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一兆年の夜 第九十一話 必死の逃亡者達(一)

 ICイマジナリーセンチュリー二百三十年十一月二十日午前三時十二分十八秒。

 場所は真古天神武プロタゴラス大陸ソフィス地方新ピアス県第三南西地区。
 その真ん中より二番目に大きな建物と真ん中より三番目に大きな建物の間にある路地裏で齢三十四にして六日目に成るピアス蟻族の中年が網目の縄を二番目に大きな建物の突っ掛けに引っ掛け、前後の先端を輪っかにして自らの首に合うように結ぶ。其れから蟻族の脚力で転がせる事が可能な台を用意して其処へ乗る。その中年がやるのは何か? 其れは文章で察するよりも彼自身の思いで直接感じる方がわかり易いだろう。
(ンァ死んでやるううう! ンェもう妻と息子も娘も……みんなみんな死んでしまったあああ!
 アァ俺はもう生きる意味がないイイイイ! ブゥ銀河連合に全員食べられてしまったああ!
 カァ仇は取ったよ、取ったけどおおおおう……俺にはもう何も残らねえ!
 コォこのまま死んでやるう。シィ死んでやるからなああああ!)
 自ら命を断とうとしている生命の名前はアンティラ・ピオール……僅か一代で会社を興して十の年の内にピアス一の会社へと伸し上げた実業家。自社製品であるピアス饅頭は新ピアス市をピアス県に昇格させるなど彼の偉大なる功績は彼を慕う社員達の中では巨大な物だった。
 だが、一の週より前に彼に悲劇が訪れた。その悲劇とは帰りを待つ彼を家族を全て食べた銀河連合が冷たく迎えるという物だった。幸い、銀河連合は死を覚悟の上で抵抗したアンティラの力もあってか直ぐに討伐出来た。だが、失った物が大き過ぎた。幸いの妻と十八名の息子と娘を同時に失った。いや、子供の数は十八名以上と数えた方が適切だろう。何よりも妻は十九子以上先も儲けようとお腹を膨らまして家の地下で出産を控えていたのだから。何方にせよ、幸せは僅か一の日の内に全て失った。残ったのは自身の栄光を築き上げた会社だけ。だが、会社だけでは彼の生き甲斐に繋がらない。愛する妻と子供達の居ない中で会社を運営する意味はない。葬儀を終え、さっさと後継者を決めたアンティラは誰の目にも触れないであろうこの路地裏にて命を断とうとしていた!
「ちょっとそこの生命じょお、命を断つのは後一の日待たんかじゃあ?」アンティラを止めたのは齢二十四にして九の月と八日目に成るピアス駱駝族の青年。「死ぬのはおらが如何しても頼みたい依頼を受けてからにしないかじゃあ?」
「エェいいい、駱駝族のでかい若造が小さな俺の気持ちをわかって堪るかあ!」
「その小さいあんたにおらは頼んでるんじゃあ」
「ソォその前に名乗れ、社会者なら常識だろうが!」
「おお、そうだったじょお。おらはピアス駱駝族の時山ラク一と申しますじゃあ」
「ァア時山? フゥひょっとして俺が経営していた会社の部長にまでしか昇進しなかったラク殿さんの--」
 ああ、父ちゃんの一名息子じゃあ--ラク一との出会いはアンティラの逃亡劇を築いてゆく!
 まだこれは始まりに過ぎない。ラク一の頼みがまさか必死の逃亡劇に繋がるとはこの時、二名も予想出来ない事だろう。
 現在、逃亡零の日の目……

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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