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一兆年の夜 第八十六話 躯伝の空 躯伝、政治に参加する(七)

 ICイマジナリーセンチュリー二百十九年十月七十日午前五時十一分二十二秒。

 場所は新天神武首都ボルティーニ府中央地区。
 その中にある天同躯伝の豪邸。今も階層は変わらないが昔に比べて変わった点がある。それが昔は笹原家の豪邸だった。だが、ムカムヒの後を継いだ躯伝は豪邸まで自らの物にした。但し、ムカムヒの後を継いだムカンジは妻子と一緒に今も亡き父と同じく地下一階から地下二階に住む。故に変わったのは主の名前と豪邸の名称。
 そんな豪邸に近付く影が一つ……齢十九にして十一の月と十七日目に成るテネス鬼族の少年。彼に気付き、齢二十九にして七の月と三日目に成る躯伝の所まで走るのは齢二十八にして六の月と二十四日目に成るメランコリーナ。
 ふあああ、早朝から誰が俺を呼び出す--躯伝はこの日の二の時に帰り、一の時しか睡眠を摂っていない。
「如何模、俺端テネス鬼族乃ギガントル・ダッジャール斗申します」
「お早う、俺は知っての通り天同躯伝だ」と簡単な自己紹介した後にこう付け加える。「要件を手短にお願いする。今の俺は睡眠が少なくて頭が動かない状態なんだ」
「如何科俺於雇って下さい!」そう言った後に土下座してお願いする少年ギガントル。「俺端ある恩師乃遺志於継ぐ為似それ牙可能那貴方様乃下出技於学びたい乃です!」
 ふあああ……メラン、覚えたか--睡眠が十分じゃない故に躯伝はメランコリーナにお願いする。
 簡潔に纏められた内容を聞き、躯伝はこう返答した。
「良いだろう、えっと名前をもう一度……お願いする」
「はい、ギガントル・ダッジャール斗申します!」
「ちょうど一名だけでは何時までも変える時間が遅くなって一の週より前に正伝と喧嘩したばかりだ。なのでそれを少しでも減らす為にお前を雇おう!」
「また正直那理由です袮」
「給料の方は……何とか、してやる」そう言って躯伝は自分の部屋に戻る為に踵を返す。「では、それまで、お休み……だ」
 亜、お休み為さい--国会議員が予想以上に多忙だと思い始める十代後半のギガントル。
「あ、私は躯伝様ノ付き者ヲスルルギアスカンガルー族のメランコリーナ・レヴィルビーと申します」と簡単な自己紹介をした後にこう言う。「御免為サイネ、ギガントル。躯伝様は休ム事ヲ知ラナイノデ何時モアアシテ無理ヲ為さるのよ!」
 でしょう袮、何故呼び出されて直ぐ似出るよう那無茶於……時間於於け芭宜しい乃似--と呟きながら立ち上がるギガントル。
「少しでも票ヲ投ジタ生命ノ為ニ働きたいのよ、あの方は!」
「成程」
 こうして躯伝とギガントルは初めて出会った……


 ICイマジナリーセンチュリー二百三十年十月七十九日午後二時十八分五十一秒。

 躯伝とギガントルが初めて出会った日を語る時、ガンジャーは目を躍らせる。それを指摘するのはバレイバー。
「ガンジャーの婆さんにしてはそうゆう話には飛び付くのだな!」
「そりゃ亜そうでしょ。だって私乃命乃恩者那乃だから袮」
「正直、本来ならばこの日にも限らずに睡眠が足りない事もあって覚えていない物なのに……ギガントルとの出会いと後は」
「後は……それは一体何が良く覚えているのだい?」
「正伝が家を出る時じゃったな」
 とうとう語られる正伝の家出について。ガンジャーとバレイバーはそれには飛び付く。何故なら正伝は本来だったら躯伝の後を継ぐべき生命であった。
(正伝こそは前の話でバレルバーの指摘した正当な跡継ぎ以外で連続した男系が居ないという現状を打破する鍵を握る自慢の息子じゃったな。同時にわしにとって認めたくもないろくでなしな息子でもあったのじゃ。どれくらいわしがあいつのせいで苦労したのかはこれから話すぞ。そうじゃのう、あれは……俺がアリスティッポス大陸の帰り際に齢三十代を超えても尚も現役を続ける臥間ガン造からわざわざ連絡を寄越したな。何でも--)


 ICイマジナリーセンチュリー二百二十年四月七十二日午後十時十一分二十八秒。

 場所は新天神武アリスティッポス大陸南エウヘメロス地方へメロ港町西地区。通称へメロ港と呼ばれた西地区。
 そこで齢三十一にして七の月と三日目に成る躯伝は齢二十一にして十一の月と十七日目に成るギガントルと共に船に乗り込む。
(はあ、一の月も掛けてアリスティッポス大陸の現状を調査したが……中々に生命の住める大地としては余りに寒過ぎる。只、面白い話も聞いたな。ここで生息すると身長が伸びるそうだ。何でも寒暖の差に依ってそこで済み続ける生命の身長に大きな違いが出て来るって十五の年もここに住み続けて果てたあの有名な……ンン、やや南の方角より雁族と思しき生命が飛んで来るな!)
 躯伝様、あれ端多分……剛力党乃副党首出あられる臥間ガン造妥斗思われます--とギガントルは躯伝よりも良い視力で判別する。
 ギガントルの言った通り、齢三十七にして六の月と十四日目に成る仁徳雁族の老年臥間ガン造が飛んで来た!
「ゼハアゼハア、意外とここまでの長距離飛行は寒さもあって肺に堪えるワイ!」
「副党首……わざわざ秘書もなしに無茶をして!」
「フクトウシュだからこそわしは躯伝様の所まで駆け付けたのジャ」
「何故なのだ、ガン造? 俺への要件があるなら一応二番翼のお前の出る幕ではないだろ?」
「レンラクガカリのキュー軽はもう居ないし、その娘であるキューめいはまだ未熟ダ。ソコデわしが連絡しに来たのじゃ……たまたま近くに居た事もアッテナ」
「如何ゆう事だ? わざわざ俺に用がある事を……まさかソーラか正伝、烈希、烈正れっせい天豪てんごう天明てんめい豪伝ごうでん豪天ごうてんの身に何かあったのか!」
 ソノウチノ……正伝様ガ--それからガン造は次のように告げた。
(それは正伝が五十名の仲間と共に終焉を迎えた真古式神武内に侵入し、喰われた領地を取り戻そうとしていた。幾ら何でもそんな話は本当じゃないだろうと俺は思った。だが、あのろくでなしは本当にやりやがった。だから俺はギガントルにソーラ達の事を任せてメランとシドウシンと共に旧タイガーフェスティ府からの経由で廃六影府へと入り、救出部隊四千で正伝を始めとした馬か鹿かすらわからん連中五十名の所まで駆け込んだ……だが、時既に遅かった!)

 四月七十七日午前二時二十三分四十三秒。
 齢三十にして六の月と二十九日目に成るメランコリーナと齢二十九にして二の月と二十六日目に成る神武鬼族の青年ヤマビコノシドウシンは躯伝と共に並み居る銀河連合を蹴散らしてゆく。
「本体と大分離レマシタヨ、躯伝様!」
「獅子型於始め斗して大型出陸上戦似特化した連中ばかり妥。俺乃金棒牙曲がり始めました!」
「俺なんか既に刃毀れが激しくて一撃で倒せない程だ……そうじゃなくてまだ見つからないのかああ!」
 危ない、躯伝様--烏型の嘴に依る一撃から躯伝を守るべく、メランコリーナは左肩で流してからの右前足に依る正脚突きで首元を貫く!
「有難う、助かった!」
「ウググ、後デ身体検査ヲシナイとね」メランコリーナは何があっても躯伝の為に行動する。「私の為じゃないのよ……躯伝様の為にも私ハ足ヲ引ッ張ル訳にゆかないの!」
「全くメランコリーナ端昔科羅変わらない袮」
「そうゆうギガントルダッテ楽シムでしょう?」
 今端そうゆう事於言えない--と躯伝の気持ちを察して言葉を控えるギガントル。
「お前達……あれを見ろ!」
「あれヲ……アノ方ハ!」
 間違いない……正伝様妥--その為に躯伝はギガントル達に確認させたのである。
 正伝は確かに生きていた……だが、彼以外で生きる者は誰も見ない。何故なら--
「あ、親父……親父、俺は!」
「何も言うな」躯伝は正伝の元へ走って近付く。「俺がお前を助ける番だ!」

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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