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試作品 進行順調法 何処に需要があるのかわからない試作品(2/5)

 如何もあのレダの戦士があのような形で天に召された事を受けて正直、実感が湧かない状態の自分darkvernuです。
 ううむ、ブルマの後任は誰がやるのだろうか? ドキンちゃんの後任を誰がやるのだ? 兎に角、名声優はまた一人……天に召されてしまわれた。
 と気を取り直して二週間ぶりの奴をやるぞ!

 とある漫画家はボクシングジムのオーナーを務める。
「オオ、張り切ってるな」
「オオ、オーナー。今日は仕事休みですか?」
「何、今日も少しやる気を出したら本番だ」
 彼の名前は林谷グレン……本名林原志門。かつては打ち切り漫画家として二作立て続けに打ち切りを受けた不遇の漫画家。漫画家人生を終わらせようと思い、現在週刊少年カートリッジ連載中の人気漫画ファーストの捨歩を執筆。これが空前絶後の大ヒットを遂げて以降は鰻上りに人気急上昇。現在ではとあるボクシングジムのオーナーを務めるまでに上り詰めた。
 だが、同時に純粋に一貫から追いかけてきたファンの間では如何しようもない溝が出来た事も囁かれる。その結果、彼の経営するボクシングジムに特捜部の車が十台集まる。中から合計五十人の検察関係者が黒スーツと一糸乱れぬ黒ポマードヘアー、そしてキアヌ・リーブスが一躍世界的な名声を浴びたあの映画に出て来るエージェントの如きサングラスを着用してボクシングジム表側入口より大挙する。
「け、検察だ。オーナー、脱税したのですか?」
「いや、俺は高橋の件以降は依り入念に資金管理をしている。脱税なんてする理由が見付からない」
「じゃあこの集まりは……まさかオーナー!」
「奴等め、俺の大事な漫画を打ち切りに来たな!」
 林家はインターホン前まで駆け付ける。既に事務スタッフが対応に当たり、彼が階段を降りる頃には正面扉は開いた後だった。怒りの形相で林家は検察官達を睨みつける……否、睨み付けるだけじゃ飽き足らなかった!
「何の用があってアポなしで大挙するか、進行審査会の犬め!」
「お早う御座います、林谷グレン先生。私は東京地検特捜部の捜索部所属の丸佐と申します」
「俺の仕事場だけでは飽き足らずに事務の関係者が必死で練習している最中に家宅捜査する気か!」
「ええ、先生が連載するという漫画ファーストの捨歩には明白な引き延ばしの疑惑があるのです」
「俺の仕事場でも見つからない物が事務にも見つかる筈がないだろう!」
「其れは如何でしょうか……もしも見付からない場合は打ち切りを示す決定的な証拠がないと判明し、近日中に謝罪文を送ります」
「謝って済む話じゃない。正式に弁護士団を結成してこの腐った進行審査会を世に知らしめてやる!」
「気持ちはわからんでもないが、こっちも仕事だ。手を抜く訳にはゆかない」
「口だけは何とでも言えるな!」
 其れから丸佐を含めた五十人は深夜十一時に成るまで家宅捜索。マット裏から会長室の隠し引き出しまで入念に。だが、今回の話も一筋縄ではいかない模様。漫画家林谷グレンは何処にも引き延ばしを示唆する証拠を残していない。進行審査会を通さなくともわかる明らかな引き延ばしと減頁の連発、そして記念日であろうとも盛り下がる展開の数々……と枚挙に暇がない。
 だが、証拠は発見されなかった。あるのは深夜に成っても練習を続ける命知らずのボクサー達。練習生こそ帰宅は早いものの、チャンピオンという名の栄光を夢見る現役ボクサー達はどんな事があっても練習を続ける。シャドーは既に一日百回超えているかもしれないプロボクサー、サンドバッグをすでに一万回も殴り続けるであろうプロボクサー、パンチングボールも同じく一万回も殴り続けるプロボクサー、縄跳びは既に十万回を超えて余裕があれば四重跳びもするプロボクサー、この時間帯に成ってもロードワークを続けるプロボクサー……と彼らはボクシングの為に日夜減量と命知らずな程の練習を課す。お蔭で現場の検察官達も触発されるように捜査を続ける。だが--
「お疲れ様です。其れ以上の捜査は心身に異常をきたす事に成りますよ」
「見つからない……ある筈だと思ったのに!」
「見つかるのではなく、初めから無いのです。大体俺はボクシングジムを経営する身としてオーナー兼会長を熟しながら漫画の執筆に当たっているのですよ。どうしても今週中に書き切れないのは当たり前じゃないか!」
 其れは誰が聞いても明白な言い訳。だが、この場に居る誰もが反論出来ない--証拠と呼べる物が見付からない以上は下手な反論は負け惜しみとしか聞こえない!
「そうゆう訳ですので、帰って下さい。でないとジムの人間も安心出来ませんので」
「わかりました。では後日改めさせて戴きます!」
 こうして今日の捜査は不発に終わった。


 今回の話は休載及び減頁ばっかりで絶賛不評中のあの漫画家をモチーフとしたお話。さあ、後半へ続く。

 車内で丸佐は灰皿に当たり散らす。誰が見てもわかる引き延ばしと減頁……後者は兎も角、前者は確実に指示をしたと睨む創作捜査官丸佐茂。だが、深夜十一時まで件のボクシングジムを片っ端から探して見付けたのは証拠にも成らないサイン色紙の数々と簿記会計……漫画制作をジムでやったという証明は出来ない模様。漫画制作は漫画スタジオで行われる事が証明されただけ。だが、スタジオは過去に何人もの創作捜査官が挑んでは誰も引き延ばしを行ったという証拠が出なかった事で有名。勿論、連載雑誌であるカートリッジを出版するひゅんだい社の全ての支部にも強制捜査を敢行し、シロである事実だけが残った。林谷グレンは手強い。漫画の展開は読者も呆れて物が言えないにも拘らず、誰も引き延ばしの証拠を見付けずにいる。進行審査会は長年に渡って強制捜査の手配を送り続けているにも拘らず。
「奴は間違いなくクロだ。ジム経営しながら漫画を執筆しているなら展開だって多少は早く成ってもおかしくないだろ!」
「ああ、あれっすね。何度も大ゴマとカルピス薄めたような頁数の少なさで何度も読者に待たせるからね。酷い時には試合終わるまでに一年も掛けるからもう誰も見てないっすよ」
「一つ訂正しろ!」
「何ですか、警部?」
「誰も見てない事はないだろ!」
「あ、そうでした。し、失礼しました!」
「全く」
 丸佐が乗る車は未だに事務の来客用駐車場に停車中。検察らしく注意が来るまで居座り続ける模様。これに依り、襤褸を出した創作者は跡を絶たない。
「其れにしても今は二時ですよ。何時まで練習が続くのですか?」
「其処の着目したか」
「え?」
「俺が最も気に成ったのは閉館時間が異常な所だ」
「閉館時間の遅さを?」
「教えよう、白岩。俺が如何して奴の事務の閉館時間が余りにも遅いかに着目したのは?」
「其れってジムで練習を続けるボクサーが鴨川ジム並にスパルタである証拠ですか?」
「実はな。草を潜り込ませて確認を取っているのだよ、歴代の担当捜査官達は。その結果、一月に一回は閉館時間が四時を回るそうだ!」
「よ、よ、四時!」
「驚くのはまだ早い。更には平均値では何と三時五十七分……今時、ブラック企業並の不効率な閉館時間はないぜ!」
「其れは驚きますね。、で、でも平常時は何時頃に終わるのですか?」
「えっと今で深夜二時十二分三秒だから昨日の十一時に捜査が終わった頃だよ」
「其れも調べたのですか?」
「ああ、ここは確かに異常な時間帯に閉館するらしくて近隣の住民は迷惑を被っているって話だ」
「そりゃあこんな時間帯に成ってまで灯りを灯すのが異常だよ!」
「同意だな。俺も……ン?」
 ここで丸佐はある事に気付く。遅過ぎる閉館時間に何時までもハードワークを続ける現役プロボクサー、そして丸佐が目撃したという何か!
「白岩……わかったぞ!」
「如何したのですか、警部!」
「まだ間に合う。直ぐにジムに乗り込むぞ!」
「いや、さっき日を改めるって言ったじゃないですか!」
「あ、そうだったな……ならば過去の捜査資料を洗い直しに帰るぞ!」
 こうして丸佐の乗る車は発進。其れを見て安堵する事務オーナーにして漫画家の林谷。彼は気付いていない……丸佐は決定的な証拠を見付けてしまった事を!

 四十二日後の午後八時三十分……丸佐と白岩は彼の経営するボクシングジムに立ち寄る。しかもボクシング用具を一式取り揃えるように。林谷は気を緩めた状態で二人を入館してしまう。
「又来たか。如何ぞ、中へ」
「ええ、今日は捜査令状もこの通り持って来ました」
「何? 一ヶ月も来なかったから諦めたのだと思っておりましたが」
「我々はその位で諦める程軟じゃありませんよ」
「あ、実は本官は--」
「何、負けず嫌いに火が点いてついつい粘ってしまいましたよ!」
 林谷は満面の笑みで次のように尋ねる。
「其れは無駄な努力をしますね」
「でももしも幕の内一歩が自分と同じ検察官ならば諦めずにフィニッシュブローを狙い続けるでしょう」
「ウグッ!」とボディーブローを受けた振りをして次のような事を呟く。「とマウスピースを飛ばすのですか……御冗談を!」
「冗談か如何かはこれからの推理ショーに期待してみてて下さい!」
「期待しますよ、警部殿?」
 其れから丸佐と白岩はスーツを脱いで練習生と同じくマウスピースとヘッドギア、其れから分厚いボクシンググローブを装着して前者は縄跳びを、後者は黒のサンドバッグに向かって練習を開始……するのだが!
「お、おい!」「あ、あいつらはど、ど、如何してあの方法を!」「ヤバイ、ヤバイ、やばいイイ!」と十年以上のベテランプロボクサー達は突然悲鳴を上げる!
「おやおや、何を立ち止まっているのですか?」
「本官達は普通に練習しておりますので気にせずに続けて下さい!」
「いや、気に成るのだよ!」「さ、さきいから、な、な、何てふしだらな事を!」「気に成って練習に身が入らないだろうが!」と二人の練習が気に成って体を止め始めるベテランボクサー達!
「え、佐伯さん達は何を驚いているのですか?」「至って普通に練習しているじゃないか」「少し拍子を撃つような練習だけど、素人的には其れが普通じゃない?」とベテラン以外は至って反応を示さない。
 これは一体何が起こっているのか? 何故、ベテランボクサー達だけが丸佐達の練習に過剰反応するのか? 答えは後程紹介する。
「じゃあ次は……あ、リングの上で練習試合しても宜しいかな?」
「そ、其れは……その!」
「如何したのですか、ベテランの皆さんが揃って冷や汗を流しちゃって!」
「別に向こうのプロ専用のリングで練習する訳じゃないのですよ。このおんぼろのリングの上で自分と白岩が練習試合するのだよ。良いだろう、オーナー?」
「先生と呼ばんか……だが!」林谷は次のように呟く。「それはお前達の思い込みに決まっている!」
「何故先生まで焦っているのですか……いや、担当の人間も焦ってますね」
「そ、其れは--」
「ハッタリだ、琴山さん。そうに決まっていると信じて下さい!:」
「は、はい先生!」
 其れから丸佐と白岩は練習試合を始める……のだが、林谷と担当編集の琴山、其れからベテランボクサー達は阿鼻叫喚の縮図を描いてゆく。
「如何したのですか? 少々、最初は顔面一発にボディ二発、其れとリバー一発だったのがボディ二発目をガードされましたな」
「因みに正解はおちんこ……あ!」
「馬鹿、答えを言うな!」
 これが答え。暗号のルールはここでは紹介しないが、林谷グレンが引き延ばしを指示するのに使ったのはボクシングジム。しかも一部のボクサーにだけ暗号を示唆する打ち方を叩き込む事で練習しているように見せ掛けて引き延ばしの指示を送っていた。
「何故わかったんだ、お前達!」
「いや、確証に至るまで長かった。何にせよ、通常のボクシングジムを使ったトリックは如何してもボクシングの神様を信仰する日本人にとっては障害と成る。減量苦に耐え、食事制限と戦いながらようやく掴むチャンピオンの座。だが、漫画家なら別だ」
「ウググ……だが、お前達は其れだけを暴いただけだ。其れで俺達が引き延ばしたという証拠には成らない」
「いや、証拠はある。これだよ」
 丸佐は白岩に指示してビデオカメラを取り出す。本来ならスマホ映像を見せるのだが、見るなら大画面の方が証拠に成ると踏まえて大画面用に画像を調整し、事務内にあるテレビジョンに直結。其処に映るのは……ロードワークしながらも右手に持つ特性のサイリウムを何度も点滅させるジム所属のボクサー……否--ボクサーに偽装した担当編集の琴山だった!
「ウワアアアあ、な、何だあああ!」
「驚いたよ。俺はな、四十三日前からずっと引っ掛かっていたのだよ。名簿の中に歴代の担当編集の名前がある事にな!」
「ク、其処まで洗い出したのか!」
「お前はそうやって強制捜査が入る頃合を図って担当編集に連絡を取ったのだろう。しかも無理があれば代理の編集に依頼をして引き延ばしの指示を送る事をな!」
「だ、だが腑に落ちないぞ。名簿を、み、見ただけで如何して俺達がボクシングジムを使って引き延ばしに関する連絡をしているのだと気付いたのだ? あの時は、あの時は……ウググ!」
「ああ、あの時はジムに戻らずにずっと走らせたのだろう。言いたい事は其れだろ? だがな、気付いたのだよ。お前が頻繁に窓の前に立っては何かを覗き込んでいる事をな。其れで少し車内からその何かを調べたのだよ。すると見付けたのさ」
「だが、本当なら真っ暗闇の中だ。とてもカメラで写せる光量ではない!」
「国の科学力を舐めるなよ、漫画家が!」
「畜生……俺だって理解しているのだよ!」
 とうとう崩れ落ちる林谷。彼は静かに告白した。
「俺はボクシングが描きたかった。ボクシング漫画が描きたかった。そして最後のチャンスに俺は乗っかり、漫画家として大成したんだよ。其れでも俺はタイトル通りの事を忘れない為にずっと読者の為に面白い漫画を提供する努力を怠らなかった。ジムの経営だって現場でないとわからない事があると思い、やった。屑みたいな奴を雇って痛い目も見たさ……でもなあ、でもなあ!」そして林谷は最後にこう絶叫する。「もう好きなようにやらせてくれええええええ!」
 引き延ばしとは好きだった物まで根こそぎ奪い取る。もう輝きを放つ林谷グレンは居ない。其処で項垂れるのはその成れの果て。
「だから震災漫画やったんだな。全く引き際を間違えた漫画家程見にくい物はない!」
 こうして人気漫画ファーストの捨歩は長い歴史に幕を閉じた……


 という訳で『進行順調法』をお送りしました。一応あいつはボクシングジム経営しながら漫画描いているからな。正直、誰かに経営を任せるとかしないのかな? いや、昔屑野郎に依って手酷い目に遭ったから無理なのだろうな。

 それじゃあ今回はここまで。もうこんな時間か!

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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