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一兆年の夜 第八十五話 躯伝の空 躯伝、雄略大陸に着く(一)

 十月四十五日午前一時一分三十四秒。
 場所は南雄略海。春が迫る季節なのにこの海では未だに霧は晴れない。
 そんな霧の中で成人体型縦十、横五、高さ七にも成る木材で出来た中舟にて夜間遊泳を任されるは先頭は齢三十五にして四日目に成る武内猿族の中年ゴリンラマノと反対側に齢三十四にして一の月に成ったばかりの武内猿族の中年でゴリンラマノの弟ゴリンラマン。二名は互いに二十五の年もの間、小舟を漕ぎ続ける為にその足前は一流。更には睡眠調整も万全であり、彼ら以外の五名が深い眠りに就こうともこの時間帯ではこの二名の意識は晴れ亘る。それもあり、霧の中でも水面の僅かな振動も逃さない。即ち、危機意識が高い証拠である。
 それから三の時と十の分より後……一名が目覚める。齢十一にして一の月と十四日目に成る神武鬼族の子供は躯伝とメランコリーナを起こす。
「何だよ、シドウシン?」
「どうしたの、モシカシテ朝ごはん?」
「そうじゃなくて島牙見えたよ」
 あ、本当だ--雄略大陸南側にある船で接地しても登り切る事が出来る断崖を確認する躯伝と他二名。
「何だっち、何だっち?」齢十八にして一の月と十八日目に成る応神鼬族で左眼に黒い眼帯が目印の少年が起き上がる。「ひょっとして着きそうなのかッチ?」
「片目しか見っえないのに無理するなよ」齢二十一にして一の月と十七日目に成る雄略猿族の青年は隻眼の少年を心配する。「眼帯付っけていても定期的に毒を抜かないと健康を損なうって医者に言われたのだろう?」
「少しは親父さんが済んでいた懐かし忌の故郷が見えて喜びを見せろっち、サルタビロウ五代っち」
 泣いてしっまうだろうが、畜生--既に涙を流すサルタビロウ五代。
「そろそろ着っきます」
「でも気を付っけて下さい。寧ろ他の崖から登っるよりも険しい道は南側で待っておっります」
 それでも僕達は南側から登らないと最短で大陸に住む生命と会えないのだろう--と再び震える躯伝。
「あーあ、躯伝様端格好つかない」
「年頃の子供なのだっからそれで良いじゃないか、なあイタトラノ?」
 うううっち、俺も震え出すっち--とある兎族の軍者が突然牙を剥く記憶と連動するのか、右前足で左眼を抑えるタケナカノイタトラノ。
「大丈夫デス、躯伝様。私ガ付いております」とやや躯伝に肩入れし過ぎるメランコリーナ。「私ガイレバ躯伝様は、大丈夫です」
「有難う、メラン。少しだけやる気が出たよ」
 それから中舟は二の時掛けて南側断崖へと接地してゆく。それには正面衝突を避ける以外にも用意なしに接近して潜伏する銀河連合の集中砲火を浴びない事も意味する。
(その間に早い朝御飯にするとして……その前にサルタビロウに尋ねてみるか)
 一の時掛けて朝食を済ませた躯伝達は会話を始める。特に躯伝とサルタビロウ五代はある銀河連合について興味津々の様子。
「親父が死んっだ以上は実態が何なのかを俺もわっからない。何っしろ、親父でさえも恐怖しった逸れ存在だからな。真正なる五式状態の親父なっらば……或は!」
「出会わないとわからないという訳か。それ以前にこれだけの要員で乗り込む事自体が最早肝試しよりも謀り無きだね」
 だったらどうして躯伝様ハ強行シタノデスカ--と後に成って言った為にメランコリーナの右前足に依る拳骨を浴びる躯伝。
(全くメランは昔からこれだからな。まあ、彼女との付き合いもこれで十の年以上……かあ。昔は父親マンメリーと同じく俯くばかりだった。正直、僕にはそれが理解出来ない。わからなかった。だから必死に僕はサーバと同じように彼女に接した。それが実ってメランは立ち直った……ら良いな)
 どれだけ時間を掛けようとも間抜けは十の年だろうと二十の年だろうと間抜けである--

 
 ICイマジナリーセンチュリー二百三十年十月七十六日午前十時四十二分一秒。

(当時のわしと今のわしは何ら変わらん物じゃ。格好付けて直ぐに間抜けが出る。決めたつもりでも足が震えて直ぐに台無しに成る。それも功を奏してメランは徐々に明るさを取り戻した訳じゃな)
「あ、あのう。そろそろ休憩於取られ照模宜しい科斗私端思います牙?」
「昼食まで後三十の分もあるぞい」
 いえ、十五乃分です--とガンジャーは訂正した。
「はあ、わしってそこまで抜けた生命かのう?」
「ギガントルさん乃日記出模躯伝様端昔科羅何らお変わりない斗記されております環」
 あいつめ、そんな事を記しおったのう--と思わず熱いお茶を噴き零しそうに成る躯伝だった。
(フウウ、ガンジャーの淹れたお茶は火傷しそうだ。彼女は気温に対応した筈なのに……鬼族と人族では感じ方が異なるせいか? だとするなら--)

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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