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一兆年の夜 第八十八話 躯伝の空 躯伝、安らかに眠る(一)

 三月四十七日午前一時五分七秒。
 場所は旧都六影第一南地区。
 強行突破策は第一大隊と第三大隊が前面の銀河連合一個師団を相手に各個撃破を続ける中で話し合われる。そんな中で前線司令官シドウシンが異を唱える。
「あの数於御覧似成って下さい、躯伝様!」シドウシンが右手に持つ金棒を寝かせた状態で示す方角には一個師団の銀河連合が存在する。「しかもほぼ全て牙空中型出占められている状態出強行突破策端余り似模作戦成功率牙低い乃です!」
「じゃが、解放戦線の最高指導者である地同正伝を救うには余りこの数を減らす訳にはゆかない」
「そうじゃありません。この作戦出異於唱える本当乃理由似……躯伝様牙自ら出過ぎる事似ある乃です!」
 そうか……だが、このまま擦れ違っている訳にもゆかない--と梃子でも譲らない決意である躯伝。
「最高官出ある貴方様牙死ね芭ギガントル・ダッジャール乃理想端更似遠退く乃です代!」
「その時は正伝に意地でも継がせる。あいつはここで戦い続けた実績で十分なのだからな!」
「躯伝様、其れ出模--」
「止めておきましょう、前線司令官殿」とシドウシンの左肩に右手を乗せて諦観するよう呼び掛けるのは齢二十歳にして十日目に成る神武鬼族の青年であるカゲヤマノイタトシロウ。「やはり正伝様斗同じよう似意地出模強行突破中隊乃一員斗して前似出るよう妥那」
「若造が、お前も如何やら戦いが好きのようじゃのう」
「其れ端そうだろう。その為似俺様端正伝様乃誘い似乗った乃妥代……戦い乃申し子斗して生於受けるカゲヤマノ家乃一員斗して那亜!」
 全く本家本元端分断されよう斗模気性於改まる事端……永遠似ない那亜--と呆れるシドウシンだった。
「そうゆう訳で、シドウシン。お前にはここを任せる。俺達百名で正伝の救出に向かう!」
「わかりました……斗言いたい所です牙、躯伝様」
 ここでシドウシンは挫ける代わりに躯伝以外の九十九名を自ら選出する事にする。それは今闘う第一大隊と第三大隊、それから後を控える第二大隊と第四大隊以外から選出するという物。その選出にはシドウシンの右腕を務める齢三十六にして二の月と九日目に成るタゴラス駱駝族の中年林原コブ又兵衛の意見もふんだんに盛り込まれる。何故ならシドウシンが軍務大臣として仕事を果たす間は奪還軍の陣頭指揮は全てコブ又兵衛が行う。故にシドウシンよりも軍者を見る目がある。
 それから強行突破中隊は結成された。中隊全体を統括するのは躯伝。だが、二小隊を指揮するのはそれぞれの小隊長が務める。先ずは風穴を開ける小隊の指揮を執るのはカゲヤマノイタトシロウ。解放戦線第二小隊の小隊長を務め、更には正伝の左腕も務める実力者。この推薦はシドウシンとコブ又兵衛の全会一致で決まった。
 次に後方支援を担当する小隊の小隊長を務めるのは齢三十一にして一日目に成る雄略蜂族の中年にしてビーダ六世の甥に当たるビーダ七世。彼を推薦したのはコブ又兵衛。細かい視野と広い範囲での指揮を可能とする意思伝達能力を買われての事であった。
 尚、この中隊に入る者には齢二十九にして十四日目に成る藤原燕族の青年藤原カエ道彦や齢二十歳にして十二日目に成る武内人族の女性メイリスの他に躯伝の後を付いて来た齢十九にして七の月と十三日目に成る躯伝の第三子烈正も居る。烈正以外の二名に共通する所はやはり解放戦線の偵察部隊の隊長と第一部隊所属の傭兵である点だろう。解放戦線出身者である以上は何としても正伝の元に向かわないといけない。他にもそれだけじゃないと考えるのは躯伝。
(他にはイタトシロウも含めて部下の身を案じたり、部隊が如何成っているのかも心配だろう。たかが鮮明と言えどもされど大事な千名。思い出すなあ、南雄略で頼りを期待せずに戦い続けた日々を。ゴリン兄弟には借りがある。その借りを我が至らぬ息子の正伝に返さないといけない。あいつもきっと援軍を頼らずに自分達の力で逆らう境に抗うと俺は思うのじゃ。
 今こそ返す時じゃ!)

 四十八日午前五時二分一秒。
 場所は旧都六影。中央地区廃神武聖堂。天同優央の間にて。
 解放戦線の五名は取り囲まれた。千名居た兵力は日を追う毎に減少傾向にある。中心に立つのは解放戦線の総司令である齢二十四にして八の月と十五日目に成る地同正伝と名乗る左眼と右腕を失った青年。彼の家族は既に至る場所に避難させていて問題はない。問題なのは左手に持つ雄略包丁は既に刃毀れを起こしており、一回では銀河連合を倒す事が出来なくなる。
「正伝様、囲まれましたナア」正伝の右手側に立つのは齢二十二にして十一の月と三十日目に成るテレス熊族の青年にして解放戦線第一部隊の隊長を務める右腕の真鍋ベア九斗くと。「イタトシロウと別れたのが判断の誤りでアルゥと考えますナア」
「五月蠅いでスス、文句の多いベア九斗ヨヨ!」ベア九斗の隣に居るのは第一部隊の副隊長を務めており、齢二十四にして二十四日目に成る大陸藤原猪族の女性藤原イノ世。「全くあんたみたいなのが隊長務めるのが間違ってるヨヨ!」
「又イノ世カア。何時も何時も俺に何か言いやがっテエ--」
 待てっぜ、お前達は少し静かにしないっがん--そう宥めるのは躯伝の左手側にて四本足でしっかり立つ第三舞台の隊長を務める齢三十三にして二の月と八日目に成る応神鰐族の中年ヤマビコノアリーゲルドス。
「アリーゲルドスの言う通りッツ、二名共大人気ありませんッツ」相槌立てるのは第三部隊の副隊長を務める齢十九に成ったばかりのエピクロ鹿族の少年シカッド・ムーシ。「だからこんな目にッツ!」
「お前ら静かにしろ。俺がここで終わる訳がない。俺達新生国家神武が道半ばで果てる筈がない!」
「チッツ、近付いてきたッツ!」
「如何して援軍を呼ばなかったのですカア。そしたらこんな状況に成らずに済んダアノに!」
「誰が呼ぶかよ。読んだら……結局俺は親父に頼らなきゃ何も出来ないと証明してしまうだろうが!」
 正伝はまだ意地を張る。例え左眼、右腕を失おうとも最後まで父親とは違う道を貫こうと覚悟を決めていた。
「全く救われませんでっがん」
「まあッツ、其れが正伝様の貫きたい意地でしょうねッツ」
「ああ、こう成ればもう停められないんダナア」
「まあ意見が揃っタタ。其れじゃああの世まで一直線ですネネ!」
 あの世……勘を違えるなよ--正伝は諦めずに鼓舞する!
「いいかい、意地でも死ぬのではない。俺達は後悔する為にこの道を選択したのではない。後悔するなら初めからこの道何か捨てるのが筋という物!」正伝は誰よりも先に踏み出す。「一度決めたら最後まで筋を通せええええい!」
 正伝は足技も駆使した独自の舞と得意とする疾風の舞・弥に依る攻撃重視の戦法で刃毀れを起こそうとも刃が何回欠けようとも兎型、羊型、犬型、そして猫型の計四体を他四名が動き出す前に仕留める。
 だが、流石に隻腕から来る予想しやすい動きのせいか……逆に熊型に後ろ足で左足を引っ掻けられて前右足の爪に依る突き攻撃を繰り出される--
 とその時、隈型の右前足に深々と物部刃が刺さったと思ったら次の瞬間には隈型の首は天井に突き刺さる勢いで刎ね飛んでいた!
「な、俺達の中に望遠刀を扱う生命は居なかった……まさか!」
「いや、首於刎ね飛ばすだけ乃」正伝を庇うように鬼族の青年が金棒を振り回してその場に居た銀河連合を叩き飛ばした。「斬撃能力於備える生命端正伝様以外出居ません那!」
 正伝はその斬撃を繰り出した生命の髭を見て……「何しにここまで、来たのだよ!」良くない態度を吐く!
「助けられておいてその口振りはないだろう……正伝」
 十一の年ぶりの再会を果たした素直じゃない親子であった……
(これはまだ甘い最下位だった……これから待つ悲しみに比べたら、な!)

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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