FC2ブログ

一兆年の夜 第八十七話 躯伝の空 躯伝、最高官に就任する(三)

 ICイマジナリーセンチュリー二百三十年十月八十七日午後二時五十六分五十五秒。

 話の途中で躯伝は喉を詰まらせて係りの者三名係で急遽検査される事に。結果は治らない部分以外の合併症の存在は確認されなかった。
「いや、もっと深刻に成らないといけないだろ!」
「怒るな、バレイバー。わしだって恐がるときは恐がる。じゃが、わしがもっと恐いのは全てを語る事なく死ぬ事じゃ。あの時のミリットみたいに才能が溢れるのに!」
「亜、急ぎ過ぎない出下さい。話端ゆっくり、それ科羅徐々似速度於上げる具合出お願いします」
「わかった。先にやるのは……この年に成ろうとも病院の寝床は落ち着かんのう」
「まるで前にも担ぎ出された事がある言い方だな。しかもその言い方……随分前のような気がする」
「全くこれだからバルケミンから派生しようともお前さん達の家系は口煩いのじゃ!」
 いけないか、躯伝様--バレイバーは少し意固地に成る。
「まあまあ、バレイバー。躯伝様模抑え切れるよう那年出端ない乃代!」
「それは感心できない一言じゃの。全くどいつもこいつも老いたる者を大切にしないから困るのう」
「そりゃあそうだろう。若造達から見れば如何して年寄りの為に働かなくてはいけないのだって叫びたくなる位だ。自分達が時代を作る筈なのに気付けばまだ死なない老いぼれに支えられた状態で老いぼれの時代がまだ続くような事と成る。そう成ると誰だって時代を変えようって気概を持たなくなるしな」
「暗い話はやめい、バレイバー。暗い話は先程紹介したような例えと同じように明るい話との均衡を保たないと生命の活力を削ぎ込んでしまう。行き過ぎた暗い話は--」
 話於挟んで宜しくないようです牙、そろそろお願いします--ガンジャーは促す。
「そうじゃったな。では始めよう。えっと続きはやはりメランが死んでからわしは--」


 ICイマジナリーセンチュリー二百二十一年一月二十三日午前十時四十八分二十六秒。

 場所は新天神武エピクロス島エピクロ県第二西地区エピクロ港。
 躯伝とミリットは船を降りて直ぐに空気を吸う。これは遠過ぎる過去に限らずあらゆる世界に於いて船から降りた生命が良くする行為。何故そうするのか? 船酔いを覚ます為? 新天地の空気を味わう為? それとも? 何れにしても納得のゆく答えは見付からず。
 そんな二名を迎えるのは齢二十二にして三の月と二十八日目に成るルケラオス象族の青年。彼を良く知る躯伝は挨拶した後に早速ミリットに紹介する。
「紹介しよう。彼は端山パオ乃……ルケラオス県にてとある分野で研究を続ける研究員だ」
「初めましてぜおう、カンガルー族の者ぞう。僕はルケラオス象族で議員過少論を研究する端山パオ乃と申しますぞう」
「俺は最強ノカンガルーヲ目指スミリット・レヴェーロッテ言うんだ。意外だねえ、俺ト殆ド年モ変ワラナイ研究員ッテのは!」
「ぜおう、まあ凄い時は五の年から一分野で大人達を困らせる子供も居るからぜおう。年齢が高い程権威がある訳じゃないぞう」
「だよな、共ニ」ミリットは右前足を握り締めてパオ乃の図太い左前脚に突き出す。「上ヲ目指そうぜ!」
 良いですねぜおう、其れはぞう--応じるパオ乃。
 それからミリットとパオ乃はルケラオス県を訪れる頃には既に背中を預けるほど深い中に成った……但し、ミリットは種族上背中を預けられないが!
「当り前ダロウ。幾ら上ヲ目指スカラッテ肉体的ニ如何シヨウモナイ物ハ諦めるっての!」
「カンガルーは力比べに勝つ事は出来ない……これは何とも悲しいぞう」
 まあ頭脳面で活躍する象族の者は少ないのは事実だしな--当然、軍は象族や熊族と言った肉弾戦を得意とする種族を欲し、肉体的な理由から軍者に成る生命の割合が多いのも彼らであるのは躯伝じゃなくとも自然と思い至る。

 午後九時二分十一秒。
 場所はルケラオス県中央地区ルケラオス会館。
 未だ閉鎖されない館にて一階の第一準備室にて躯伝とミリットはパオ乃から手渡されたある資料に目を通す。躯伝はここに来て二の時もそれに向かって格闘。学問に詳しくないミリットは周囲を警戒しながら何度か除くも、それを理解する頭脳は持ち合わせていない。一方のパオ乃は古い物から新しい物まで取り出して見返してゆく。
 さて、先に紹介するのは躯伝の思考からだ。次のように展開される。
(やはりな。銀の光と歪み、それから流れ星は密接に関係する。だが、過去から現在、現在から未来、それから未来から過去に必ず流れる真理からして銀の光が直接過去に飛ぶ筈がない。これはとある蘇我フク兵衛が地学を研究してゆく上で唱えた説だからな。それに依るともしも現在から過去に飛ぶような事があれば……あらゆる物体に巻き戻しが始まる。その巻き戻しは本来赤子から老化に至るまでの時間の流れに逆らい、廊下から赤子へと流れてゆく。
 まあその辺についてはどっかで調べて来いって話だな。もう俺は執着出来るほど若くないからな。まあそうゆう訳で現在から過去に飛ぶなんて可能じゃない。じゃあ何故学会ではあの光の飛ぶ先が現在から過去に飛来するのか? 実はあるのだよな……並行世界論がな。確かメヒイスタが唱えた物で何でも並行世界に移動してから飛ばせば問題なく現在から過去に移動出来るそうだ。成程……だが、わからん。
 何れにしても現時点で密接に関係するのがわかる)
 少し休息するつもりで躯伝はミリットと共に棚から取り出して中身を確認するパオ乃を尋ねる。
「ああぞう、終わったのかぜおう?」
「そうだな。とても参考に成った」
「それは良かったぜおう」
「ところで何デワザワザ取リ出シテ床ニ広げてるのだ?」
「そろそろここは……取り壊されるぞう」そう、その為にパオ乃は取り出して……「だから最後に見回しておったぞう」懐かしんだ。「少しでも記憶に留めたい為にぞう!」
「だよな……あの看板ヲ見テズット聞キタカッタノダケド、そこまでパオ乃も追い詰めていたのか!」
「そりゃあそうだぞう。ずっとカモミチ先生の遺志を継いでギガントル先輩とは別の側面から進出して来たぜおう。でもぞう、三の月より前にお父さんが亡くなってからはもう……僕はここに留まって仕事するのもこれが最後だと考えるように成ったぞう。昔だったらここで少しでも取り壊しを引き延ばそうかって思ったんだがぞう」
「そうか、お前も辛かったのだな。親友の為に謎の解明に乗り出し、骨を持ち帰る事が出来たのは良いが……それ以上の目的を見出せないとはな」
「それ如何ゆう話だ、あんた?」
 それは……な--それは躯伝だけではなく、ミリットも絶句する状況と化した!
 パオ乃は突然縦一文字に裂け、中から蛇型銀河連合が飛び出した!
「あいつガアア、ココハ!」ミリットは巧い具合に蛇型の頭部に左正脚突きを決めて、倒した。「俺ガアアアア!」
 仇は取った……が、それは銀河連合に依る布石の一つだった--何とミリットの左前脚の傷口に入り、彼を苦しめ始めた!
(それは俺にとって苦渋の決断にも繋がる。このまま連れてゆくのか、それとも己の命を使って楽にさせるか……だが、あいつは--)

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2カウンター
リアルタイムカウンター
現在の閲覧者数:
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
Powered By FC2ブログ

今すぐブログを作ろう!

Powered By FC2ブログ

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR