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一兆年の夜 第九十二話 海底成人体型一万二千(ニ)

 午前十時零分七秒。
 さて、一段落於いて講義される内容は何か? 其れは一の年より前からエピクロ海を始めとした海に出没する謎の海中種族。その全長は成人体型にして凡そ百。実際に其れを何度も目押しと様々な証言を基に測量した学者がいる。彼は今講義をする者。
「あれはとても驚いた? 両生種族のあっしが訛りである疑問形がついつい忘れてしまう程のね?」齢三十九にして九日目に成る応神山椒魚族の老年ヤマガサキノサンショウヤマは熱烈に語る。「形は恐らく一角族と思われるね? 何しろ、突然鯨型に突撃しただけで一撃一倒だったね?」
「一撃で倒されろうだって?」質問するのは齢二十六にして二十五日目に成るラテス燕族の青年にして引力研究家を自称するフッシン・メッサーシュミット。「だからって一角がそんなにでかい訳なかろうに……フン!」
「私もそう思うリィ。何かの間違いじゃありませんかイモォ、サンショウヤマ先生リィ?」
「いや、間違いじゃないね? 確かに一角族みたいに何か鋭そうな曲線をしていたよ?」
「其れではわかり辛いと思いますがイモォ、サンショウヤマ先生リィ?」
「ヘェン、正確には前方に向かう毎に滑らかに成ってゆく……ジャアね?」フッシン同様に頭脳労働者とは思えない巨体を誇るのは齢二十九にして九の月と二十九日目に成るゴルギ熊族の青年にして賞金稼ぎと呼ばれる銀河連合討伐を専門職とする銛師真鍋ベアッ土。「其れならば俺様の出番ダアゼ!」
「お前みたいな脳まで筋肉詰まった生命は黙れ? って言うかまた顔を出しおって?」
「お前こそ黙れ、疑問形の訛りナアンかしやがって!」
 お前達はりーイ合うんじゃあない--齢三十八にして二の月と一日目に成るアデス羊族の老年にして塩分学者を自称するメエメリ・メヒイストは仲介の為に間に入る。
「羊族のメエめりが出て来られたら仕方がナアイ!」
「オホン……其れじゃあ話の続きと行きましょうね? 兎に角、一角族にしては余りにも巨大にしてしかも速い?」
「速いッケロ……速いと言いましたッケロ」イモールの隣に座る齢十九にして十九日目に成る応神蛙族の少年ツミカゼノカエルヒコは右前足で挙足する。「その速さとは一体どれ程出ていたのですかッケロ?」
「君はイモール君の助手に成ったばかりの少年だね? まあ速さで言うと海豚速度二ぐらいかな?」
「なのに鯨型を一撃で倒す程ッケロ」
「中々の良い質問だねイモォ、カエルヒコ君リィ--」
 た、た、大変でちゅ--そこへ齢二十七にして二十九日目に成る神武鼠族の青年ヤマカゼノチュミサキが教卓近くの右扉を叩き開けながら何かを知らせに現れた!
「ど、ど、如何したね?」
「応神海に、応神海に……例の一角族と思われる奴が現れたでちゅ!」
「何……これは嬉しい誤算ダア!」
 闘争本能の激しいベアッ土だけでなく、イモールを始めとした学者研究者達はそれを聞いて次々と席を立ち始める。中にはちゅ岬を突き飛ばして今にも一角族を捕えようと躍起に成る生命まで居る始末。其れだけに例の巨大一角族に夢中である。どれくらいに夢中かは次のイモールの思う所で明かされる。
(もしも一角族と対話出来れば深海に於ける謎がまた一つ判明されるリィ。しかも連鎖反応を起こすように次々と謎が証明されイモォ、深海が身近な存在に成る未来が訪れるリィ!
 何としてもその一角族だけは捕まえて対話を実現しなければいけないリィ。如何すればあれだけ巨大な肉体に成るのかを一刻も早く知らないといけないリィ!)
 其れだけに深海とは海中種族の中では巨大な割合を占める未知の世界である。特にその研究を続けるイモールにとっては浅い海では知り尽くせない摩訶不思議な深海の世界は宝の山其の物である。
『--ここから先は捕まるまで飛ばし気味に語るぞ。私達は無我夢中でその謎の一角族と
呼ばれていた種族を一目どころか捕える為に西地区にある港まで走って来た訳だ。正直、
直ぐに体温が変わりやすい私達両生種族にとっては走り込むのは体に堪えたな。だが、
弱音を吐いてられないのも事実だ。其れに後でたっぷり楽が出来る。其れが船に乗って数
の分もの間はね。
 さて、段落を変えて紹介するぞ。私と助手のカエルヒコ君は何故だか息臭いベアッ土と
組まされる事と成った。何でも私達学者研究者達がどの肉体労働者と組むかを決める
籤引きで奴のような礼を失する熊族と組まされるのだから正直、心臓の高鳴りが余計
激しく成ったな。依りにも依って真鍋ベアッ度とか言う真鍋傭兵団を再建しそうな雄と
組まされる身は堪える物だな。さて、ベアッ土への満足いかない部分はこの位にしよう。
 又、段落を変えて今度こそ説明しよう。ちょうど、例の一角族が現れたのは相変わらず
しつこい銀河連合の物荒らし共を討伐している時だったな。奴等は何なのかを先に説明
するといわば我々生命は海に用がある時は海藻成り若芽成りを取って来る物だ。ところが
銀河連合は取ったばかりの若芽及び海藻類ごと船を襲撃するのだよ。そいつらは主に海に
特化した海中型のみで構成され、そいつらの事を別名物荒らし十百の年程より前には
呼ばれるように成ったのさ。兎に角、そんな物荒らしを三隻の船は何時も通り船用望遠砲
やら取り付け式銛で投擲やらで迎撃していると突如として其れは現れたのさ。
 更に段落を変えて説明するぞ。前々からその噂を聞きつけていた漁業部隊三隻の内の
一隻は其れを報告しに私達学者研究者たちの所まで駆け付けた訳だ。そして現在に至る
訳だ。私達は報告しに行った船に乗って其処まで駆け付けているのよ。
 という訳で話の続きと行こうか!』

 午前十時五十七分二十三秒。
 場所は応神海仁徳島付近。若干、潮は渦を巻き始める頃合。
 幸い、一角族と思われる何かは未だに海上に留まる。まだ、物荒らし達を全て仕留めていないのか……縦横無尽に顔を出しては潜るの繰り返し。イモール達を乗せた船も接近するに至らない。それどころか、これ以上の接近は巻き込まれる危険性が高いと踏んで船長は聞く耳を持たない。
 馬か鹿カア、今シカアないんだよお--闘争本能の塊であるベアッ土は誰よりも冷静でいられない!
「だからってこれ以上端危険過ぎる」齢三十一にして二日目に成る仁徳鬼族の中年にしてイモール達の乗る漁船の船長を務める相原キヌ克は首を縦に振らない。「それ似あれ牙銀河連合じゃない斗いう保証模出来かねる!」
「だからって大人しく逃がシイテ良いのか……それだけでどれ程の生命を危険に晒すかわかっているのカアイ!」
「落ち着けイモォ、ベアッ土君リィ」
「落ち着いていられる程大人じゃないナア、先生ヨオゥ!」
「いやッケロ、先生の言う通り落ち着くッケロ!」
「蛙の分際で俺様に意見スルウとはなあ!」
「カエルヒコ君に何て事言うんだイモォ、ベアッ土君リィ!」
 もう言い、俺様自ら獲って来ルウぞ--何とベアッ土は自身よりも一とコンマ五の倍もある銛を右前足に海に飛び込んでしまった!
「ああイモォ、ベアッ土君めリィ。何処までも礼を--」
 いけないッケロ、直ぐに助け出さないとッケロ--義理に厚いカエルヒコはベアッ土に加勢するべく海に飛び込んでしまった!
(何だってリィ。カエルヒコ君まで……ってうおおおリィ!)
 ところが後ろ左足を滑らせた上に突然の船の揺れに手すりにしっかり掴まらなかったイモールは何と海に投げ出されてしまった!
「ああ、イモール先生牙海似投げ出されたぞおおう!」
 しかも海に慣れないイモールは直接海水を口に含んでしまい、終いに意識が薄らいでゆく……果たして無事で済むのか?

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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