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一兆年の夜 第十三話 天同生子 継承篇(二)

 四月五十七日午後十一時二分四十秒。
 場所は国家神武東アリスト町第二地区二番地。その中で二番目に小さな民家。
 齢三十一にして一の月と二十六日目になるアリスト鶴族の中年板垣ツル夫は
最新型の望遠鏡を使い、今日もまた星々を観察する。
「何といえようか? 星々や銀河よりも正体不明の何かが気になりましょう!
 といわれるよりも、もうすぐここに来られるかもしれない?」
 ツル夫は日に日に近付いてくる銀河に恐怖を抱いていた。真っ白な体毛を逆立て
ながらも。
「こ、これは早く政府に報せなければ大変な事になりましょう!
 足遅れになられようものなら国民の恥でよろしいかと! は、早足でよろしい!」
 ツル夫は両翼を風に乗せて、中央官邸の方に真っ直ぐ飛んでゆく!

 四月五十八日午前一時二分二秒。
 場所は首都四門中央地区中央官邸国家最高官執務室。
 急いで駆けつけたツル夫に国家最高官天同読四は質問した。
「そ、空から銀河が降りてこられます!」
「は? 何を言ってるのだ、板垣殿?」
「でありましょうか空からもうすぐ銀河が降りてきます!」
 読四はツル夫に言いたい事が何なのかわからなかった。
「銀河が降るなら水の惑星は潰れてるだろ? 確かに大変な事だな」
「そ、そうゆう意味で申されておりませぬ!
 僕は正体不明の銀河が観測しうるごとに水の惑星に近付かれまして気味の良か
らぬ物と感じまして観測より八の年が過ぎさりました。
 そ、そうしましたら!」
「そしたら、どうなんだ?」
 ツル夫は読み四に向かって大声で結論を言う!
「あれは四か五の日に国家神武の中心に降り注がれるでありましょう!」
 それでも読四はツル夫に言いたい事は理解出来なかった。
「成程。では被害を最小限にするためにも我々は浄化し終えたばかりの
マンドロス村に退避してみようか。いや、むしろ明日は私自らマンドロス村に一の週
は滞在する予定だからな」
「あ、あのー?」
「何か言いたいそうだが、心配は無用だ。国家神武は不滅だ!
 何せ姉上がいるのだからな。私は自らの命を懸けるつもりでいる。
 土に還った弟零のように!」
「は、はあ。で、でもいつ落ちてこられるモノに襲いこられるか--」
「だからこそ私自ら命を懸けるのだよ! さっき言っただろ?
 もうこの話は止めだ! 明日、いや今日は眠れ! 私はこれから眠りに就かなけ
ればならない! 今日は早いんだからな!」
「で、でも--」
「もういい! 早く帰れ、板垣ツル夫殿!」
 読四はツル夫を帰らせた!
 帰り道の上空、ツル夫は空を眺めた。
「生子様であられるなら僕の言おうとされる事を理解出来ましょうに」
 そう呟いて自宅に帰って行く。

 午前九時五十分二十三秒。
 場所は東テレス町三番地区第三東門。
 出発の時が迫っていた。浄化されたマンドロス村に移住する者達は天同読四、
ライッダ・来栖、ユーミ・ライダル、リムーバ・キングレイ、そして天同壱生を含む
二千名だ。皆は残った者達に言葉を交わしてゆく。勿論、齢三にして十の月と十四
日目になる壱生も養母との出発の言葉を交わす。
「やっぱ、ははうえのところにのこりとうございます!」
「出来ないわ。あなたはその村でユーミやリムーバと行くのよ。二名は命を込めて、
あなたを守るわ」
「でもははうえでないとよくないよ。ははうえでないと!」
「我儘を言うものじゃないわ、壱生」
「どうしてははうえはいかないの?」
 壱生は首を左にかしげて生子に質問をぶつけた。
「実はこれから母上は空から降ってくるモノ達を倒しに行くのよ。そしたら、壱生の所
に迎えに行くわ。約束よ!」
 生子は意味深な言葉を壱生に送る。本来ならこの意味を齢三の子供はわからな
い。大人が吐く真実味のない言葉だと思って聞き流すもの。
 しかし、壱生は他の子供とは異なる存在であった。
「まさか、ははうえは……そんなのはほんとうだよね?」
(やはりこの子は仙者だわ! この子を育てた私はわかる。
 産まれた時から凡庸でない呼吸の仕方をしていたけど、それは大きくなれば凡庸
になるはずだと思って育てたけど、三の年になってもこの呼吸法は続く。
 それに拍車を掛けるようにこの間の鋭さ……間違いなく仙者よ!
 やはり私達は秘境神武を終わらしても神武人族の長だけは終わらないわね!)
 生子は壱生の底知れぬモノを感じ、微笑みを見せた。
「どうしたの? うれしいことなの?」
「いえ、壱生が御利口だったので母上は大層喜んだのよ!」
「そう、ぼくとってもうれしい!」
 壱生は両手を天高く上げて喜んだ!
「そろそろ十の時だわ。壱生! 出発前にこんな事を言うべきかどうか迷いを生じる
事だけど。実は私は--」
 生子は真実を話そうとしていた!
 しかし--
「ぼく、はじめからわかってるよ! でもそれでもははうえはぼくのははうえだよ!」
 壱生は齢三の子供とは思えない事を生子に告げた!
「そう、そうしておくわ! 私は必ずあなたの元へ行くわ。
 改めて言うけど、約束よ!」
「やくそくははたされますように、ははうえ!」
 それが二名の血が繋がらない親子、最後の会話だった。
 そして壱生を含む二千名は第三東門より東へ成人体型五千離れたマンドロス村
へと足を踏み出してゆく!

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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