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一兆年の夜 第八十五話 躯伝の空 躯伝、雄略大陸に着く(九)

 午前十時五十八分三十七秒。
 場所は有徳地方銀錯銘大刀集落跡。
 一の週より前まで持ち堪えるも参謀を務める齢二十八にして三の月と五日目に成るサーバ十六世の姪に当たる雄略サーバル族の女性サーバラ二世の意見を聞き入れた躯伝は已む無く四の年も世話に成った集落を後にした。
 そんな集落に駆伝とメランは戻って来た。勿論、駐留する銀河連合十体を倒す為に。
「居たな。数は少ないが、やらせて貰うぞ!」
「駆伝様……もしや奴ラハ迂回シテ川ニ向カッタトイウ可能性は如何ですか?」
「たったの二十の時掛けて往復すれば良いだけだ」と言いつつも一体、又二体と疾風迅雷の如く猿型とキリン型の首を刎ねる躯伝。「俺達がここへ来たのは挨拶代わりさ!」
「挨拶デスカ、其レナラ……ウグ、又強く成ってる!」
「ク、包丁のような奴で加速する前に受け止められたか……流石は逸れか。だがな!」どれだけ研究を重ねようとも互いに研究し合う為にそう簡単に溝は埋まらないかのように……「俺達だって血と命を流した分だけ」駆伝は三体目、四体目の防御を切り裂く斬撃を見せる。「技を磨いたんだよ……簡単に崩されて堪るかあ!」
「そうですヨネ……エイ、たああ!」
 残り三体……という時にメランは正面の牛型に集中し過ぎて背後より成人体型十の所より狙撃しようとする鷹型の存在を感知しない。駆伝は持ち前の経験則と鍛え抜かれた耳に依り、翼の音を聞き取った!
「ま、先ず……クソ、サーバル型が以外にも!」
「せい、タア……サア、止め--」
「メラン、後ろオオオオ!」
 え……エエ--風切り音に気付かないまま振り返ったメランの眉間に物部刃のような何かが飛来し……「いいえ、させない!」
 何と後成人体型二の距離という所で横方向より飛来した物部刃のような何かが刃に命中してメランの左米神を掠める!
「あ……ジャナクテ、えい!」ウシ型による突進を左前肘に依る一撃で止めると振り返り様に……「カンガルー拳法ノ正拳突き!」右正拳にて喉元に抉り込む。「はふう……一体誰ガ私ヲ助ケタ訳?」
 やあ……フウ、やっと十体倒した--と溜息しつつもメランコリーナを助けた何かが居ると思われる方向に体を向ける躯伝。
 するとそこへ齢十六にして十日目に成る雄略人族の少女が望遠等を左手に物部刃を五十本ほど入れた筒を背負って更には足元まで垂れる長い髪を風に乗せてから躯伝の所へと真っ直ぐ歩いて近付く。
「君は……来てくれたのか!」
「ええ、実に長かったのよ……躯伝」
 四の年ぶりにソーラ六代と抱擁を交わす躯伝。傍から見るメランコリーナは何か言おうと思っても気遣い、何も言えなかった。
「長い事、君のいない四の年を経験して改めて理解した……大好きだ!」
「私も躯伝の事……大好き、愛してる!」
「ああ……これが再会の口付けだ!」
「ええ、躯伝」
 それから口付けを交わす二名。流石のメランコリーナも一の分も我慢する事はせずに……「そろそろ戻ル方ガ良イノではないでしょうか」と駆伝の右耳に届ける。
 だが、止めようとしない二名。流石に起こったのか、メランコリーナは駆伝の右脇腹に右肝臓打撃を繰り出す。
「うぐぐ」流石の躯伝もそれには口付けを止めてメランに苦々しい表情をぶつける。「お前と、言う、奴は!」
「これは私情デハアリマセン」私情が大分含まれながらもメランは忠告する。「今は状況ヲ読ム事ガ大事ですよ、躯伝様!」
「わ、わかってるさ。でも今は少しでもソーラとの--」
 いえ、その心配はないよ--ソーラ六代から意外な言葉が出る。
「何?」
「如何ユウ事なの、ソーラ?」
「ゴリン兄弟は命を懸けて外に訴え、其れが新天神武に通じたの……だからもう南雄略は救われるわ!」
 ソーラ六代の言葉通り、彼女の他に銀錯銘大刀集落跡の地に踏む生命が一つ、二つ、三つ……と嵐の如くやって来た。彼らだけでは信じられないと思った駆伝とメランコリーナは一旦草香幡梭姫川へ戻ってゆく。するとゆく先々で外から来た生命を何名も見掛け、彼女の言った事が真実であると気付いた。


 ICイマジナリーセンチュリー二百三十年十月七十七日午後八時二十三分一秒。

「--それから先の戦いは銀河連合の最後の抵抗もあって一の時も掛かったのう。彼らのお蔭でわしらは救われた。流れた血の量は決して無用ではなかった。結果、南雄略の血は残った。確かに母系を辿る事に成った物の北雄略の何名かが南雄略への移住を決め、これにて南雄略は解放されたのじゃ」
「成程袮。出模又、昔乃よう似保守的那形似戻る乃です乃?」
「それが真南雄略を率いる最初の最大酋長であるサーバラ二世の方針じゃ。どれだけ銀河連合に喰い尽くされようとも神々を保存、維持するのが生き残った南雄略の雌達の方針じゃて。でなければ死んでいった彼らの為にも成らんじゃろう」
「成程ね……南雄略解放後似駆伝様斗ソーラ様端婚約為さった乃です袮?」
「いや、子を儲けたのは良いが……婚約はまだじゃ」
「え、もしかし照妊娠中婚約です科?」
「良くないか?」
「いえ、生命乃人生端それぞれでしょう科羅」
「フム……それからわしとソーラはソーラが南雄略に戻る三の月より前までに亡くなったゴリン兄弟の墓参りの為にわしと共に中舟に乗り込んだ訳よ……じゃが、この時わしとソーラだけで船を動かしたな。あれは辛かった。何よりもメランが同乗するのを断ったからのう」
「この頃科羅雌心於知らない乃です袮、躯伝様端」
「雄に産まれた以上は仕方がなかろう。そんでわしとソーラは寝る度に抱き合ったな。あれがなかなかやめられなくて……つい、ソーラのお腹を膨らませてしまってなあ」
「成程、其れ牙ソーラ様乃お腹似第一子出ある正伝せいでん乃誕生似繋がる古代科羅乃遊び牙招いた事です科」
 遊びじゃない……何時かはやる儀式じゃ--そこは譲らない躯伝。
「子作りは遊びじゃない。遊びと思うのは昔も今もこの先も銀河連合のみじゃ。奴等は儀式の重みを一切理解出来ないのじゃ!」
「亜、怒り乃矛先於ぶつけるより模先ず端話於進める方於お願いします」
「イカンなあ、わしとした事が」と咳き込んだ後、話を再開する躯伝。「以上が雄略大陸に関するお話じゃ。次は……ゲホゲホ!」
 だ、大丈夫です科--駆け寄るガンジャー。
「ハアハア……今日はここまでじゃ。今日までで雄略大陸のお話は終わる。次は親父を亡くして間もないわしが新天神武で政治に興味を抱き、本当に立候補するお話と行くぞ」
「わかりました。ここ出就寝乃支度出模致しましょう」
 有無--駆伝は自らの体調を気遣い、一旦話を止める。
雄略大陸での話は終わった。次はわしが代議士として活動するお話じゃ。それが終わるとわしが最高官と成ってギガントルの望んだ政体へと変革させるお話じゃな。それが終わると最後はここへ至るまでの終わりの物語を語る時じゃ!
 親父、お袋……これで良かったのだろう?)

 ICイマジナリーセンチュリー二百三十年十月七十七日午後九時零分零秒。

 第八十五話 躯伝の空 躯伝、雄略大陸に着く 完

 第八十六話 躯伝の空 躯伝、政治に参加する に続く……

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Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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