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一兆年の夜 第八十六話 躯伝の空 躯伝、政治に参加する(二)

 一月七十八日午後六時七分十三秒。
 場所は中央地区旧神武聖堂跡。老朽化が進み、今ではここで暮らそうと考える生命はほぼ一名も居ない。
 そんな場所に駆伝は前最高官の特権にて踏み入る事を許可された。彼は自分の意志で来たのではない。呼び出しを受けてここへ踏み入れた。
(俺が天同だと気付くとあいつらは一斉に遠慮をして来た。未だに新天神武も天同家には畏敬の念を残す物か……遺伝子の領域まで遠慮し過ぎだと俺は思うな)
 畏敬の念も百の年までならまだ如何にか成る。それが千の年まで経つと生命の遺伝子にまで畏敬の念が残る。既にこの世代に成るとその傾向が強く残り、徐々に浸透しつつある。
 さて、駆伝を呼び出したのは他でもなくカラッ佐。彼は駆伝を自らの後継者にしたくて仕方ない。彼は旧天同七の間にて掃除をする。
「やっやあやはり来てくれたね」
「あんたも家族が居るだろう。嫁さんや子供達への連絡はしないのか?」
「そっその必要はない。おっ俺は議員として家族への奉公は完了しておる。だっだから今はこうして神様の掃除をくまなくやって駆伝様を待っておられたのだ!」
「今の俺はもうあの頃の天同じゃない」
「けっけれども新天神武で暮らす生命や真古式神武からここへ逃げ延びて来た生命はあんたが起ちあがる事をずっと待ち望んでおられる。おっ俺は恩師リリーゼさんから引継ぎを任された際にだ。いっ今は亡き優央様が貴方様がこの国の最高官に成る事を待ち望んで借款の約束に駆伝様を政治の舞台に立たせるお約束を取り付け為さった」
 又、その話か……遺伝子の領域まで最高官を務める生命はお節介者ばかりだよ--と溜息を吐く躯伝。
「なっなので遅かれ早かれ駆伝様は新天神武の頂点に立って貰うのです。なっ七様はその日が来る事を信じて新天神武を建国為さったのです!」
「最初の最高官七の話か。それも何回目だ? 俺は和歌で忙しいのだからもう付き纏うな!」
 じゃっじゃあ肝心の和歌を披露して下さるかな--と態度が宜しくないカラッ佐は駆伝の和歌の出来を確かめる。
 駆伝が披露した和歌は全部で七つ。どれも季節を謳う物。季語が入ると聞き手の脳裏に情景が映し出され、眺めを楽しむかのように錯視する。
 だが、一つとしてカラッ佐は感動しない。寧ろそれを諦めて貰うかのような反応をしてしまう程であった。
「え、つまりこれを選挙活動中に披露したら有権者の脳裏に安らぎを与えるって?」
「えっええ、そっそうですな。くっ駆伝様は今直ぐ学校をお辞めに成って俺の秘書に就任する事を勧めます」
「流石の馬か鹿かわからん奴でもわかるぞ。折角才能があるのだったら止めるのは勿体ないだろう!」
「そっそこまで維持を通すのですか、くっ躯伝様。そっそれはここに優央様が居たらなんとお嘆きかと思われますぞ!」
 また親父の話か……俺はそうゆう事好きじゃないのだけど--どれだけ異なろうとも自分は優央の息子と言う物が纏わりつく……それには駆伝も如何する事も出来ない。
「にっ逃げるのですか? そっそれも躯伝様の人生ですね。とっ特に俺みたいな生命が言える事じゃありません。でっでもね、くっ躯伝様。やっ優央様は……いえ、てっ天同の血は真古式神武が終焉を迎えるくらいで容易く絶えるモノですか? どっ如何ですか!」
「だろうな。親父がこの場に居たら俺を引っ叩くだろう。全くそうだよな。ここに七が居たら『そんな腑抜けを産む為に三国分領を決めたのではない!』と怒鳴り声を上げるだろう。だな……其れに逃げた所で俺は俺の宿命に逆らえない」
「でっでは--」
「勘を違えるな、カラッ佐。俺はまだ二十歳じゃない。暫くは生活費を稼ぐ名目でお前の所で小銭にありつくだけだ。二十歳だ……それまでに少しは意地を張りたい。な、良いだろう?」
「わっわかりました。でっでは末永くお待ちしますぞ!」
 こうして二十歳に成るまで駆伝は歌者養成学校で勉強する事と二十歳に成ったらカラッ佐の正式な秘書に成る事を約束した。
(本当はあいつの秘書に成るなんて御免だと思ったな。ところが、だ。この日より一の月より後にカラッ佐が死んでしまった。それでカラッ佐の後を継いだのが第一秘書だったエピクロ百足族のムカムヒ・笹原だったな。だが、あいつは百足族故に色々と便が良くない為に俺みたいな人族の支えが必要と成った。しかもカラッ佐の秘書がムカムヒしか居なかったのも俺を秘書にさせる口実に成ってしまった。しかも約束事を守る為もあってか、已む無く養成学校を辞めるしかなかった。ムカムヒを支える名目でな。
 それにはソーラは反対したな。何の為に学費を捻出したの……とな。そんな事、言われても約束は約束だから仕方がない。それに正伝をあやす時間が益々無くなる。それにはソーラだけじゃなく、何故かメランまで困るみたいだ。どうしてか……実はソーラと共同で正伝の養育をしているそうだ。乳母を担当するとは中々だな、メランも。まあ、普段は俺の付き者として活動するけど……最近はシドウシンと一緒に行動したり、何か一緒に辞めたリリンジとポ太助と行動する事が多くなった。全く俺の周りに如何して生命が依り憑くのか……わからないね、そうゆうのは!)


 ICイマジナリーセンチュリー二百三十年十月七十八日午後六時零分七秒。

 何故、駆伝の周りに生命が寄るのか? それに答えるのはガンジャー。
「それ端駆伝様端青き瞳乃他似『この方なら出来る』斗思わせる魅力牙遺伝子乃領域摩出詰まっている科羅出あります」
 そうなのかい、わしには良くわからない感覚だわい--と駆伝は自信を持って断言出来ない。
「わかります代、躯伝様」
「何がじゃ?」
「他者似言われて素直似認める乃端何斗なく過剰那自信妥斗思う物です乃出」
 だよな--と納得する躯伝とそれを言ったガンジャー。
(歌者養成学校でカラッ佐との出会いがわしを政治の舞台へと入らせた。世の中、何があるかわからない物じゃな。一度は背けた道を気が付けば進むのじゃから。恐らくは一兆年の神々が引き合わせたのじゃろうか……わからんな。
 さて……ムカムヒを支える為に正式に秘書に成った俺はそこでも他の生命にはない待遇をされて来たな。それは--)

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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