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一兆年の夜 第八十五話 躯伝の空 躯伝、雄略大陸に着く(八)

 ICイマジナリーセンチュリー二百十六年十月五十五日午前二時十七分四十一秒。

 場所は雄略大陸南側草香幡梭姫川。そこにある臨時藁仮設民家にてある生命が川の水を一口飲み……それから一気に流し込む!
(まだ……大丈夫だ。俺はまだ……いや、俺達はまだ戦える!)
 齢十七にして六の月と十九日目に成る神武人族の少年天同躯伝は四の年もの間、戦闘に継ぐ戦闘を経験した結果……「さあ、ってと……おーい、メラン!」すっかり一名前の熟した生命へと成長した!
「はい、躯伝様。一応、シドウシンヲ起コシマショウカ?」同じく別嬪の如く成長を遂げたのは齢十六にして六の月と九日目に成るルギアスカンガルー族の少女メランコリーナ・レヴィルビー。「たった二名ダケダト奴等トノ戦イモ心許ないでしょうに」
「あいつは連れてゆくな。却って現地兵の指揮を弱めてしまう。あいつが居るだけで安心する……それにあいつは腕だけじゃなく指揮能力は既に俺を越えてやがるぜ!」
「信頼シテマスネ、シドウシンの事を」
 イタトラノだけじゃなく、サルタビロウの死が……いや、あいつらだけじゃないんだよ--駆伝はこれまでに死ぬ行く生命をほぼ四六時中見た為に銀河連合への恐怖はすっかり鳴りを潜めた!
「そうですね。それにソーラの事もあるようですので今以上に休む余裕も--」
 休む……そうか--腕だけじゃなく、ここに来て駆伝は頭の方も働かせてゆく!
(危うい危うい……銀河連合に誘い出される所だったよ。俺はすっかり戦いに呑まれる所だったよ!)
 この頃の躯伝は包丁捌きだけでなく、和歌を嗜む事も楽しむ。南雄略で隆盛を極める若の面白さに気付いて彼はこう歌う。
「戦いは、恐怖の方、先走りて、俺すっかり、呑まれる所さ!」
 だが、肝心の歌は天同生子同様に誰が聞いても称賛するのが難しい物だった!
「駆伝様……戦イニ集中シタ方が良いです」
「ったくお前は面白みがないなあ。これ俺の中で最高傑作だと思ったのに!」
 え、アレデ……本当ですか--とメランコリーナは駆伝の壊滅的な和歌に既に憔悴気味の様子。
 さて、ここに至るまでの説明を簡潔に紹介しよう。サルタビロウ五代による命懸けの生産拠点打倒に依り、一気に流れを生命側に吹く。それは一過性であれども八つの集落全ての力を躯伝の元に集約するには大きな役割と成った。これを機に躯伝は八つの集落の酋長全てと真刃の会議を繰り広げ、時には自ら風穴を開けて先に進ませるなど、イタトロウとサルタビロウ五代の死と大切な物を守る為に恐怖と向き合った駆伝は劇的な成長を遂げた。それからは連戦連勝とはいかないまでも多くの仲間の死に目を見続ける躯伝。
 彼の包丁捌きは既にサルタビロウ五代を越え、更にはサルタビト十八代に迫る程上り詰める。だが、使い尽した包丁は南雄略に盛って来た神武包丁三つとサルタビロウ五代が使う筈だった一本の雄略包丁、それから南雄略で新たに作り上げた百七十六本にも上った。その頃には南雄略側の生命も包丁を用いるよりも望遠砲と物部刃、それに投石と洪水に依る戦法の方が効率よいと判断するように成った。なので包丁を使用するのは躯伝只一名だけと成った。
 さて、南雄略側は駆伝やメランコリーナ、其れとシドウシンを含めて僅か五十四名だけと成った。ソーラ六代の母五代は二の年より前に想念の海に旅立ち、彼女の異母姉妹も一名を覗いて皆土に還ってしまった。銀錯銘大刀集落の酋長百刀出は三の年より前に亡くなり、後を継いだ第二子百刀出むかとうで十九代は一の年より前に銀河連合液状型に体を乗っ取られて跡継ぎを食べてそのまま自ら責を取る形で死んだ。百一族は彼の代で絶えてしまった。残ったのはソーラ六代の十五番目の姉である齢二十一にして十の月と八日目に成る雄略人族の女性ソレイラ二十八代等、二十代前半から三十代前半の雌しか居ない。故に彼女達は他の大陸や島に住む生命と交わらないと南雄略の血を残せない状態と成った。
 それだけに逸れ銀河連合との戦いは命と隣り合わせであった。寧ろ四の年も持ち堪えたのが不思議な程である。持ちこたえた意味を躯伝は少しだけ考察する。
(確か親父が言ってたよな……ほんの僅かだけ余力を持つと不思議な事に肉体は急に活発化するって。死ぬ寸前の生命程、突然活発化して数値では計り知れない力を引き出すっていうそうだ……恐らくそれが関係してそうだな。だが……これは何時までも続かない。だから俺達は北雄略に脱出する準備を進めないとな。銀河連合は俺達にやられたとはいえ、まだまだ余力を残す。幾ら拠点を打倒しても又作れば良いだけだ。だが、俺達にはもう残されていない。だから俺は……とその前にメランと一緒に少しだけあいつらを蹴散らして来るか!)
 転んでも只では起きない躯伝は重要な決断をする前にメランと共に銀錯銘大刀集落跡へと往く為に上流を進む……

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Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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