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一兆年の夜 第八十九話 気球に乗って五日(三)

 十一月三日午前七時二十三分三十二秒。
 場所は不明。
 気球は間に合った。けれども次飛ぶ事は出来ない。何よりも三名共空中種族故に無茶な話である。
 そんな訳で辿り着いた秘境にて三名は昼食を摂った後に一の時もの胃の調整を踏まえた小話をする。二名共いい歳であるが故に無理な運動が出来ない為。其れが出来てから調査開始。出て来るのは人族のようで完全でない形をした人族の像の数々、生い茂った雑草や根っこが何とも作り物のようで植物感がない。極め付けはやはり背中に太鼓を担いでしかも頭を白いハチマキのような物で覆った人族が何かを驚愕するような表情をする像。その真ん前に何かを固定させる為にある物で上下左右四点を貼ってある紙が見える。四点の四角い何かを剥がしたスズ原ら三名はその中身を見ようとするも何も描かれておらず。何とも不思議な話だろうか。
 話を戻す。それから深夜に成るまで調査するも結局は成果を得られなかった三名は就寝し、今の時間帯に起床。起きて早々に三名それぞれの作業に取り掛かる。ワッシャンは朝食の用意を、フク山は環境の調査を、そしてスズ原は紙の解読を。
(だ、駄目じゃ。ぜ、全然わからない。只、わかるのはしっかり固定してあの自然じゃない手足と胴体をした人族の像前に貼られてあった事じゃ。な、何の為なのじゃ? に、日光に照らしても見たが)
 雲の上では雨の心配も雪の心配もない。だが、天気の変化を地上よりも感じやすい。しかも朝日が地上ではまだ暗い時間帯に顔を出す為に三名はその早過ぎる時間帯の顔出しに心身の対応が遅れる。
(お、お日様の機嫌を窺う事じゃあ駄目じゃな。ううむ、一体何に反応するのじゃ?)
 スズ原は大いに悩む。この紙には何かある。だが、何も描かれてないようにしか映らない。触覚で調べても窪みを確認出来ない。少々綺麗ではない方法として唾で舐めても滲み出ない。耳を当てても何も音は出ない。匂いに至っては何が何と匂わすのかわかる筈もない。
「そこまで見つめる事じゃないですよ、お祖父さん。今は一杯食べて健康的強者に成るのが一番って……ってところで健康的強者って--」
 し、知るかいな--八つに当たるようにワッシャンに用意されたおにぎりを持つと噛む回数も十分じゃない程の勢いで頬張るスズ原!
 当然、喉を詰まらせて半の時も二名を困らせる事に。
(と、歳を摂ると大食いも出来ない。気道が、気道が細く成るせいで噛む回数が増えて自然と空腹を和らげる傾向にあるからのう。と、というか基本的に大食いは宜しくないのが普通じゃがな。大食いは、大食いは燃費の良くない気球と同じじゃ。か、考えないとのう)
 それから三名は空の秘境から脱出する為に調査を惜しまない。そこには菅原炭に代わるものが見付かると信じているから。その間に様々な神様を発見する三名。
「な、何て黒い神様じゃ。皮膚が、皮膚が異常に伸び切るだけじゃなくて煙を出したり、有り得ない位に、有り得ない程に肉体が巨大化したり、挙句に、挙句に皮膚が黒く成って傾き出したり……最終的には真っ白過ぎる形態かあ。この人族は一体何を目指していたのじゃ?」
「ここに記されてあああああるのは何でも亜心麻鬼の実を極め、更ああああに覇気を極めた結果、融合さああああせて海貝戒王……何イイイイ王だってええ!」
「ところで本当にそう呼ぶのかな? 妙じゃないか? だって字の書き方へんじゃないかって思わない。ほら亜心は亜の真下に心があって麻鬼は麻の中に入り込むように下に鬼が入ってるじゃない? それから貝戒は何か二つともくっつき過ぎる位に--」
 ンな事よおおおうりもこれがもしも本当ならば天同家の目指すべき場所は真っ白なのか--と遠過ぎる過去ではそう考察してしまうフク山達であった!
(ううむ、ううむとこんな感じでこのような恐るべき神々を次々と発見してゆく。こ、これ以外にも次のような神々を発見した)
「こ、これは。赤く、赤く染まったり、更には、更には金色の髪と成って逆立ったり、時には、時には放電を起こしたり、そ、其れから眉毛が全て剃られたかと思うと髪の毛が臀部よりも下まで長く成ったり、挙句に、挙句に体毛が濃くて尻尾を生やしたり、時々、時々赤く髪を染め上げたかと思ったら青く染め上げて、そして、そして……髪を逆立たせたまま仏みたいに聳えたりするか!」
「何々いいいい、これは如何ゆうううう人族じゃ。これも天同が目指す究極なのかああああ!」
「そもそもこれは神々何だから幾ら考察したってご都合良過ぎるよ、二名共。そんな事よりも結局は脱出する為の菅原炭は見付かったの--」
 み、見付からんから神々に驚いて空しく過ごすしかなかったのじゃあ……言うな--今日は成果を得られないまま日を過ごす三名であった!

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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