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一兆年の夜 第九十話 一週間地底旅行(七)

 十一月十二日午後五時三十七分五十八秒。
 場所は不明。其処は建物が立ち並び、巨大な何かが地面に突き刺さったまま転がってある。突き刺す何かには丸くて先端に向かう程鋭利で丸みを帯びた物が。其れも渦を巻き、其れはまるで地面を掘るのに適するかのように!
 三名は目覚めて直ぐに肉体のみならず、脳も働かせる。休む時間としては十分な程。三名は随分休み切った。
(ラここは想念の海かえモグ? ラそうだ、ここは想念の海で間違いないモグ!
 ラ……いや、何かがおかしいモグ。ラ想念の海とは歴代の酋長が話す所に依ると喉から声を発する事もなければ自らの肉体さえ認識出来ない想像の中の創造と呼ぶに相応しい不可侵の領域モグ!
 ラところがここは如何だモグ。ラ足の爪を認識出来るモグ。ラミミズルやムカッスを視認出来るモグ。ラだとしたらここは--)
 爺さんレラ、生きていたんだあレラ--全身を巻くようにモグラムスに抱き付くミミズン。
「ウオオオ、鏡だああ。これはアアは鏡なんだ……しかもオオもこの領域以外の周囲を見渡すとオオと見えるこの不可思議!」興奮しながらもムカッスは冷静に周囲を見渡す。「ここは火のオオの海の中にイイに居る!」
「本当だレラ。僕達は火の海の中にある居住区域に入っているのに無事で居られるレラ!」
「ラまさかここが……例の火の秘境なのかモグ!」モグラムスは驚愕する。「ラわしらは如何やってここまで来たんだモグ!」
「僕だって見覚えありませんレラ!」
「私もオオもですよ。あの時に何があったのかアアを上手く……上手く、あああ!」
「如何しましたレラ、ムカッスさんレラ?」
「今の時刻をオオを測れますか、ミミズル君?」
 やってみるレラ--ミミズルはこうゆう事でもモグラムスにとって自慢の息子だった。
 その結果、モグラムスとムカッスが引っ掛けてあった手提げ袋を含めても既に最終日である七の日である事がわかった。
「ラそうかいモグ。ラならば最後の仕事に取り掛かるとするかモグ!」
 三名は火の秘境と思われる火の海の中で原形を留めたまま自分達が無事で居られる気温を保つ居住空間の調査に乗り出す。此れには長年の夢が叶ったモグラムスだけでなく、ミミズルもムカッスも飛び跳ねながら調査する程の興奮ぶり。一皮剥けば年齢関係なしに生命は子供である。少なくとも彼らよりもさらに古い世代にとっては何時まで経とうとも子供は子供……決して『最近の若い者』で済ませられない事情が其処にある!
 さて、彼らの調査で判明した幾つかのつまらない物を紹介していこう。先ずは鏡から。鏡は文字通り神様である。神様である以上は反射しない。反射しない鏡に何の価値があるのか? 其れが遠過ぎる過去に於いては神様として崇めるに十分な意味が籠められる。
 次に先端に螺旋を描くように丸くて尖った物を取り付ける乗り物のような何か。こちらも同じく神様故に何も貫通しない。だが、三名には其れを持ち上げる程の力を有さない。土竜族と蚯蚓族と百足族ではどう足掻いても地殻的に持ち上げる技術が必要に成るが、火の秘境で穴掘りをする事がどれ程危険が高いかを考えると勧めらる訳がない。だが、先端部分は貫通しない……これは紛れもない事実として十分!
 最後は建物の中に何かを収納する羽状の巨大容器。容器の真ん前に恐ろしい姿をした人族のような何かが並ぶ。右から順に何かが紹介される。ここでは記された文字は紹介されないが、異名は黒鉄の巨人……人族の顔とは思えない姿をするのに自ら人族を名乗るような人族の像は一体何なのか。次に紹介されるのが偉大なる勇者……人族は勇者なのか? 人族でないと勇者を名乗れないのか? その次は宇宙の王者……まさか火の秘境でという言葉を目にするとは。正に予言としか思えない。だが、肝心の宇宙の王者は頭に左右三本の角を生やした異形の人族の像。鹿族或は闘牛族や猪族と品種配合せんとばかりの勢いだ。全生命体にとってはこの像が人族に異形の姿で居ろと言わんばかりのように主張するように思われる。其れからムーの魔神、魔神皇帝、偉大なる魔神皇帝、地獄成る魔神、そして見るも恐ろしい終焉の魔神……と羽状の巨大容器には幾つもの因縁が存在するかのように神々は主張するのか。だとしたら其れは銀河連合の行き着く果てを示すかのようではないか……三名はそう考える。
 だが、これ以上の考えをさせまいと三度銀河連合は三名の前に現れた--神か或は神の制反対かを主張するそれぞれの像の向こう側から現れるように!
「おレラ、思い出したレラ。昨の日に遭ったのはあいつだレラ!」
「頭が働いて漸く昨の日のオオの銀河連合が前にイイに出会った奴と一緒であると断定出来ましたな……其れでエエも恐い!」
「ラどっちでも良いモグ。ラ今ならあいつを倒す方法はわかるぞモグ!」
 まさか外まで誘導するのですかレラ、む……無茶ですよレラ--とミミズルはその策がどれ程危険性が高いかを承知で物申す。
「だアアが、其れ以外にイイに足はありません。私達はあのような全身がアアが火で覆われた銀河連合を倒せません。例え鬼族でエエも難しいでしょう」
「ラそうゆう訳でわしらは上手くあいつを外に追い出すぞおおうモグ!」
 其れは銀河連合が初めて水の惑星に流れ着いた頃より続く全生命体の避けられない戦いの延長線上。全生命体が生き残るには例え銀河連合の命だろうと摘み取ってでも生き残る道はない。対話に限界が来た事が証明された以上は其れしかない……三名はそう考える。だが--
(ラじゃが戦いを選んだ時に全生命体は徐々に変質を遂げているのかも知れないモグ。ラその変質に気付いた時こそ、再び全生命体は対話の道を選ぶじゃろうモグ。
 ラ全生命体はそもそも戦いを望むような心に成っておらんモグ。ラ本来は万者平等の思想こそが一番モグ!)
 モグラムスは更に進んだ事まで思考する。全生命体のは再び対話の道を進まざる負えない……元々、誰かが傷付くと自らも傷付く以上は戦いを如何して望むのか。
 さて先の話は其処までにして今の話に集中しよう。モグラムス達は新種の銀河連合を誘導してゆく。時には神様に守って貰う形で銀河連合の繰り出す火の玉水鉄砲を躱す。一撃貰えば火傷が裂けられない以上は守って貰う以外に道はない。しかもここは新鮮な空気が蔓延する秘境……引火するに十分な酸素量。故に三名は躱しつつも上手く壁際まで追い詰められる振りをする。その振りは元々正面突破しか頭に考えない全生命体故の苦い行為である。
「僕達が追い詰められて如何するのですかレラ!」
「仕方なアアいですね。私達に銀河連合とオオと同じ行動だなんて信じらアアれません!」
「ラ来るぞ、わしらは僅かな可能性も逃すんじゃないぞおおおうモグ!」
 その鉄砲の速度は望遠砲や望遠刀に比べれば遅い……が三名の肉眼及び反射神経の領域で捉え切れるモノではない。其れでも三名は僅かな可能性を信じて穴を掘った--その穴掘りそのものではなく、穴を掘る行為が鉄砲を躱す以上の事を齎した!
 銀河連合の放った火の玉鉄砲は秘境の外に飛んでゆくと同時に引力まで発生--三名の意識は其処で途絶える!
(ラ其れから先は想像であの時の事を思い出すモグ。ラあの時、わしは見てしまったモグ!
 ラ外に引きずり込まれた銀河連合が如何して火の海の中で活動出来たのかをモグ。ラ何と全身かr他空気を出して無理矢理でも活動して見せたのじゃモグ。ラ成程、空気が正しい解じゃったかモグ。ラ何、今一納得いかないってモグ? ラ済まないがそれ以上の説明はもう面倒なので省くぞモグ。
 ラそんな新種も神々の怒りの前では折角の技術も体内に入り込んで内部から焼かれてしまっては意味がないモグ。ラじゃからわしらは懸念材料の一つに入れたのじゃろうてモグ。ラ神々の気紛れを侮るなってのうモグ。ラそんな神々の気紛れはわしらに昨の日と同じ高さまで戻していったのうモグ。
 ラそうか、わしらが助かったのは地盤沈下の発生が原因か……そうなのかモグ。ラじゃがわしらは二の日の分まで居れてあった鞄を秘境の所まで置き忘れた為に集落に戻るのに一の週も余計に掛かったのうモグ。ラあの時は大変じゃったモグ。ラでも帰り道は素直に地下道を掘り当てるのではなく敢えて地上に顔を出す方向で決まったのう……そこもわしは意地を張って反対しておったがのうモグ。ラ全く老いとは人生経験の浅い若造共にしてやられる悔しさを味合わせてしまう程に強烈な物じゃのうモグ。ラじゃからわしらは若造共の足や手羽先を引っ張る要因と成る訳じゃモグ。
 ラま、わしは人生最後を迎える前に地図に記された秘境を堪能したのだし……それで良いじゃないかモグ。ラ心残りは置き忘れた鞄の行方じゃのうモグ!)
 その鞄の数々はやがて数奇な運命を辿るとは三名にも思いも寄らないだろう……

 ICイマジナリーセンチュリー二百三十年十一月十九日午前十一時七分三十二秒。

 第九十話 一週間地底旅行 完

 第九十一話 必死の逃亡者達 に続く……

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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