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一兆年の夜 第八十八話 躯伝の空 躯伝、安らかに眠る(四)

 午後零時一分一秒。
 場所は拠点型第二区画。
 躯伝、烈正、メイリス、そして齢二十五にして二十五日目に成るエピクロ象族の青年にして救出五個中隊第四中隊長のマモリナスビロ・アダルネス(以下マモナビロ)と齢三十二にして二日目に成るエウク馬族の中年にして第二中隊長の真島ポルナ助は獅子型と虎型が集まる区画に入った。
「何て数だぞう。象式包丁でも難しく成って来たぜおう」
「寧ろここまで四足歩行式包丁だけで何とおおうかして見せた俺達の方が奇跡だあああん」
「気を付けて下さいよ、皆さん。銀河連合の動きはまるで私達の心を読むように感じられます!」
「まあ良くわからんけど、メイリスが言うのなら間違いない。けれども思うことあるんだよなあ」と烈正は次のように呟く。「メイリスは何で戦う時はちゃんと喋ること出来るの?」
「そんな事言ってる場合じゃありません、烈正様。先ずは動きが読まれないように各個撃破するかどうか考えなさい!」
 質問に答えくれよお--と戦いに集中し過ぎるメイリスに困った様子の烈正。
「まあ確かにメイリスの言う通りじゃ。銀河連合は俺達の動きを逐一見て頭の中で描いておるのう」
「では躯伝様、ここは各個撃破--」
「いや、ここは正面突破じゃ。読まれるのなら先に行かせて貰うのが少数精鋭に於ける常道じゃ!」
「ええ、こいつら相手に何で弱気に--」
 強がっていたら余計な死者が増えるだけだとわかるのじゃ--と有無も言わせない躯伝!
「ですぜおう。幾ら僕でも二十八体を相手にやると怪我がまた増えるぞう」
「だああが、どのように突破すうううんるのですかああい?」ポルナ助は疑問を口にする。「何しろ第三区画へと通じる道を獅子型が十一体も居るのですよおおう。これ難しいのではないでしょうかああい」
「その場合は……俺が行こう」躯伝は剛胆の舞・季で素早く一番前の獅子型の間合いに入ると……「このようにして」鞘から神武包丁を抜くと同時に剛胆の舞・美に切り替えて静か成る動きで最小限の回避と攻撃で頸動脈を断裂させる斬撃を繰り出すと……「最初は緩やかに、それから」一気に加速して真っ直ぐ五体全ての頸動脈を断裂させる程の激しさを見せる。「勢いを付けて道を作るのじゃあ!」
 余りの完成度に呆気にとられる烈正以外の三名。その為、烈正が……「何をしてるんだ。親父が作った道を意味なき物にしないでくれよ!」と言われるまで足が動かなかった程--幸い、周りの銀河連合も能力が使えない筈の躯伝が余りにも完成度の高い組み合わせた動きをする為に三名同様に動きを止めたお陰で突破を果たす事が出来た!

 午後零時十分二十七秒。
 場所は第三区画。
 第二区画の倍もある八十八体が五名を出迎える。
(流石に今回ばかりは俺一名だけでは難しいのう)
 躯伝が冷や汗を二つ分ほど垂れ流す程の数と質。質とは象型が十二体、犬型が三十五体、蛇型が四十一体も居るという円、線、螺旋の動きが可能な布陣。それだけに躯伝は経験則からそう考えた。
「さっきの躯伝様の動きいいいを真似る事は出来ないがああい、俺達は躯伝様一命に無理をさせに来たのではありませええん!」
「そうだぞう。僕達だってこれでも身体能力は人族よりも高いのだからぜおう!」
「そうです。躯伝様にばかり頼る暇があるのならどのように突破するのかを考えて下さい!」
「俺に考えることは無茶だぞ、メイリス。まあ俺だって……そうだなあ、やってやるぞおう!」
「気合は良いようじゃのう。では行くぞおおう!」
 五名は決死の覚悟で包囲網の突破を図り、二の分と十八の秒を以って一名も怪我をする事なく第四区画への侵入に成功する!
(じゃが、第五、第六、そして第七区画は予想以上の激戦じゃったな。その際にマモナビロが怪我をしてまで庇ってくれた。そのせいであいつと--)

 午後一時二分十八秒。
 場所は第八区画。
 待ち受けるのは約千体もの百獣型。そして目前に倒れるのはベア九斗。
「あれはベア九斗!」
「ウググゥ」躯伝に抱えられるように置き始めるベア九斗。既に出血が酷く、左前脚は最早動かない。「せ、正伝様達ハア?」
「心配ない。俺が、俺達が責任以って助けるぞ」
 そ、そうです、か、ぁ--それを聞いてベア九斗は目を閉じた……決してまだ死ぬ訳ではない!
「ベア九斗さんが、こんなにも!」
「大丈夫だ。いびきだ、いびきしてる時ってまだ大丈夫だって!」
「だがぜおう、ここは僕が引き受けるしかないぞう!」
「何いいん、マモナビロ……まさああああうか死ぬ気か!」
「いえぜおう、死にはしませんぞう。ここは僕に任せてぜおう、躯伝様達は如何か……正伝様達の救出をぜおう!」
「マモナビロ……約束した以上は絶対に、死ぬなよ!」
 ええぜおう--血だらけでありながらもその表情は菩薩像と呼ばれた物に等しい神々しさが籠められていた!
「では……お前達はこのマモリナスビロ・アダルネスが相手をするぞおおおう!」
 マモナビロはベア九斗を死守する為の戦いに臨む。一方でマモナビロに構っている間に躯伝達四名は第九区画を目指す。だが、百獣型の全てが素直にマモナビロに集中する訳ではない。その五十八体は真っ直ぐ四名に向かって突っ込む!
「やはりマモナビロだけでは無理があるか……ならばあああい!」左脇腹を突き刺されながらも上手く内臓を避けるように受けたポルナ助は三名を行かす為に残った。「申し訳ありまあああいせん。不肖ながらにこの真島ポルナ助は真島の心に従あああうい、残らせていただきマアアうす!」
「クウ……済まない、ポルナ助!」
「死んだら承知しないぞ、ポルナ助!」
「死なないで下さい、真島さん!」
 ああ、そう簡単に死なないようにするぜええウイ--そうしながらポルナ助は馬族秘伝の暴れ回りと呼ばれる動きで百獣型に隊を吹っ飛ばしながら四足歩行雄略包丁を振り回してゆく!
「全くお前までぜおう!」
「仕方なあああいだろう。、銀河連合は真っ当じゃなああいからさあ」
「じゃあ付き合おうかぞう、命尽きるまでぜおう!」
「命は……尽ううううくさんぞおおおおう!」
(済まない、二名共。俺達は必ず、果たしてやるぞおおう!)

 午後二時五分八秒。
 心臓型が居る区画。
 正伝は既にもう一本の腕を失い、今にも死にそうな状態だった。この中で生き残っていた第三部隊の隊長であるヤマビコノアリーゲルドスは何処か失った部分はないものの既に大量の血を流して限界を超えていた。それでも機敏に動いて正伝の前に両後ろ足だけで直立してまで止めるのには訳があった!
「退くのだ、アリーゲルダス。俺は、もう、助からん」
「退かないっがん。ここは、俺が、行くのですっぜん!」
「お前は限界こそ近くても……俺みたいな状態、じゃない。後少しなんだ。ここは俺が、俺が何とか--」
 やっと辿り着いたぞ……この腰砕け息子ガアアアア--躯伝、烈正、そしてメイリスら三名は血だらけの状態で正伝達二名の所まで辿り着いた!
「親父、か……御覧の通りだ」正伝は自分の指揮が近い事を示唆しながらも次のようにも言ってみせる。「でも後悔はしない……俺はこの道を、後悔は、しない!」
「逆だろうが、逆、だろうがああ!」躯伝は駆け込み、正伝を抱き締める。「如何して『後悔する』と言わないかああ!」
「俺は最後まであんたに反抗して見せる。そんな事言ったら……なあ!」躯伝の首に噛み付いてから一瞬の隙間から右足でお腹を蹴って飛ばした正伝。「はあっはあ、退いてくれ……なあ!」
「ウグ……正伝様っが!」
「あ、兄貴いい!」
「お前も来るなああ!」上手く左回し蹴りで烈正を突き飛ばした正伝。「はあはあ、俺の肉は消えても……魂までは消えない!」
「クソウ、ソリスや彼女のお腹の子供、それに正斗やソリア、そして」躯伝はこうも言った。「ソーラを悲しませるぞおおう!」
「そんな事は覚悟の上で俺はアアアア……なああ」それから正伝は心臓型に向かって助走を付けながら一気に飛んだ。「この道を選んだアアアア!」
 正伝の勢いで突き破られた心臓型--そして正伝の肉体は尚も耐え抜く心臓型の鋭い血液に依って原形も留めない程、滅裂にされた!
「ああああ、正伝様が!」
「兄貴……クソオオオウ!」
「……今から俺がお前のやりたい事を果たす!」
 躯伝は包丁を抜くと一気に疾風の舞・恵を以って心臓型に接近すると更に中心部に向かって縦一文字に斬り込む--その斬撃と共に拠点型内部で巨大な揺れと同時にこの場に居る全てのモノが光に包み込まれる!


(こうしてわしは十五森を支配する拠点型を討ち取った。まさか親より先に死ぬ子供が出て来るとはのう。全く世の中が好きじゃなくなる物じゃわい。少しは親が先に死ぬような世に成らないといけないじゃろうにのう!)

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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