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一兆年の夜 第八十六話 躯伝の空 躯伝、政治に参加する(一)

 ICイマジナリーセンチュリー二百三十年十月七十八日午後零時五十一分二十二秒。

 食後の休憩を取り終えた躯伝とガンジャーは各地に伝わる民謡を少し話し合う。
「--特に音頭は元々集落だった町や村、それに市の歴史を伝えるのに最適な形で民衆から広く支持されるのじゃ。音に伝えて子供達にも広める様は中々に有難い」
「ええ、です乃出駆伝様」そこから本題へと戻すガンジャー。「歌於詠まれた貴方様牙何故政治似参加する事辺斗繋がった乃科……そろそろ話して貰えます科?」
「ああ、そうだな。そろそろキリが良い所だしな」
 駆伝は話を再開する。
(あれは……俺が首都ボルティーニの第二北西地区にある歌者養成学校の受験に何とか合格し、本格的な指導を受けた時だったな--)


 ICイマジナリーセンチュリー二百十七年一月七十一日午前九時十分五秒。

 場所は新天神武首都ボルティーニ府第二北西地区。
 その中で五番目に大きな三角錐の建物。その二階八番教室にて駆伝は教材三つと帳面三つを入れた藁仕込みの手提げ袋を左肩に吊るして入る。
「お、これはこれは凄いのがやって来たぞ」一番後ろにして駆伝の直ぐ近くの席に座る齢十七にして二の月と八日目に成るボルティーニ栗鼠族の少年が隣の席に座る齢十八にして二日目に成るボルティーニ鳩族の少年に話す。「おい、春加山っちさ。噂の天同さんが来たぜ」
「おい、恐れ多いぞ……リッサールー君。この方は真古式神武の天同優央様の御子息であらせられるーぞ!」
「気にするな、ポ太助。俺はもう只の天同だ」
「いやいや、お前がそう言っても他の連中は何時までも七光り呼ばわりだぞ。それ……如何して捨てようんとするん?」
「真古式神武が終焉を迎えた時点で天同は終わった」
「だが……おっと講師が来たぜ、俺の前の席に座れよ!」
 唯一ため口で話し掛けるリリンジ・リッサールに促されるように駆伝は彼の前の席に座る。席順については必要がなければ好きな所に座る事が可能。
 さて、講師は齢二十一にして七の月と二十五日目に成るボルティーニ栗鼠族の女性が教壇に立つ。
「お早うん御座いますん」栗鼠訛りの挨拶に対して生徒全員はそれぞれの訛りを残した挨拶で返す。「……良い返事ですんね」
 それから講義は始まる。時間は一分から始まり、計四十四分。一つの講義に最大で四十五分も続く。因みに彼女の名前はリリーエ・リッサール……リリンジの遠い親戚。だが、リッサール姉妹に対してはリリンジは「姉貴」と呼び慕う仲。そんなリリンジは特にリリーエには思いを寄せており、何れ卒業したら婚約石を与えようと考える程。
 序に講義の内容は『音楽の歴史』について。歌者養成学校では必須科目の一つ。歴史を知らなければ歌の本質に押し迫る事は難しい。
「あ、鐘が鳴りましたね。それじゃあ今日の講義はここまで。それじゃあ明日も宜しくん。では起立……礼!」
 授業が終わり、休み時間の時に後ろの席に座るリリンジは喜びの表情に満ち足りる。
「やっぱリリーエ姉貴は良いなあ。もふもふったい」
「同じ苗字なのに?」
「あれでも先祖は同じだけど遠い親戚同士の関係だーよ、躯伝ー様」
「まあ親戚同士なら天同家も何回か結婚しているのは確かだがな」
「あ、こうしちゃいられない!」駆伝の右手を引っ張るリリンジ。「お前も姉貴の所に向かおうんぜ!」
「ク、メデリエーコフだけじゃないのか……怪力栗鼠の家系というのは!」
「災難ですーね、躯伝様にとってーは」そう言いながらもリリンジとは親友の間柄であるポ太助は翼を広げ、後を追う。「来いは周りが見えなく成るとは言いますしーね」
 それから一の分もしない内にリリンジはリリーエの付近まで接近。そこで最寄りの教室に潜り、様子を窺い始める。何故、そのような行動を採ったのか? それはリリーエが誰かと話す為。
「--いえ、どうであれ最高官を死なせようんとしました。私にはもう公的機関で勤務するん資格なんてありません!」
「じゃっじゃあ俺の地盤を継いで剛力党への出馬をすれば良いじゃないか!」話し相手とは齢三十五にして六の月と十一日目に成るエピクロ烏族の中年。「だっだからさあ、たっ頼むぞう!」
「それは更にお断りしますん。父のような議員はとても荷が重過ぎるん話でありますん。それとも今の御自分では無理だと思ってるんのですんか、烏丸さん?」
「うっウググ!」
 その話の一部を聞いて思わず飛び出すのは……駆伝の右手を掴むリリンジだった!
「小耳に挟んだぞ。この烏め。リリーエ姉貴に何を変な事頼むんのだよ!」烏丸カラッ佐の胸座を掴むリリンジ。「リリーエ姉貴はなあ、今は生命に教えるんのが大好きでこれやってるんだよ。そんなに自分の名声では議員続けられないと思ってるんのか!」
「まっ全く政治のイロハも知らずに歌ばっかり学ぶ子供が偉そうに。おっ俺は剛力党の為にも……理念を通す為にも、ぜっ全生命体の希望の為にも俺の後を継げる格好の良い逸材を探してるんだよ!」
「つーか引継ぎが先だろうんが。何こんな所までやって来て--」
 こら、リリンジ君も落ち着いてよ--と思わず止めに入るリリーエ。
 とその時、カラッ佐の視線は胸座を掴むリリンジや止めに入るリリーエよりもたまたまその場まで引っ張られた駆伝の方に向く。そして翼を広げながら一気に駆伝の所へ近づくと両手羽先で駆伝の右手を包み込む!
「な、何だよ!」
「あっ貴方様は……是非、おっ俺の跡を継いでくれますか?」
 こうして躯伝は政界への道を一歩踏み出してゆくのである……
(話だけは聞いてやると思い、俺は学校帰りにカラッ佐の所まで通い詰めるように成った。勿論、愛するソーラや正伝への連絡は忘れずにな。本当は後を継ぐ気も更々なかったのだが……)

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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