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一兆年の夜 第九十三話 惑星から衛星へ(議)

 二月四十一日午前八時五分七秒。
 場所は西サッカス町。所長チーンパはニの週より前の水の曜日に西サッカス町長に計画継続を訴える継続書を提出。
 町長もチーンパ同様に大柄な者柄だった故に又しても望遠弾事業の為に公共工事が開始。住民達は実験の度に再び遠ざけられる事に満足しえない事を漏らしてゆく。
 そんな建設中の望遠弾倶楽部本部。其処には二名ほど要因が送られる。齢二十五にして八の月と一日目に成るサッカス牛族の青年ウシマル・ウシウミと齢三十にして三十日目に成るエウク蜘蛛族の中年糸井サク造。二名は其々の目的を秘めて本部に足を運ぶ。
「お早っう……あっれ、誰?」
「如何も望遠弾倶楽部のチーンパさん。私はエウク蜘蛛族の糸井サク造です」
「わしはサッカス牛族のウシマル・ウシウミだっふん」
「俺は所長を務めっるチーンパ・ビーケルだ……が、本当に誰なっんだ?」
「あ! 予定通りやって来ましたね!」
「お早っう、キッ次。こいつらを知っていっるのか?」
「ええ! 巨体が売りの方はかつては一角族を追っていた方です! 細かいのが売りの方はかつては設計図ではわからない細かな作業を担当し! 陰ながらに完成に貢献しました!」
「有無、良くわからないが少なくとも凄っいのはわかる」実績を曖昧に説明する故に実感出来ないと考えるチーンパ。「だが設定だけ凄いと持て囃っしても共感出来なければ机上の空論でしっかないぞ!」
「ううむ! 紹介するのって大変だなあ!」
 キッ次は其のまま仮本部内へと二名を案内してゆく。

 午前九時五十七分十二秒。
 場所は仮本部内。望遠弾倶楽部の真ん前に設置された仮設民家の応用で建てられた組み立て式の本部。
 だが、半の日掛けて完成するかも難しいのが仮本部。其れだけに骨組みは下手な建て方をすると風が吹くだけで直ぐに崩れ落ちる。組み立て式も巨大に成れば複雑と化する事例。
 そんな仮本部内で二名への説明を終えたチーンパとキッ次。汗を拭って今週のサッカス速報に目を通す。
「又あいつは適当な事を言ってるな!」
「誰ですかう、あいつってう?」
「サッカス速報の週間連載を任せられた大二凝さんです」
「ンォ所長と二凝さんは軍者時代からの競争相手だ。ォオだから常に互いの事に成ると冷静で居られなく成るんだ」
「まあ気持ちはわかっですうね。わしもかつてはそんな競争相手が居まったかうね」
 一体どんな若い頃を経験したのです、ウシウミ君--とサク造は尋ねる。
「其れは気が向くうば話すぞう」
「あ! 何で此の事を二凝さんは知ってるのですか!」
「如何しった、キッ次?」
「読んで下さいよ! 所長や他の皆さん!」
 所長が読み上げる前に予め此れだけは解説すると次のように成る。チーンパはキッ次から第六号は要員を乗せてからの第二加速の手動化を実現。自動化で生じる問題の解決と自動化に於ける曖昧な時間帯からの発射を防ぐのが狙い。事実、第五号の残骸を回収した際に僅かに第二加速器の一部を発見。其れを組み立てた結果、落下の際に破損した以外の損傷を確認。望遠弾倶楽部は過剰な熱が原因で第二加速器の装甲版まで透過し、内部爆発に至ったと見られる。倶楽部の総意に依り、建設が完了次第に耐熱試験に取り組むことを決めたのだが--
『--装甲版や自動化に依る問題を解決しても望遠弾は衛星に届かない
                     元真古天神武技術開発部部長 大二凝

 毎の週、私は主張する。望遠弾は衛星に届かない。理由はやはり引力の錘は一般生命
の知が結集しても振り切れない。そもそも前の週に実際の現場に立ち会った事を書評に
載せましたが其れでも私の考えは改まりません。何故ならどれだけの問題を解決しても
成人体型時飛び一万も更に加えた二千も三千も如何考えても引力の鎖を振り切るには
至らないからです。
 其の訳はやはり向きの問題。向きが少しでも引力にとって都合が良ければ更に速度を
要する。其れは重要な火薬を依り多く使用する事を意味する。そんな事を政府が認めて
は今後銀河連合との激しい戦いで物の不足に直面する羽目と成る。其処まで衛星へ
向かう事に急ぐ意味があるか。仮に向きを解消しようとも消費される火薬の量に長い目で
見てどれだけの差があるのか知りたい。普段から生きている生命は長い目で見る事を
好まないのが普通ですのでね。
 次は第一加速で生じる重大な事故の孕み。此れは前の週に立ち会ったと書評に
記しました。今の週ではどれだけ其の現場の危険性が高いかを紹介しましょう。依り高み
を目指すには更に強力な火薬を生命は欲する。だが、第一加速を更に高めれば高める
程に生じる物は何か? 其れは西サッカス町を地上から姿を消す程の破壊を招く。いや、
実際にあれは町一つを地中に埋めかねない一撃だったぞ。幾ら第一加速でもあの衝撃波
の為に戦場よりも恐ろしい科学の凄みを体感したぞ。戦場では得られない心臓の高まりを
感じたのは事実。だからってそうまで衛星に足を伸ばす意味が果たして全生命体にある
のか? 町一つを壊しかねない試験をしてまで衛星に向かう意味があるのか? 其の度に
窓硝子及び各建物の修理に生じる費用は考えた事があるのか? 実際に最初の試験で
二名も死者を出したではないか。其れが証明されるように衛星への挑戦は叶わないだけ
でなく、余りにも代償が大きい!
 次に説明するのはやはり第二加速の問題。あれは自動では如何考えても可能と
成らない。何故なら誰も最速地点を読めない。望遠弾倶楽部の簿記会計の有野アン太でも
正確には測れない。仮に計算した所でもその日の空気抵抗の割合を算出出来なければ
机上で書いた空っぽの理論でしかない。其れだけ、その日の最速を割り出す事は可能では
ないのだよ。其れを打開する方法として恐らくは手動化に依る方法を用いる雉族の若造が
いるようだが、無茶は止めた方が身の為だ。何故なら中に入って作業する場合に想定
されるのが第一加速で内部に通常では考えられない衝撃が伝わるという事実。此れは
無視出来ない事実。つまり中で作業しようとする際に第一加速に無事耐えきったとしても
次に発射するであろう第二加速で間違いなく命を落とす領域。此れは流石に衛星へ行く為
に体を張り過ぎる。私は死ぬなら水の惑星で静かに死にたい。其れが全生命体の人生観
という物だろう。因みに第五号発射時に生じた物を基にして内部に生じる衝撃を計測する
としよう。少々適当なのは容赦したい。だが、重要な話だ。其の衝撃は中に居る者の鶏量
が十だと仮定すれば生じる衝撃は其の十倍以上も掛かる。普段から歩く度に掛かる衝撃
の量が大きいように中では足下より天井に向かって一般生命は一気に打ち付けられる。
しかも一瞬だけではない。加速する度に継続して圧迫し、第二加速時には最早生命活動
は停止した状態だ。手動操作をする事は即ち、此れを如何に耐えるかを想定しないと見る
も惨たらしい事が起こる。
 最後に三つを踏まえて私は望遠弾が衛星に絶対届かない。此れは紛れもない事実だ!』
 読み終えた五名は二凝の理論に反論する案が浮かばない。
「ウヌっヌ、内部での操作が危険である事っくらいは新聞に記さなくともわかっていたんだよ……だからって書評で紹介しなっくとも!」
(既に僕の提案は読んでいたんだな! 其れがどれだけ無茶な行いかも知っていたのだな! だが! こうも明確に記されたとあっては上手く反論出来ないって!)

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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