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一兆年の夜 第八十五話 躯伝の空 躯伝、雄略大陸に着く(四)

 ICイマジナリーセンチュリー二百三十年十月七十六日午後四時一分三十二秒。

 躯伝は謝罪する。それは主に雄略大陸について。彼は雄略大陸について北雄略と南雄略の二つがある事を今に成って思い出し、それをガンジャーに説明する。一方のガンジャーは気にせずにそのまま話を続けるようお願いした。
「いや、これは重要なのだ。これ以上誤った認識がないように。えっと……雄略大陸は二つあって、一つが大昔から雄略包丁など武器を提供した技術種族達。彼らには苗字がある。交流が多い為に苗字がないとその分だけやりにくいが為にのう。
 一方の南雄略は従来の古い考えを守り通す種族じゃ。南側にしか侵入出来る断崖がないのも地形の構造がそうさせる為でもあれば寧ろ彼らが神様を尊重する為に自然とそう成ってしまった。じゃが、サルタビロウ五代のように新天神武に移住する者達が増え続けるとやがて門戸を開き始めるのも時間の問題じゃった……がわしが政務に励んでいた時代は未だ激しい交流は効かないが、如何じゃ?」
「えっと何於?」
「ああ、わしの良くない所じゃな。そうそう、今は南雄略の者達との交流は活発に成ったかを聞くんじゃが?」
「ああ、其れです袮。残念なが羅彼ら端保守的故似今模ずっと独自乃生活於貫くみたいです」
「そうか。わしとソーラの婚約があろうとも南側からの侵入しか許さないようじゃな。正に閉じた世界にある神々を守る為ならばそこまでの交流は好まないのが総意じゃな」
 それから躯伝は話を再開する。
(そうそう、南雄略は一度も冬の時代が来ない程の気候じゃったな。そう……僕は蒸し暑いと感じて--)


 ICイマジナリーセンチュリー二百十五年十月四十五日午前十時五分二秒。

 場所は雄略大陸南側有徳地方銀錯銘大刀集落。
 建物が断崖に設置された集落。一本道のみで建物間を移動する綱渡りが日常化した奇妙奇天烈な場所にて躯伝達は安全を期して酋長拓があると思われる今にも崖から転がり落ちそうな所へと命綱を使ってソーラ五代に案内される。それは酋長宅に向かう為なら命を懸ける事も辞さない程……これが神々を守り続けた南雄略の保守思想の賜物なのか!
(これには今の時間帯に成るまで僕は逆さまに落ちるか落ちないかの瀬戸ぎわだよ。少し足を踏み外す度に何回走馬灯が流れたかわからない。こんなの普通じゃないって!)
 一方で命懸けもあって躯伝は少しだけ強く成れたと確信もする。サルタビトが如何してあそこまで強いかも理解出来た。成程、産まれた頃から神々と向き合う事が出来れば物との一体化も図れ、包丁捌きにも磨きが掛かる訳か。まだ若い躯伝は徐々に強さとは何かに気付き始める。
(サルタビト十八代の事は後にしよう。今は酋長と話し合って暫く南雄略での滞在を許可して貰いたいな)
 だが、酋長宅前に辿り着いても手続きには何と……三の日も掛かった。あれだけ命を懸けて辿り着いたのに来てみると気分屋で適当に決められると雄略大陸出身者の親族が居る者や武内大陸出身者以外の者達は怒り出すのも無理からぬ事。これにはゴリン兄弟とサルタビロウ五代は諫めるのに一汗かいた様子。諫め終わり、決められた宿泊施設に泊まったのが躯伝を基準にすると午後六時十八分二十七秒。
 躯伝とメランはソーラ六代が住む集落で四番目に大きな建物に泊まる。そこは躯伝達が想定するよりも金銀財宝で溢れ、尚且つ躯伝達にはわからない文字で題された書物のような神々が収められた本棚があった。幾ら手を取っても中を調べる事が出来ない点も神に相応しい物。因みに題された文字の書物の一つを例に挙げると『最後の医学書』……一体何を最後にしたのかわからない。だが、ソーラの一族は代々よりそれを勉学を促す神として崇める模様。
 さて、ソーラ六代が来るまで躯伝とメランは密室で会話する。内容は以下の通り。
「ソーラって……一名暮らしかと思った」
「そっちじゃないデスヨ、躯伝様。ソーラって……末娘ダッタ事ガ驚きです」
「うん、てっきりみんなのお姉ちゃんだと思ったら……上に十八名もの姉が居るなんて驚いたよ」
「しかも全員ガ全員、母ノ血ガ全く異なるなんて……何か肌ニ合わない!」
「意見が一致するよ。何でも時々、従兄弟同士の婚約に成るかどうかを速記者が判断してるって聞いたさ。苗字ないのにどうやって兄弟である者とそうじゃない者を区別してるのかな?」
「私達ニハマダ早過ギル場所はやっぱりあったのね」
 補足すると南雄略の生命は雄が産まれる確率が低い。その為、自然に血が濃厚と成る。雄単体だけでは子孫を残すのは可能じゃないのは誰もが知る真理。それと同じように雌だけでも子孫を残す事も可能じゃない。雌だけで繁殖する種族も確かに居るが、それはあくまで自らの複製を大量に散乱するような物。繁殖能力も環境適応能力も著しく低下し、平均寿命よりも半分程の人生しか謳歌出来ないので子孫を残すのに適さない。さて、結論から出すと子孫繁栄の手段として一夫多妻制を採用する。そうして子孫繁栄し、受け継ぐ……が、兄弟姉妹ばかりに成ると如何成るか。その場合は外からの者と婚約して無理矢理子孫を残す。しかも外と言えども其処は北雄略の者との婚約……それ以外は例え武内種族でも受け付けないのが南雄略の方針である。何とも歪且子を遺す事がこれ程までに難しいと知らせる事例と言えるのか。
 さて、躯伝とメランは改めて自分達の常識が当たり前と思う事がどれ程まで一歩外に出ると押しつけがましいかを理解しあったかわからない。わかる前にソーラ六代は齢二十六にして一日目に成る雄略人族の女性にして母であるソーラ五代と共に現れる。
(わ、若過ぎる!)
 これには躯伝だけじゃなく、メランも驚きを隠せない。確かに十台中盤で子を儲ける生命は居るには居るが、あくまでそれは稀有な例。何故なら若くして子を儲けるとその分だけ両親は寿命を縮める。子を育てるという事はこに生命力を分け与えるに等しい。依って一般生命は十代後半か或は二十代前半に産み落とす方が平均寿命である三十代後半に近付く。後は早期出産とは生活能力が問われる為に躯伝達の知る常識では出産は十代後半から二十代中盤に掛けて始まるのが常識だとされる。尚、躯伝もメランも高齢出産により産まれた生命である。
「あら、私達の家に泊まるのは君達?」
「はい、自己紹介しましょう。僕は天同躯伝……神武人族であり、父は天同優央、母はプラトー人族の旧姓春風史烈である!」
「私ハルギアスカンガルー族のメランコリーナ・レヴィルビー。父ハマンメリー・レヴィルビー、母はタゴラスカンガルー族ニシテ旧姓メリーナ・メレルボラス。どうぞヨロシク」
「こちらこそ宜しくね」
 二名はソーラ五代寿葉はソーラと握手及び握足する。
(食事はこれまた不思議な雄略木の実で味は……美味しくない。こんなのを普通に食べられる南雄略の生命って一体!)

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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