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一兆年の夜 第九十話 一週間地底旅行(四)

 十一月九日午後十時七分三十八秒。
 場所は巨勢火山真下成人体型二百五十五。其処はムカッス曰く巨勢蚯蚓湖と名付けられた危険な地帯。
 三名は火の水にこそ触れはしないまでも今にも悲鳴を上げそうな程に其処が長時間も居られない環境である事を理解する。其れは地上で暮らす生命ならば頼りがちな視力による判断……ではなく触覚で!
「別の道を探しましょうレラ、爺さんレラ。ムカッスさんの言った事が本当ならば火の津波に巻き込まれてしまいますレラ!」
「ラじゃが、ここを通らないと新鮮な空気が流れる道を通れないモグ」
 道よりもオオも命ですぞ、モグラムス殿--とムカッスは引き際を強調する。
「ラまだ引くべき時ではないモグ。ラまだ四の日の目だぞモグ」
「でも爺さんレラ。このままでは僕達は全身大火傷で死んでしまいますよレラ!」
「ラ刃職者はこの程度の熱で焼死しないわいモグ!」
 鍛冶者と一緒にしないで欲しいですよレラ--と熱に触る事を生業とする職者と大きく違う事を主張するミミズル。
「そうゆウウゆ訳ですよ、モグラムス殿。ここは若造の話をオオを聞いて引きましょう」
「ラ如何してもかモグ?」
「それはアアは如何してもオオもですよ、モグラムス殿」
 ラふう、命は一つとは良く言った物じゃモグ--本当の考えは異なれども敢えて一般的な考えに従ってモグラムスは二名の意見を受け入れる。
(ラこの歳に成ってわしは先ほど言った事とは別の生命観を持つように成ったモグ。ラ其れは肉失えども魂消えずモグ。ラ恐らくわしの命ももうそろそろじゃからこそモグ。ラだからってこんな所で死ねるほどわしの命は安くないモグ。
 ラやはり命というのは……何だモグ!)
 火の湖に背を向けようとした時にふと夜目に成れたモグラムスの左眼に入る異常な何か--火の海から赤く爛れる蛙族と思われる何かが出でる!
「ラ待てえええい、お前達イイイイモグ!」
「なレラ、何の要件……ええレラ、ええええレラ!」
 ぎ、銀河連合、にイイに、は星の血液さえ、もオオも、通じないのオオのか--ムカッスじゃなくとも初めてそれを見れば誰だろうと震えて驚くのが普通であろう。
 三名は絶体絶命の状況に追い込まれる。其れは火の湖から出て来た銀河連合の速度が通常の土竜族並である。其れだけなら地中という特殊な環境では潜る巧さに繋がらない。だが、違った。全身が火の水で覆われたのならば遮る土を溶かせば良い話。火の皮膚を得るという事は地中種族にとって何の足枷にも成らない。しかも形は蛙族に酷く似る。意味する所は即ち、水鉄砲による射撃も可能とする……が高温のこの場所では水の変わりは何なのかは想像が付く--湖を形成する日の水……即ち、三名が少しでも触れれば火傷は避けられない!
「ラここはありったけの土を被って鉄砲対策を取れええいモグ!」
 間に合いませんのオオので今は逃げながらやりましょう--ムカッスは外も良く知る故に緊急時の対応ではモグラムスの上を行く!
「ラだ、だが--」
「爺さんレラ、ムカッスさんの言う事に理がありますよレラ!」
「……ラ老いると素直に首を縦に振れんわいモグ!」
 悔しさを堪えてモグラムスはムカッスの言葉に従った。逃げてゆく三名に狙いを定めて読み通りの火の水鉄砲を仕掛けるも其処は地中。掘った場所以外や自然に出来上がった空間以外は全て土で包まれる上にある程度巨大な高温にも耐え得る故に貫通もまま成らずに成人体型一どころかコンマ五にも溶かし届かず!
 火を得ても肝心の使い方が鳴らないと判断したのか、火蛙型は湖に戻ってゆく--戻って来た時を想定して狙撃する為に!

 午前三時七分四十八秒。
 場所は真下成人体型百七十七。
 逃げる事に集中した為に三名は一旦空気を吸う事に。
(ラ振出しじゃなあモグ。ラ銀河連合は時代を追う毎に星の力さえも自らの物にしようとしているモグ。ラじゃがそんな話は如何でも良いわいモグ!
 ラ今は湖以外の安全で新鮮な空気が得られる道筋を辿らないとのうモグ。ラ今のままでは火の秘境に辿り着く事も出来ないモグ。ラじゃがあの道は確かに地図だけじゃなくて土地調査の結果に於いても優良な道筋に相応しい範囲じゃったモグ。ラ多少は火傷してでも通りたかったモグ。ラあそこを通れば後は新鮮な空気が水放題であるというのにモグ!
 ラ銀河連合の登場はわしらを更なる迷図へと迷い込ませるモグ。ラ最早あの湖へ戻れば待ち伏せしたあの新種に狙撃されて死んでしまうのが火を見て明らかじゃモグ。ラ銀河連合とはつくづく物語の中に顔を出して来るのうモグ!
 ラ其処まで全生命体と赤い糸で繋がるのかモグ? ラだとしたらわしらは厄介な隣者に好かれたのうモグ。ラ正直好かれて欲しくないのうモグ)
 モグラムスがそう思っても銀河連合は粘着質故に全生命体への接近は余りにも気味に非ず。モグラムスでなくとも関わり合いを持ちたくないと思うのは至極当然の話である。
 現在、地底探検四の日の目……

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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