FC2ブログ

一兆年の夜 第八十七話 躯伝の空 躯伝、最高官に就任する(序)

 ICイマジナリーセンチュリー二百三十年十月八十六日午後十時二分四十一秒。

 躯伝は目覚める。そこはアリスティッポス大陸で唯一の病院。その二階五号室にて躯伝くでんは目覚める。
 そこで迎えるのはガンジャーとバレイバー。
「ここは……病院?」
「目覚めましたね。全くあのままだったら死んでいましたよ」
「良かった環。このまま出端躯伝様牙死ぬ所出した環」
「そうなのか。そこまでわしの命は」と言いつつも躯伝は諦観な事も口にする。「まあ真実を隠したまま死ぬのも又……一興じゃ」
「余りそうゆう事を口にするな。命を弄ぶ銀河連合と変わらなくなる」
「そうです環。躯伝様似端まだまだ生きて貰わない斗いけません科羅」
 その理由を尋ねたい--と躯伝は上体を起こし、二名を睨む。
「この年に成ろうともその瞳は本物だねえ」
「流石端新天神武最後乃最高官似成るだけあります環袮」
 新天神武最後の最高官かあ、確かに--と躯伝は徐々に最高官に成るまでの事を思い出してゆく。
 だが、その前に己が生きていて欲しいと思う理由を尋ねる事も忘れない。
「あ、そうだったな。そりゃあ生きていて欲しいと願う事に理由なんてあるか……という理由だ!」
「そうです環。計算似縛るよう出端銀河連合斗大して変わらなく成ります環!」
 それが聞けて嬉しい--と二名の理由を聞き、涙を流す躯伝。
 そして始まるは躯伝が最高官の座に上り詰める為の話。それは第一子正伝せいでんの家出から秘書で自らの三十の年を掛けた理想の実現を願っていたギガントルの師から躯伝の中で大きく変化したその年。
(そうだな、わしが……いや俺がギガントルの思いを意味無き物にしない為に党本部を訪れた時だったな。確か--)


 ICイマジナリーセンチュリー二百二十年十月八十四日午前九時十五分二十一秒。

 場所は新天神武首都ボルティーニ第三南東地区。其処には剛力党本部がある。
 二階建てだが、面積は大きく、高さは最小でも成人体型四もある部屋がある程の大きな建物。その中で二階にある党首室にて齢三十三にして七の月と十七日目に成る天同躯伝は齢三十七にして五の月と十八日目に成るルケラオス熊族にして党首を務めるクレッセラント・グリーズと話し合う。
「何イ、つまり最高官にイ成りたいダトォ?」
「ああ、俺は一刻も早くその位に就いて再び国家神武を引っ張ると決意した。その為にわざわざ予定を入れてクレッセラントの所まで来たのだ」
「ツイニ決断しましタカ」齢三十九にして六の月と二十八日目に成る仁徳雁族の老年にして副党首を務める臥間ふすまガン造はその決断を歓迎する。「マッテましたよ、躯伝サマ」
「やっトオですか、遅過ぎる程じゃな……とはイエィ、今からは有権者が混乱スルゥ。先ずハア躯伝様を筆頭幹事長に指名スルウ」
「筆頭? 何ですか、それは?」
「まああれジャア。幹事長とは党を纏める官職ジャア。その下ニィ経験の浅い党員が副幹事長として手助け又は勉強する物ジャア。ダガァ、幹事長の役割は其処じゃナアイ。幹事長はやがて次期党首の看板として躍り出ルゥ。何シロォ、党を纏める事は即ち何れは引っ張る為にあるのジャア」
「ですね。その為に副幹事長は経験を積んで次期幹事長として能力を形成してゆく……がその筆頭とは何だ?」
「まあ躯伝様が副党首の椅子に座れない代わりとしてわしが用意した物ジャア。マアこれは躯伝様が政治の舞台に立つ前からムカムヒさんが極秘で用意した席なのジャア」
 墓まで持って行ったのか、あの百足の爺さんは--とムカムヒの見えない気遣いに呆れる躯伝。
「だが、実務は幹事長がやるのだろう?」
「そうじゃナア、実質はお飾りも同然の官職ジャア。副幹事長と殆ど変わりはしない……じゃがナア」そこで椅子から立ち上がり、身長成人体型二にも上る巨体を堂々と見せ付けながらクレッセラントは熱を帯びる。「選挙運動では積極的に前に出るのジャア!」
「マア躯伝様は出るだけで国民から高い拍手喝さいが湧く方ジャ。カザリだけデナク、イッピョウモ意味無き物にしない為に尽力するその姿に多くの国民が躯伝様に感謝するのですカラネエ」
「そうだろう。票は投じた物の思いが籠められる。それに対抗馬に投じた者も同じだ。勝てなかった者達の為にも俺ら政治屋は期待に応えないと勝った意味がない。その為に俺は必死なのだよ」
「ダガア、そのせいで正伝様とあんな事に成ってしまいましたガア」
 あいつの話はもうよせ、何も戻らない--と躯伝は戻る事のない運命を受け入れるような口振りを見せる。
「デハア、引き受けてくれますネエ?」
 ああ、俺は最高官に成る--こうして躯伝は次期党首の印である筆頭幹事長に就任した。
(それから始まる国政選挙。筆頭幹事長と言う事もあり、剛力党の勢いは大きい。お蔭で鶴翼党と僅差で勝ち、クレッセラントは第八十六代最高官に就任し、更には俺が副最高官……いや、其れとは異なる筆頭官房官に就任するとはな。これも飾りだが、俺が最高官に成る道はこうして決まってゆく。
 だが、栄光ばかりではない。時には険しい道がある事も事実。クレッセラントの治世は色々と大変な事もあったな。それは--)

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2カウンター
リアルタイムカウンター
現在の閲覧者数:
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
Powered By FC2ブログ

今すぐブログを作ろう!

Powered By FC2ブログ

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR