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一兆年の夜 第八十八話 躯伝の空 躯伝、安らかに眠る(終)

 ICイマジナリーセンチュリー二百三十年十月九十一日午後零時五分七秒。

 場所は真古天神武アリスティッポス大陸中心点。
 七の地と呼ばれた場所にて齢七十三にして七の月と二十五日目に成る神武人族の老年は最後の話を終えた時、静かに眠り始める。それは全ての話を終えるかのように安らかな表情でしかも苦しみの一切さえないかのように。誰もが齢七十を超える老年が死ぬのを間近で見つめる。誰一名として心肺蘇生をしようと考えない。いや心肺蘇生してももう遅い。既に死んでもおかしくない程長く生きた。これ以上のせいに何の意味があるのか? その老年が考えそうなことを推測する三名は……いや、三名以外にも集まる。病院の関係者が老年を探しにここまで駆け付けるのか? いや、他にも居る。何故老年が死ぬその一歩前にここまで生命がこのような極冠の地に集まるのか? ガンジャーが……いや、ガンジャーではない。バレイバーが……いや、バレイバーは他者と戯れるような性格ではない。この青年が……いや、青年は騒ぎになるような動きを極力行わない。では誰が……それは老年が起こした奇跡と言えるのかも知れない。
 ずっと老年は忍んでこの場所で暮らして来た。その暮らしは今までみたいに誰かが食事を作ってくれる事もないし、帳簿だって自ら行わないと満足な生活さえも望めない。それを敢えて自らやった。しかも自分の名前を出せば協力が絶えないのにそれさえ断って自らの力でこの過酷とも呼べる生活様式を貫いた。だが、そんな老年の生活を気にしない生命は居ない。やがて老年の元に度々訪れる生命が発生。それはガンジャーとバレイバーを合わせて百に上る。当然、誰かが情報を流すのも無理はない。やがて老年が病院に担ぎ出されると百名しか知らない事が千、いや万にまで広がる。
 それから今に至った。集まった者達は凍える身に耐えながらも涙を流す。凍り付くと承知しながらも彼らは涙を流し続けた。そう、涙を流す訳は……老年天同躯伝が波乱万丈とも呼べる一生を終えた事を意味していた……
 だが、躯伝は死なない。魂はやがてこの場に居る青年の元に飛んで来る!
(父さん……しかと受け止めたぞ。僕はもう迷わない。例え何度挫けようとも父さん達が作り上げたこの真古天神武を守り抜くよ。それが後の世代で如何しようもない明日が来ようとも父さん達が築き上げてきた真古天神武の……天同の飽くなき魂は朽ち果てたりはしない!
 僕の代で更に盤石な物とする。そのせいで後の代が怠ける事があっても僕は一切手を抜いたりはしない。僕は絶対にやり遂げる。その為に父さんは真古天神武を建国したのでしょう。だったら大叔父が提示する幾つかの無茶もやってやるさ。例え僕の代で無理でも構わない。全てをやり遂げる覚悟で臨めば一つくらいは果たせる!
 僕は……として王道を進む!
 それから青年天同蒼天は進んでゆく……躯伝が敷いた道を静かに!

 最後に蛇族の足を紹介しよう。天同蒼天は第一子蒼穹そうきゅうと第二子紅蓮ぐれんを儲けた。しかもこの双子の兄弟は後に大きな物語の主役を務めてゆく事に。
 さて、蒼天は三代目に襲名するまでに望遠砲の軽量及び量産化を遂げた。しかも戦闘に於ける知識と技術面に於ける重荷の解消を熟して。更には真古式神武の全領土の奪還を果たした。だが、完全浄化の日を待たずして蒼天は六十七年もの人生に幕を下ろした。
 それは又、機会があれば……

 ICイマジナリーセンチュリー二百三十年十月九十一日午後一時零分零秒。

 第八十八話 躯伝の空 躯伝、安らかに眠る 完

 第八十九話 気球に乗って五日 に続く……

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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