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一兆年の夜 第八十六話 躯伝の空 躯伝、政治に参加する(五)

 ICイマジナリーセンチュリー二百三十年十月七十九日午前九時三分十一秒。

 躯伝とガンジャーの前に齢三十六にして三の月と二日目に成る仁徳人族の中年がやって来た。
「わざわざわしの所までこの時間に……その面、その髪の色、もしや隠し子が居たのか?」
「ばれちゃいましたか。その通り。自分はバレイバー・ボルティーニと申します。えっと仁徳人族で既にいつ死んでも構わない年齢に達して居ますしね」
 全く最近乃中年端碌出模ない言葉於安易似使いおって科羅似--とバレイバーの軽々しい態度に満足しない様子のガンジャー。
「仕方ないでしょ。バルケミンから脱け出したボルティーニ家の生命は旧ボルティーニを再現しようと色々と性格分析してから雌を選び、旧ボルティーニに近付けて来た。まああくまでボルティーニ家の家訓の一つであり、それが良くないと感じるならバルケミンに戻るのも--」
「長い環。もっと短く纏めなさい!」
 ハハハ、これも若さの一つじゃな--と躯伝は笑った。
「まあ要するにそうして新生ボルティーニ家は品種改良もして来た訳だ。其処は天同家の連続した男系を見習っての事だ」
「妥牙、銀河連合似近しい乃出端ない科?」
「一緒にしてはいけない。銀河連合は能力があれば近親同士の配合もする。とても自分達生命には出来ない事だ」
「兄と妹が結ばれる事や異種族同士の配合は生物学にとって良くない影響を与える……其方の父バレルバーから聞いた話じゃな」
「ああ、親戚間だと遺伝子的にもまだ遺伝子領域での適応は出来るが、兄弟姉妹同士だとほぼ同じ遺伝子である為に肉体に良くない影響が出やすい。神々の言い伝えの中にも近親同士の配合の危険性を記した物が--」
 だから話牙長い--長話に成りやすいバレイバーを注意するガンジャー。
(確かに話が長いな……父親同様に。さて、わしがムカムヒの選挙区を引き継いで剛力党から立候補した時の話をしよう。そうじゃなあ、あれはわしが二十六歳の時じゃった……当時の俺は天同と言う名前だけで当選は確実と皆は言ってた位だからな。俺自身も当時はそう思った……だが--)


 ICイマジナリーセンチュリー二百十八年十二月四十一日午後二時十八分十五秒。

 場所は新天神武首都ボルティーニ府第二北地区。
 齢二十六にして二の月と六日目に成る躯伝は剛力党の選挙戦略に乗っかり、敢えて一般候補者では当選するのが難しい北地区での立候補と成った。これには決まるまで躯伝は反対したが、剛力党党首である齢三十一にして六日目に成るルケラオス熊族にして第七十四代最高官クレッセルトの孫に当たるクレッセラント・グリーズは首を縦に振らない事で有名。その為、躯伝は自らの天同と言う肩書しか優位性がない状態で戦わされる。
(クレッセラントは全然わかってない。俺はこの選挙区では圧倒的に利がないんだよ。それはムカムヒの秘書をやっていた頃から知ってるのだよ。この区では高い支持を誇る鶴翼党のイタレバ・ボランロウディが居る事を。何を考えてるのだよ、クレッセラント……其れで最高官に成れると思って戦略を立てているのかよ!)
 選挙も突き詰めれば戦い方を学ぶ事に繋がる。躯伝は戦いしか出来ない生命ではない。応用して有利な場所で演説をし、より多くの指示票を集める方法を熟知する。時にはどう転んでも勝てない所の把握や転がりやすいが票数の少ない場所は後回しにする事くらいは百も承知である。戦い方を知った上でどれだけ生命を惹き付けるかを学ぶ。言葉も良いが、時には気遣いをしっかりする。握手会や聞こえの良い言葉を並べるのはやはり選挙戦略が整って初めて余裕を持てるのである。そうゆう意味で躯伝は今回の戦いは苦戦すると判断。
(票を投じない生命も中には居る。彼らの場合は政治に期待した所で銀河連合には最後は喰われると思って明日に希望を持てない者達だ。たまに居るのだよな……だからこそ俺は彼らの所にも回りたい。けれども今は水の曜日。日の曜日は投票日だ。期日前をやる地区もあるが、基本は日の曜日に決選投票だ。それは四の日より後に行われる。それまでに彼らの所に訪れる事が出来るのか?
 意外と北地区の全てを回るのは時間が掛かる事だよな!)
 第二北地区での遊説が終わった頃合を図り、齢二十七にして八の月と二十六日目に成る仁徳人族の青年が尋ねた。
「やあ、躯伝様」
「お前ハ、バレルバー・ボルティーニ!」齢二十五にして一の月と二十五日目に成るルギアスカンガルー族の女性メランコリーナは前に出る。「次の場所ニ向カワナイトイケナイノヨ、下がりなさい!」
「おお、ちょうど良い所に来た。付き合えよ、バレルバー」
 忝い--と深々と頭を下げて同行を許可されたバレルバー。
(別に選挙戦の為にバレルバーの知識が必要なのではない。少し面白い話が聞けると思って動向を許可しただけさ。バレルバーの事だから何か知ってそうな気がするのだよな)
 躯伝は第三北地区で三の時も遊説をする。台本を作成したのは齢二十五にして六の月に成ったばかりのボルティーニ鳩族の青年春加山ポ太助。そして抑揚の付け方を教えたのは齢二十四にして八の月と六日目に成るボルティーニ栗鼠族の青年リリンジ・リッサールだった。二名は和歌の才能が乏しい躯伝の為に如何すれば国民が惹き付けられるかを研究し尽くし、それを伝授させた。お蔭で演説の終わり頃には埋め尽くさんばかりの生命が溢れ、拍手喝采を浴びる事に!
 その後、夕食の為に泊まった高級食事店にて躯伝はバレルバーと重要な話を始める。

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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