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一兆年の夜 第十三話 天同生子 継承篇(零)  

 ICイマジナリーセンチュリー三十九年三月七十八日午後四時五十分二秒。

 場所は秘境神武入口。
 齢十七にして九の月と三日目になる少女と少年が二名。お別れの挨拶を言った。
「お達者で姉上。私は外の世界へ行き、この目で世界を見てくるよ」
「気を付けてね、読四。おぞましきモノはいつどこに現われるかわからないわ」
「その為似我等神武鬼族乃者牙付いておりますぞ。齢二十三似志手四乃月斗
二十六日目似成留このカゲヤマノタケルノキミ牙付いております故」
 タケルノキミは青く剛胆な筋肉を見せつける事で生子への案じ得ぬ心を払拭させて
みせる。それを見た少女は肩まで伸びる髪を左手で後ろに払う仕草をしながら口元
を微笑ませた。
「お、おかしいのですか、姉上?」
「いいえ、タケルノキミがあまりに頼もしいと思って安心したのよ」
「はは! 有吏難機御言葉を真似ありがとうございます! 生子様乃御言葉端我似
とって端最高乃宝出御座います!」
「大袈裟だよ、タケルノキミ!
 では姉上。改めてお元気で! それと零には伝えてもらえないでしょうか?
 あんまり姉上を困らせるな、という言葉を!」
 そう言って読四は腰まで伸びる長い髪を肩まで大きく浮かせながら生子に背を向け
た--タケルノキミと共に外の世界へと旅立つ!
「あなたは必ず生きるのよ、読四」
 生子がそう言った時に背後から者が壊れる音がした--振り向くとそこには急い
で駆けつけたせいで足元をよく見ず、陶器を強く踏んで割った成人体型一とコンマ二
を越える人族の大柄な少年が立っていた。
「はあ、はあ! あの能なしめ! 俺を待たずして外へ出て行くなんてよ!」
「能なしとは礼を欠くわ。読四は私達と違って凡庸な者の気持ちを理解出来るわ」
「はあ、はあ! そうじゃねえだろ! 俺は十五になったばっかりなんだぞ!
 先祖ろうの御陵にある舞台を飛ぶ儀式だったんだぞ!
 しかも正午から始まったんだぞ! 俺は一番後ろの方だったんだぞ! それであれ
やこれやといろいろあって飛んだのがすでに日が沈もうとしてる時だったんだよ!
 はあはあ、かなり遅れて仕方ねえだろうが!」
 少年は息を荒げながらも言い訳をした。
「ごめんなさい、零。もう少し私が読四を引き留めていればあなたと共に旅立ちの
言葉を贈れたのに」
「気にすんな! どうせ兄貴のことだし! それよりも姉貴はどうするんだ?
 ここは親父の遺言でいずれは--」
「わかってるわ、零。秘境神武もいずれこの夕日のように沈む日が訪れるわ」
 生子は太陽に向かって言った。
(その日になれば私も全てを投げ打つ時が来るの?
 それとも--)
「辛そうな顔は似合わないぜ、姉貴!
 どうせここを秘境そのものにしても俺達まで秘境そのものにならないんだからよ!
 むしろ、そこから俺達の物語は始まる気がするんだ!
 俺はそう思ってるぜ!」
 零は笑顔でそう言った。
「ふふ、そうね。
 だからこそ読み四は外の世界へと旅立ったのね」
「兄貴はいいだろ! んなことよりも俺達はどうする?」
 零の言葉に生子はまた夕日を眺めた。
(始まる物語はいずれ終りを迎える。その物語は終わったらどうするの?
 何も残さないまま終わるだけ?
 いいえ、それは悲しいわ。せめてその先まで生きる者達に語り継がないと。
 私達が生きたという証を!)
 それから十二の歳月が過ぎた。
 ここから天同生子の物語も最後を迎えようとしている……

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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