FC2ブログ

一兆年の夜 第九十二話 海底成人体型一万二千(一)

『地上で起こる事は海では起こらない事と同義のように逆もまた然り。こうして私が生還
出来たのも一重にその法則に依る所が大きい。シャーク傭兵団も密かに知っていた彼等の
存在は私が遭遇するその時まで一般生命には何も伝えられなかった。いや、そもそもあの
ような船がこの時代の技術で確立していた方が不思議だろう。蒸気の波動を使った次世代
の動力もあれに比べれば霞んで見えてしまう。寧ろ、あれだけで深海を縦横無尽に動き
回る物だからどれだけ凄い動力なのかわかった物じゃない。深海種族は既に我々
海中種族の更に先を行くのか。其れともたまたま深海種族にだけ技術が集まったのか?
 どの道、海は深い。私は海についてまだ無知であり続ける。一時でも全知であると思い
込む事をここに恥じる。恥じた上で改めて私は一の年より前までの出来事をここに記す。
海中種族としての誇りを大切にし、更には海も陸を両方活動出来る研究者としてここに紙
と石板の両方を以って記録する。
 其れが生き残った私達の使命であるのだから。二の年より前に起こった事件の生還者の
代表として!
                       深海研究者 イモール・アーロナク』

 ICイマジナリーセンチュリー二百三十年十一月三十五日午前九時五十七分三十二秒。

 場所は真古天神武西物部大陸応神海付近新仁徳島。
 十二の年より前に奪還が果たされ、更には大規模な土の入れ替え作業という名の公共事業が行われた。その結果、僅か二の年で浄化が果たされ、現在では徐々にかつての学問の島へと戻りつつある。因みにこの公共事業を行った政権はその後の選挙で相手側に大勝させてしまい、政権を明け渡してしまった事だけをここに記す。
 新仁徳村の中央地区の村長邸。五階建てで一階当たり最大十部屋もあるという作り込みが為される。これも又、政権明け渡しの原因と成った財政赤字の元。しかも一部屋当たり平均百名も入る事が可能な面積。其れで居ながら大体一部屋当たりの高さが成人体型三と大柄な種族でも入室が可能な天井。その中の二階未確認種族講義に置いてある生命が聴講する。
(そんな生命が深海ではまだ存在するかリィ? 両生種族故に普段は淡水の中でしか暮らせない私が遥か遠い深海の話に耳を傾けるとはリィ!)
 齢三十二にして十の月と二日目に成る仁徳井守族の中年イモール・アーロニク……彼こそこの物語の主人公。しかも彼がとある講義に顔を出す事こそこの物語の始点と成った。

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2カウンター
リアルタイムカウンター
現在の閲覧者数:
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
Powered By FC2ブログ

今すぐブログを作ろう!

Powered By FC2ブログ

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR