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一兆年の夜 第八十六話 躯伝の空 躯伝、政治に参加する(序)

 ICイマジナリーセンチュリー二百三十年十月七十八日午前九時一分十四秒。

 齢七十二にして十の月と十九日目に成る神武人族の老年天同駆伝くでんはアリスティッポス大陸の中心点である『七の地』にて余生を独りで過ごす。其れに至った理由を執拗に尋ねるは齢四十六にして十一日目に成るエピクロ鬼族の老婆ガンジャー・ギガンテス。彼女はかつて駆伝の秘書を務めたギガントル・ダジャールに命を救われた。その命を最大限大事にする為に至った理由を知ろうと躍起に成る。これには躯伝もこう言った。
「まあまあ、わしのような天同と他では寿命に大きな差があろうが……生き急ぐな。老いたる者は過ぎ行く流れの早さを信じて時間を掛けるのが一番じゃ」
「それ出模私端知りたい乃です。一刻模早くそこ辺辿り着きたい乃です。駆伝様牙新天神武出如何して政治似参加しよう斗至った乃科於!」
「それか。それは前に比べて短く済む。わしが雄略大陸での話の後にまあ子を孕ませたから親父の所にやって来て報告した後の事じゃったな。まあ親父は報告から短い時間の中で想念の海に旅立つ事に成ったが、わしの物語とはその親父が為せなかった事を為す為の物語じゃ。じゃが政治に参加するように成ったのは何も親父の死が関係しちゃおらん。寧ろわしが政治に参加するきっかけと成ったある事件が影響するのじゃ。まあ些細な事じゃない。えっとわしが新天神武の政治に参加するきっかけと成ったのはあの事件に釣られたからじゃ
 それから躯伝は思い出してゆく。
(そうじゃのう。それは……俺が第一子である正伝せいでんが産まれたのを聞いて手術室に飛び込んだ時だな。あれは--)


 ICイマジナリーセンチュリー二百十七年一月八日午前五時一分十八秒。

 場所は新天神武首都ボルティーニ中央地区。真ん中より四番目に小さな二階建て建物。
 そこへ走り込むのは齢十八にして五の月と六日目に成る天同躯伝。彼の隣には齢十六にして十二日目に成る神武鬼族の少年も走る。駆伝は彼からの報告を聞いて今暮らしている一階五号室へと駆け込む!
「本当に産まれそうなのか、シドウシン!」
「ええ、キュー軽乃おっさん牙報告してくれた。だから俺端急いで報告し似来ました!」
 まだ二十台だぞ、キュー軽は--と駆伝はキュー軽を気遣って呼び方の訂正を促す。
(そ、それでも一刻を争う。もしもソーラの身に何かあったら……俺は!)
 それから二名は五号室の前に到着すると周りが見えない状態で中に入ろうとして……反撃を受けた!
「先生が命懸けで手術シテイル時ニ何ヲ覗コウトするのですか、二名共!」二名を殴り飛ばしたのは齢十七にして四の月と二十七日目に成るルギアスカンガルー族の少女。「周りが見エナイカラコソ殴ッタノデスヨ、わかります?」
 わからん、メランコリーナ--殴り飛ばされた事に苛立ちを見せるヤマビコノシドウシン。
「待て、シドウシン。メランは俺達に気遣うからこそ最短の選択をしただけだ。今の俺は確かに頭に血が上り詰めていた……反省しよう」
「随分成長為サイマシタネ、躯伝様は」
 いや、親父が死んでから少し無茶を考えられないだけだ--と駆伝は自分が道に迷う事を告白。
「駆伝様、そうゆう時こそ武似励んで--」
「なあ、シドウシン……武は道を示しちゃくれないんだよ」
 躯伝様……若くして俺出模到達しない所似--とシドウシンは対等な生命が居ない状態であると察した。
(俺の悩みは後にする。今はソーラが無事に出産してくれる事を……頼むぞ、助産師さんや!)
 待ち時間は十の分も掛からなかった……鳴き声が三名の耳に入った--中から齢三十九にして九の月と二十九日目に成るテネス鬼族の老年が満面の笑みを浮かべて現れた。
「何を笑ってるんだよ。ソーラが命懸けという時に!」
「あ、済みません袮。お子さん牙余り似模元気那物出つい笑顔似成りました曾!」
「元気もくそもそんなの……あ、すっかり忘れていた!」
 それから躯伝が涙を流して齢十六にして十の月と二十八日目に成る雄略人族だった少女が助産師二名に支えられる形で一名の雄の子の元へと駆け寄る!
「オオ、俺の子を……これは元気な雄の子だぞ!」
「ええ、はあはあ」
 赤子は尚も泣き止まず。駆伝が笑わそうとすると更に事は大きくなる。そこで躯伝は和歌を読み上げる。
「良し、思い付いた!
 生まれ出る、赤子は何とも、可愛らしい、そりゃそうさ、それが命さ!」
 ところが余計に事が大きく成った模様。これには憔悴しきった筈のソーラ六代が怒鳴り声を上げて駆伝をたたき出す事態にまで発展!
(如何してだよ、ソーラは。折角元気づかせようと思ったのに……そうか、和歌だ!)
「駆伝様、産ンダバカリノ雌ニ変ナ試みは--」
「正伝だ……それがあいつの名前だ。有難う……子供って宝かあ、わかったぞ親父!」
 駆伝は和歌の出来が余り宜しくない事で武以外の道に希望を見出した!


(まだこの頃はこの名前を巡ってソーラと激しい言い争いに成ったのう。まあ、当時の正伝の鳴き声で結局わしの物が通され、二名目からはソーラが名付けるという方向で決まったがのう。
 そうじゃのう、和歌に少しの希望を見出してわしは第二北西地区にある歌者養成学校に入ったなあ。まあそこはわしと聞くだけで受験無しで合格通知を発表しようとしたのでわしはそこで……と其れは一息吐いてから始めようかのう)

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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