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一兆年の夜 第九十三話 惑星から衛星へ(発)

 三月二十六日午後六時三十七分四十三秒。
 場所は西サッカス町東地区新望遠弾倶楽部本部一階。本部は数の月日を掛けて完成。
 しかも発射室は面積も広く更には耐衝撃波対策として二階観測室は其の日に合わせて移動出来るようにした。但し、移動には二の日より前に作業を始めないといけない為に直前に成ってやろうとしても準備が間に合わない。此れも又、仮本部と同じく巨大に成ったツケだと言える。
 では五名は如何成るか? いや、五名ではない。既に夢の舞台の為に計十八名と成った。初めてと成る衛星旅行まで一の週と迫った中で。
(漸く僕達は第一歩へと踏み出した! 父さん! 見ていて下さい! 僕は--)
 余っり気負うな、キッ次--とキッ次の頭に右手で撫でるチーンパ。
「わかってます! 其の為に僕達は衛星へと飛ばす計画に賛同しない二凝さんを相手に新技術の数々を御披露目して来ました! 其れでもまだ--」
「あいつの事は良いだっろう。其れよりも何故三名が乗っり込めるようにした?」
「え! 何の事でしょう--」
 惚けっるなよ……試作第六号には明らかに三名が居住出来っる環境に成っているって知ってるぞ--とチーンパはキッ次に当初の設計図と実際の居住範囲諸々の事を尋ねる。
「ああ! あれは--」
「誰かが扉を叩いております」
「わしも同行するう。銀河連合の可能性もあるかっどん!」
 序にチーンパとキッ次も同行して慎重に尋ねると……「私ー達だ、大二凝とサッカス速報の受付担当ーだ」其れを聞いて中を開くと其処には二凝と前に二名を対応したイーヌンが姿を現す。
「少し身体検査しますねう」
「私と合間君はイーヌンさんを行います。所長とウシウミ君は二凝さんをお願いします」
「何でお前なんかに触られーなくちゃいけーない--」
 其れはこっちの台詞っだ、二凝--とチーンパは満足しえない回答をしてから身体検査を行う。
 二名の身体検査を済んだ後は一階会議室まで招く望遠弾倶楽部の者達。其れから幹部以上五名を集めて何の為に立ち入ったのかを尋ねる。すると二凝は次のように答えた。
「私はーまだ、弾丸は衛星に届かなーいと信じる!」
「つまりー、先生は迷い始めてーいるのです!」
「ソォ其れでか。ナァ成程ね」
「でも素直に成るのも大人の務めですう」
「いえ、まだだと思います。素直に成るにはまだ材料が足りない……そう仰るのです」
「そうーだ。私はまだー信じない。第一、まだ惑星ーの外ではどのような引力ーが発生し……其れかーら内部で一体何が起こるかをー想像出来ずーに居る!」
「だったら三名目の乗組員として搭乗しましょう!」
「何ー……私に死にに行ーけ、とー!」
「やっぱりな。其の為にお前は設計図に記されっていない三名分の搭乗空間を作ったのだな!」
「オォやっぱりそうだったか。ナァ何度算出しても合わないと思ったら……君か、クゥキッ次君!」
「そ、其れは困りーます。サッカス速報の売り上げーの中には先生の書評を読みたくて購入していらっしゃるー方々も居られるのですよ!」
 宜しければ代理として私が務めます--とサク造が人気欄の引継ぎを志願する。
「え、幾ら細かい事に詳しい糸井さんーでも其処まーで--」
「イィや、ゥク彼はこう見えて詳細に解説してくれるよ。オォ思う存分起用してくれ!」
「わかりましたー」
「何故か私が乗り込む事をー前提に話が進んでいるように思うのだが……言っておくーが其の前に幾ら弾力液ーと其れを保護する鉄板の七重構造を取り入れても空間内のー酸素の維持はまま成らない。衛星へと向かうー内に冷静さを保持するだけの酸素は薄まり、其のまま内部で果てる事が目に見える。この事態ーを解決する手段を望遠弾倶楽部は所持しているというのか!」
「其の為にとある海底旅行を経験しった深海研究者から得た酸素供給機を開発した。気休め程度でっはあるが、此れで少しは衛星旅行も楽っに成る!」
「開発したかーらには実用に向けて試験運用もしたのだろーうな?」
「ああ、俺とキッ次が身を以って味わった。お陰で机上の空論にも少しは光が見っえた!」
「だが……私の見立てでーは惑星を一度出ると外はアリスティッポス大陸を遥かーに超える極冠の世界だ。何故ならー惑星は熱を溜め込むー機能が備わっている。一度惑星の保護からー抜けた時、身も凍えるー世界が待つ。そうするーともう一つ--」
「ごちゃごっちゃ言うな。其れ位は俺っも気付いているよ……だから俺達はある気球乗りの経験を踏まっえて温暖装置も開発した。同じく気休っめ程度にしか機能はしない!」
「じゃあ引力の枷から外れる時に体感するーであろう浮力は如何成ーる?」
「ええい、もう良っい。そんなに五月蠅く言うのっなら中をお披露目してやる!」
 余りにも注文の多い二凝に堪忍の限界を超えたチーンパはキッ次を伴って試作第六号内部に案内させる。其の結果、二凝は……「わかったーよ。一の週より後に成功しないのをこの目で見てやるぞ!」手摺を見て勝利を譲り渡した!
「やりましたね! 所長!」
「奴を出し抜く事が俺達の勝利でっはない。俺達は衛星に辿り着いって初めて勝利する事が出来る。其っれを忘れるなよ!」
 こうして二凝との議論に打ち勝った二名は一の週までの間に試作第六号の調整を行い続ける。其れは長丁場を想定されるが故に必要最低限の食料を積む事、出来る限り酸素供給機の仕入れ、温暖装置に必要な菅原炭、其れから事故を防ぐ為の一酸化炭素対策等々……どれも本番に成らないと本格的に知りえない事だらけである。
(本番かあ! 一応第三加速器も取り付けておこう!)
 実はキッ次は誰にも知られない所で帰還用に第三加速器を取り付けていた。其れは設計図では想定しなかった実物の容量を見てキッ次は試作七号機用に開発した第三加速器の取り付けを前倒しした。
 此れが後に三名の命綱に成るとは誰も想像が付かないし、付く筈がない。何故なら其れは後程語る事とする。

 時は三月三十三日午後八時零分十二秒。
 場所は真古天神武テオディダクトス大陸サッカス地方西サッカス町東地区新望遠弾倶楽部一階発射室。
 分厚く着込んだチーンパとキッ次、其れに二凝は火を灯すと急いで試作第六号内部へと駆け込んでゆく。扉を厳重に締めてから全身を固定する物を二重にも巻いて息を呑む。
(向かうんだ! 例え第一加速の反動で僕達が死んでも--)
「気負うなよ、キッ次。良くっない時は仕方ない。此れで衛星旅行が後数百の年まで延期しっても仕方ない。やるだけの事はやった。何事も上手くゆっく保証は何処にもない。俺達は其の為に命を燃っやしたんだ。なっあ、二凝?」
「私に聞くな。私は生まれーて初めて戦うー以外で命を懸けるのだ。だが、お前達に付き合うのはーこれで最後だ。余命ーくらいはお前達に左右ーされたりはしないぞ!」
 そして火は点り、成人体型半径十五、高さ百にも成る望遠弾試作第六号の尻部は勢い良く噴射--その時飛びは成人体型にして一万七千を超える!

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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