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一兆年の夜 第九十一話 必死の逃亡者達(四)

 十一月二十四日午後四時七分三十七秒。
 場所は不明。わかる事は仙人掌が生えていた事。そして月の方角から考えてゴルギ村より南東側にあるという事。
 アンティラとラク一は北西を目指して進む物の待ち構えるのは幾重にも出現する螺旋の砂。その為、遠回りを余儀なくされ続ける。しかも丘が多く出現する為に予想以上に足腰に響く。幸い、アンティラは蟻族故に六本足で丘を越えるのも左程苦ではない。駱駝族であるラク一に至っては元々砂漠を渡る為に適応された種族。その足腰と過酷な砂漠横断を可能とする持久力の源である瘤はそう簡単に萎んだりはしない。故に遠回り程度で其処まで深刻に成らない。
 問題なのは遠回りする度に包囲の調整を図らないといけない。何故なら星は丸く、平ではないのだから。
(タァ天体学者に依ると星は楕円であるそうだ。ァダとすると必ず真っ直ぐは曲がりくねってないと説明が付かない。ィイしかもどれくらいの角度で曲がるのかを誰も正確に測る事が出来ない。カァ円周率での曲線だからなあ。ァア何百桁だろうと何千桁だろうと円周率の果てが見えないからなあ。コォれを突き詰めようとする学者及び研究者共は少し頭を冷やして欲しい!)
 方位の話も気が付けば円周率の話に行き着く。脱線しやすい話とは何と脆い事か。さて、螺旋の砂に苦労しつつもアンティラとラク一はゴルギ村を目指す。確かに方位通りの道を突き進めば辿り着くと信じて……信じて!
「ナァなあ?」
「如何したのですか、アンティラさんじゃあ?」
「ィイつに成ったらゴルギ村に着く?」
 わからないじい--二名が確信が持てない所までここが本当に同じ大陸の砂漠地帯なのかわからない程だった。
「ォオそもそも泳いで行ったのは他でもなくラク一だろう。ァサ何で迷うのだ!」
「じ、実は言い忘れていた事があるじゅう!」
「ナァに!」
「じ、実は泳ぐ途中で眩い閃光に呑まれたのじゃあ!」
 ナァンで其れを今頃に成って話すのだよ--と怒鳴るアンティラ!
「だ、だ、だってええ……今に成って気付いたんじゃあ!」
「マァ全くラク殿さん同様に呑気だよ!」
 いやあ、褒められても出ませんじょお--褒めても居ない事に嬉し顔なのも父親譲りのラク一だった。
(ァア俺は家族の所に行きたいのにこいつのせいで其れが叶わない。カァ銀河連合に依って家族を奪われた俺が何でこうして彷徨うのだああ……ンン?)
 二名は見付ける--蜉蝣なのかどうかわからないが、遠方に何かが浮かび出す。
「き、きっとおお村だあああじゃあああ!」
 オォ、走ろうかああ--大喜びの余り、息が荒くなっても二名は其処へ向かって走り出すのである!
 現在、逃亡四の日の目……

 十一月二十五日午前六時七分二十八秒。
 場所は不明。二名が見つけた村は神々の眠る地だった。
 誰も住まず、尚且つ仙人掌だけが住処として存分に栄華を極める。お蔭で二名は飢えに苦しむ事はない。しかも水資源も仙人掌で補えるのだから一石で二名の鳥とはこの事を指す。
(アァいにく鳥族を目撃しておらんがな。カィにしても何で建物全てが神様なのだよ。ァアここはまさか秘境だというのか!
 ィイや有り得ない。カァ秘境って言うのは聞く所では空気も新鮮で緑も溢れる話だ。ダァがここは異なる!
 コォこは空気は確かに心地良くとも話題にする程じゃない。ワァだいにする程じゃない以上はここは秘境じゃない!)
 ではここは何処なのか? 二名は少々長たらしくも会話をする。其処に何か答えが見付かるだろう。
「ひょっとしたらここは銀河連合に襲撃される前の村じゃないかじい?」
「ィイや、其れならば生命が住んでいなければ答えに成らない。スェ生命が住まない村に何の意味があるのだよ!」
「じゃあ。もしかして秘境じい?」
「サァ其れは有り得ないな。ナィ何故なら神々しさをこの村から見出せないからな!」
「謎が深まるじょお」
「ソォ其れに秘境だったら何かしら俺達には理解の難しい像等が残ってもおかしくない。ノォなのでここは偶然神々が眠っていた仙人掌だけが住む村だ!」
「仙人掌だけが……だけがじゃあ?」
「ンゥ如何した……あ、あ、あああああああ!」
 其の村に蟻地獄型は居た。其れが追い回していたモノと同じなのかはわからない。わからないが、これだけはわかる。二名は至急採取した仙人掌だけを回収して逃げるしかない。逃亡生活はまだ続く!
(ウゥうわあああ、如何して銀河連合は俺達を安心させてはくれないのだあああ!)
 現在、逃亡五の日の目……

 十一月二十六日午後八時七分十一秒。
 場所は不明。謎の村から北地区から出てそのまま北へ向かって成人体型二千六百の距離まで逃亡。
 二名は食糧こそ砂漠のあちこちで映える謎の仙人掌で賄える物の何処へ向かっているのかわからずに既に諦めつつある。
(ソォそもそもここは一体何処の砂漠だ? サァ地同正伝せいでんはこんな所に来たのか?
 キィ急にその話を考え始めるのは地同正伝が奪還した数々の土地についてだ。クゥ詳しくは紹介しないけど、俺はこう考える。クゥ喰われた大地と奪還された大地はちょうど重ね合わせの状態に成ってるのではないか? デェでないとここまで方位と結び付かない数々の土地なんてある訳がない。ソォれに仙人掌の存在も謎だ。ナァんで仙人掌があちこちに生やすのだ!
 ゥウ……又向こう側に何か建物が見える!)
 二名は精神の疲弊に依り、幻を見ている己を自覚出来る。其れでも希望に縋りつく以外に生きる道はない。真っ直ぐ走る……希望は目の前だ。例えそれが幻だとわかっていても信じるしかない!
 二名は月夜に浴びつつも……「チョォ、っと止まれええい!」其処でアンティラはもう一つ異様な事にも気付く!
「ど、如何したのじゃあ?」
「ァア見よ、月を!」アンティラはラク一を見上げさせる。「ァア月がどの時刻でも同じ角度で聳える!」
 其れは有り得ない話である。何故なら月は時を追う毎に少しずつ季節毎に移動する。だが、ここの月はそうじゃない。
「じゃあ、じゃあ!」
「ァア、ここは水の惑星ではない!」
 確定ではない。其れでも惑星の中で暮らす生命にとって当り前の常識が通用しない場所は明らかに別の星での出来事だと思えば謎は解けてゆく。アンティラ達は水の惑星とは別の何処かに移動しているのだと確信するにはやはり月夜で見つけたあの村に辿り着く以外にない!
 現在、逃亡六の日の目……

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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