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一兆年の夜 第九十二話 海底成人体型一万二千(五)

 十一月三十七日午前五時二分十二秒。イモールがネロリモ船長に時刻を尋ねた為に判明し、それに合わせて調整が為された。
 場所は不明。だが、ピースケイスの中にある外来船員一号室の中である事もイモールが尋ねる事で判明した。尚、外来船員とはイモール、カエルヒコ、そしてベアッ土の三名。
『--何でもネロリモ船長曰くここに迷い込んだ以上は一生この船の中で暮らす義務を
課せられるそうだ。これを聞いて納得いかない生命が出るなんて当たり前の事。其れは--』
「ああ、あの馬足野郎メエイ!」
「少し落ち着いて下さいッケロ、ベアッ土さんッケロ!」
「落ち着いていられるカア、俺様をこんな薄暗い所に閉じ込めやがっテエイ!」
 このようにベアッ土のような生命が反発するのは目に見えてわかりきった事。幸い、イモールはピースケイスは知の海だと感嘆して行き来の自由な所をたった一名で走り回った。これについてカエルヒコは少々、イモールの童心に呆れた様子。勿論、暴れまわりたいくまっどはそんなイモールの様子を快く思わない。彼は何度もイモールにネロリモ船長に苛立ちをぶつける。
「あの野郎は何考えてイルウかわからねえ。一刻も早く俺様はこの船からおさらばスウルぜ!」
「だがイモォ、私達が行き来出来る範囲は限られているリィ。君の勝手な行動で船を危険に晒す気かなイモォ、ベアッ土君リィ?」
「勝手も何もそもそもあの野郎はそう言ったのダァヨなリィ。『ここで一生暮らせ』っテエイ……ふざけるなあ!」
「ですがッケロ、ベアッ土さんッケロ。ここは確か深海の中でしたよねっケロ。一体どうやって脱出するのですかッケロ?」
「クウ、圧力の挟み撃ちカアィ!」
「まあイモォ、脱出する機会があるとすればたまにこの船は急激に競り上がる時があるリィ」
 其れはどうゆう意味ですかッケロ、イモール先生ッケロ--カエルヒコだけでなく、ベアッ土も食いつく。
 イモールに依ると時々、船は競り上がる。最大まで競り上がると一旦止まる。その時間は僅か三の分又は長くて十の分も掛かる。その際に船内の空気が澄み渡るように成る。其れから急激に下降を始め、進み始める。この事からイモールは船は定期的に空気の入れ替え作業が欠かせないそうだ。どれだけ明日を進もうとも空気の問題は解消されない事をイモールは伝える。
「そうカアイ、その頃合を図って脱出すれば良いじゃネエカ!」
「ですがッケロ、船以外一面が海の上だったら如何しますかッケロ?」
 そ、其れは、其の……あの--言葉に詰まるベアッ土。
(はああイモォ、これだからこの銛熊は困るのだよリィ。こんなに素晴らしい技術を見られる機会にこの船から脱出しようだなんて考えてリィ。仮に脱出出来たとしても果たして無事に陸へと辿り着けるのかってリィ。其れならばまだ船を調べた方が幾らでも脱出する機会が出来るってのにリィ)
 イモールにとってベアッ土の文の句依りもピースケイスを調査する方が何十倍も価値があると判断する。これを助手のカエルヒコに吐露すると……「ええッケロ、先生の言う通りですねっケロ」と答えた。
「チエ、頭でっかちはこれだから困るナアイ!」ベアッ土は利がないと判断し、次のように答える。「わかっタアヨ、大人しくしてヤアルぞ!」
「わかってくれるならそれで良いリィ」
 イモールは安心して胸を撫で下ろす時、扉が開く……「……」無言ではあるが、齢四十四にして一の月と二日目に成る天使族の青年は右翼で器用に指示を送る。
「食事の時間だリィ。行くぞイモォ、二名リィ」
「サアテ、今度もどんな味のスウル食事を出すかあ?」
「でも美味いですよっケロ、全然飽きが来ない物ばかりですっケロ」
 食事内容については回顧録で紹介しよう。
『--朝は雲雪粉で作るクラウドパン一つと苺、林檎、葡萄、そしてこちらも雲雪粉同様
に想像も付かないベリアリアと呼ばれる甘くてしかもやや喉に打ち付ける辛みの掛かった
果物其々のジャム。パンもジャムもネロリモ船長曰く船員達の故郷で取れるそうだ。
要するに遥か明日の事さ。それ以上の追及を私はしなかったが。
 昼は菅原麺のようなグラシャラ蕎麦を専用の椀の中に入れて沸騰した湯を注いだ後は
蓋をして三の分程待ってから開けると出来上がる。食べると其れは口の中で醤油と
呼ばれる物が広がってゆくみたいに美味しい。しかも湯を掛けなくとも其のままで
食べても酒の抓みに成るそうだ。他の食べ方を紹介すると遥か明日にある星で取れる
ある物を使ってから湯に注いでから三の分程待てば出来上がる。これも又、美味い。
 夜は御粥が配られる。何、夜食だけ楽しみがないと仰りたいか? 違うな、船員に
とって暴飲暴食は緊急時では大問題と成る。幾ら現実の私たちの世界の軍者が
必要接種分が多いといえども加減がある。その為、ネロリモ船長の方針で夜は御粥と
相場が決まる。但し、只の御粥ではない。食べたら御代わりを頂戴したくなる程に
美味い御粥なのだ。まあその味をここに記すには余りにも脱線する恐れがあるから記す
のをここで止める。
 基本的に食事はこの三食で通される。但し、ある時だけ昼頃に特別欄として腕の良い
船員が振舞う料理を口に出来る。其れについては余裕があったら紹介しよう。
 さて--』

 十二月五十七日午後二時七分三十八秒。
 場所は不明。船は一旦、浮上してゆく頃合。
 イモールは浮上中にネロリモ船長に呼び出される。
「こんな時にどんなご用件をリィ?」
「君は……潜水艦をまだ知らないのだな」
「そもそも艦船とは従来は--」
「質問しているのだよ……私は」ここではネロリモ船長の質問には真っ直ぐ答えないといけない決まりがある。「私が聞きたいのは……潜水艦をまだ知らないのだな、と」
「はいリィ。申し訳ありませんリィ」
「別に謝罪の言葉は……不要だ」
「其れは従来の船とどう違うのですかリィ?」
「海を潜るのだよ……船がね」
「今でもその定義を認めずにいる自分がここに居りますリィ」
「まあわかるさ……初めての者は誰でもそうゆう反応を……する物さ」
「あのうイモォ、質問して良いですかリィ?」
「どうぞ……遠慮せずに」
「貴方方はどれだけ明日の時代よりやって来られたのですかリィ?」
「其れは……機密事項とさせて戴く」
「では質問を変えますリィ。どうしてこの時代にやって来たのですかリィ?」
「其れは偶然の出来事……と呼べる物かな?」
「質問に疑問文で答えるのは誤りですリィ」
「豪く返されたね……ハハハ」
「つまりイモォ、ネロリモ船長達も詳しい事はわからないのですねリィ?」
「答えよう……正解だ」
「成程イモォ、では……潜水艦が如何して海を潜れるのかをお尋ねしたいリィ」
「その方法を簡単に説明するのは……少々難儀するが……宜しいか?」
「ええイモォ、お願いしますリィ」
 ネロリモ船長は其の機構を語りだす。
『--答えは空気の蓄えと圧力機による打ち付け及び水の溜め込みを利用した方法。
此れには舌を巻いたね。井守族の私が思わずカメレオン族に形を変える程の衝撃を
受けた。まさか船内で水を引き込む或は微妙な空気の調整をすることで船を沈め行く
なんて驚かない筈がない。こんな単純な方法で乗り物を潜り込ませる事が可能だった
なんて。私は何度も驚いた。だが同時に幾つもの疑問も浮かぶ。何故、浸水は起こらない
のか?
 此れについてはネロリモ船長は明確な答えを出したさ。だが、読者からの奇想天外な
疑問を恐れてここでは紹介を省く。各者独自に考察してくれたまえ。
 其れじゃあ--』

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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