水の惑星へーの帰還後ーは払うべき額ーを払うぞ!」
「良かったですね! 賭けに勝って!」
「賭けの前に先っずは状況の整理だ!」
 試作六号は確かに水の惑星の外に居るのは事実。だが、其れだけが真実ではない。此れから試作六号が向かうのは誰も為し得た事がないお月様の世界……果たして三名に待ち受けるモノは一体!
 いや、既に穏やかでない何かが試作六号と共に水の惑星の外に出ていた--其れは盗んだ設計図を基に自分達が乗り込みやすいように改良した試作六号を模した何か!

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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