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一兆年の夜 第十三話 天同生子 継承篇(三)

 四月六十一日午前六時零分十三秒。
 場所は首都四門中央地区神武聖堂儀式の間。
 天同生子は中央で座禅を組み、予報を始めた!
(彼方より出づるモノ達……それらを打ち倒せるのか?
 その為にはこれからの国家神武は吉と成るのか?
 それともこのまま国家神武を捨てる事は吉と成るのか?
 私にはもう時は無くなりつつある。もはや神々の意志を正確に汲み取る智慧も
無い。
 それでも私は最後の予報を! 神々の意志を聞かなくてはならない!)
 生子の両眼はかつての輝きに戻りつつあった!
 彼女は自らの運命をもう一度従い始めた!
(水の、大地の、山の、火の、風の、空の、重力の、そして宇宙に生きる一兆年にも
及ぶ神々よ! 何を想い、何を為し、そして何を視ますの?
 私達全生命体に神々の意志をお教え下さいませ! 私はその代わりとして命を
捧げます!
 なのでどうかどうかどうか……)
 彼女の言の葉は変化--彼女の命は決められた!
 生子の瞳に映る映像は黒と灰という色から、赤く青い色、やがては想像の海で
ある桃を越えた色に変化。そこから映し出されたのはおぞましく黒く、そして異形の
形をした顔が虹色の色を一瞬で食らうもの!
(!
 あの形はおぞましきモノ! ならば国家神武は--)
 一つしかない門から三本足をばたつかせる者が報告しに駆けつける!
「生子様だ! た、た、大変な事だになっただ!」
「予報は、終わったところだけど何かしら?」
「お外だへ出てみればわかりますだ!」
 アンジェルに言われるがままに生子は神武聖堂正門を出た。
 すると、生子はアンジェルが言おうとする前に空を見た!
「こ、これは!」
 生子が見たモノとは、空一面を埋め尽くすかのようにおぞましきモノ達が国家神武
に降下してゆく光景だ!


 午前六時十分二秒。
 場所は中央地区国家防衛官邸。その正門前。
 国防官ピート・プートはすでに全軍に臨戦態勢を敷く。
「いいーか! 空ーから降ーるのは得ー体の知れなーいモノー!
 我々ーは今ーは亡き真島ー殿の戦術ー書通りにー望遠ー刀によーる総攻ー撃を
開始すーる! 
 準備はーいいーか!」
「「「「「オオオオ!」」」」」
 国防官邸前に囲むように待機する本隊千余は望遠刀を構えた。空に向けていつ
でも物部刃を打てるようにキュプロ枝の引く力を強めた!
「いくら数ーが多ーくてーもここーへ落ちーるまでーに撃ーちおと--」
 風が強く抵抗していく音と共に空から来るモノは物部刃を放つ指令を与える間も
なく、建物ごと押し潰す!

 午前七時三分二秒。
 場所は中央地区中央官邸。三階生活安全官室。
 生活安全官エウミョウル・ムルリリウームは机の下に避難していた!
「この建物は神様を模っして建てられった物。この下にいればあ--」
 それは幻想だった--建物は石が軋む音と同時にたちまち天井は崩れ、中に
居るあらゆるものを深淵に落とす!


 午前八時一分四十二秒。
 場所は南アリスト町一番地区。
 住民達は逃げる! 空から降り注ぐおぞましきモノから!
「に、逃げろっと! にげぎゃああああ!」
「お、そさないで! じゅんばんににげ--」
「わあああああ! く、来るにゃあああ!」
「い、いあちよう。た、く、げ、ぇ・・・・・・」
 建物は泥のように脆く、住民は食べるように命を散らす。
「あ、あ、あああああ! こ、こ、これが、これが、これが、アアアアア!」
 町は火で包まれ、生命は逃げ場無き場所で逃げ惑い、やがては食事となり
果てる!


 午前零時十三分五十三秒。
 場所は東アリスト町第二地区二番地。
 燃えさかる町の中でうつ伏せに右翼をもぎ取られて倒れた天体観測家。
板垣ツル夫の命は消えかかっていた。
「さ、さい、しん、ぎ、の、を、ぶつ、て、ご、さい」
 ツル夫は最新型の望遠鏡でおぞましきモノを叩いた事を悔いた。
「や、と、わか、た。あ、れ、は」
 燃えさかる炎の中でツル夫は生命の影を見た。
「い、た、し、も、てん、そく、なず」
 もはや言葉になら無い状態であっても僅かな希望をその影に託そうとした!
「き、か? お、えるぞ。おち、はぎ、ん、が……」
 最後の言葉は彼の大好きな銀河にちなんだ名称だった!

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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